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カテゴリ:映画
1999年に98歳で世を去ったロベール・ブレッソンの2作品、1959年の「スリ」と遺作となった1983年の「ラルジャン」を観てきた。
映画を映画館で観るのはあたりまえだが、娯楽性の高いものより作家性の強い映画を優先するべきだと思っている。娯楽映画は疲れた時の気晴らしに家で観ればいいし、あんがいデートには向かない。一方、難解だったりテンポのゆっくりした映画は映画館の暗く身動きできない環境でなかば 強制的に観ると、その滋味や含蓄の深さに気づかされることが多いからだ。ブレッソンの映画などその最たるもので、家で見てもその良さや価値はほとんどわからないだろうと思う。 2作品とも80分前後と長くはないが、長さの割に観るのに忍耐がいるし疲れる。しかしその半ば「苦痛」に耐えて観た「スリ」のラストは感動的だった。人生にまわり道はつきものだが、まわり道をしたからこそ見つけられるものがある、といった人生訓に似ているがまったくちがう。そういう解釈も許容されるだろうが、スリという割の合わない犯罪にのめりこんでいく主人公の行動に対する疑問を自分で考え続けてラストに至ったとたん、「唐突で意外な」展開に不意打ちのように感動させられる。こんな映画は類例がない。 一方、何の罪もない主人公が冤罪のせいで殺人鬼になってしまう「ラルジャン」は、トルストイの原作にある救済と信仰の後半部を切り捨て、まったく救いのない映画になっている。カタルシスはなく後味もよくない。だから誰にでもすすめられる映画ではないが、フランス映画ならではの詩的かつ哲学的ないいまわしが救いのない映画に品格と奥行きを与えている。 面白かったのは刑務所内での囚人たちの食事シーン。小さなグラスに赤ワインのようなものが注がれていたが、フランスでは刑務所でもワインが出るのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 9, 2012 02:41:56 PM
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