テーマ:ミステリはお好き?(1451)
カテゴリ:日本ミステリ
異端の民俗学者、蓮丈那智の第一短編集。
民俗学とミステリがうまくかみあった作品です。 蓮丈那智フィールドファイル1という副題を見て、主人公は男だとばかり思っていました。 実際は、中性的な美貌で年齢不詳、フェミニズムなんて意に解さない、気持ちいいくらいクールな女性でした。 その一言で場の温度が上がったり、凍りついたりするくらいインパクトのある人です。 そして助手の内藤三国はどちらかといえば気の弱い、いつも彼女に振り回される男性。 独特のイントネーションで「ミクニ」と呼ばれると、背中に粟立つものを感じてしまいます。うろたえる様子がちょっと気の毒なくらいです。 このコンビが日本全国に民俗学のフィールドワークに出かけるのですが、なぜか行く先々で事件にでくわしたり、犯罪に巻き込まれてしまいます。 そして蓮丈那智の鋭い洞察力と民俗学の知識が役立って、解決へ導くことになるのですが、肝心の民俗学の方は事件の裏にある事情のせいで、発表することができなくなってしまうこともあるのでした。 民俗学というものは知りませんでしたが、この作品は結構とっつきやすく知識を得ることができます。 民俗学は想像力の学問だということ、その証明のためにフィールドワークがあること。 一つの事件について書くためには、相当の下調べが必要だったであろうことがわかります。 古くからの行事やしきたりに思いがけない仮説が立てられたりすることもあり、なかなか面白く読むことが出来ました。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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