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カテゴリ:お気に入りのクラシック音楽
今回は第2楽章。
この楽章はメランコリックな音楽だとよく言われる。単に暗いとか悲しいということでは片付けられないいろいろな表情が要求される楽章だと思う。音楽そのものが暗い表情を出している(変ロ短調を選んだのはそういうことかもと思う)ために、ともすると本当に沈んで演奏してしまうのだが、楽譜の指示は「カンツォーネのように」とある。 冒頭の旋律、「昼下がりに日差しが差し込んでいる部屋でうたた寝していてちょっと暑い、う~ん」というイメージがちょっとしたり(ヴァイオリンの曲で「憂鬱なセレナード」というのがあるが、調も同じだったりする)。旋律線は下行型が基本だが、途中でふわっと上がる。ジェットコースターでふーっとなる感じに似ているかも。ちなみに、この形は第3楽章の冒頭旋律も同じ路線。やはり有機的なつながりは意識されているのかな。 次に出てくる旋律は逆パターン。底からわき上がるように来て、上から押さえられるような感じ。この押さえられる場所にsfが書いてあるのだが、ここの弾き方は未だに迷う。弓の配分が不自然になりやすく、また力のいれ具合も難しい。 短調の部分に挟まれた中間部は一転して明るい表情だが、夢の中にいるような感じ。ヘ長調でクライマックスを迎えた直後に変ニ長調へと転調する部分が最高。ここを聴くと魔法のバトンで昼が星空に変わるような感じをいつも受ける。こういう場所をCDで聴いて、伴奏パートに注目すると、いかにうまく作られ、演奏されているかがわかる。 この部分が終わると、夢が消えて、再び寝苦しい状態に戻った感じ。しかし、その中にも時折光の差す部分はある。変ト長調で出てくる冒頭旋律の変形はとても印象的。ちなみに2ndVnだけになるところは、弾いているとおいしかったりする。最後は眠りの底に落ちていく...。 以前OBオケで演奏したときの本番指揮者曰く、「悲しい曲を悲しくするとお客さんはシラける」。なるほど、確かにそうだ。チェロやヴァイオリン、フルート、ファゴットなどいろいろな楽器によってひとつの主題がさまざまに奏でられるのだが、少ない要素でよくこれだけの表現ができるものだとスコアを読みながら感心することしきり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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