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「実際に拝みだしてみると大変な仕事だった。綾乃はまずムートゥーヤー(本家)を拝んでから、様々な御嶽(うたき)に足を運ぶのだが、拝みのされていない御嶽は島に何十とある。人の住んでいない集落や、長い年月で遺跡のように風化した御嶽などは探し出すのも困難だった。なんでも以前に拝んでもらっていたユタが島中をくまなく歩いたそうだ。綾乃はそのユタの拝んだところにすべてお礼を述べに歩くのだ。大きな集落には社のしっかりした御嶽があるからすぐに見つけられる。しかし過疎になった集落には移民が多く、昔からその土地に住んでいないから、御嶽のありかがわからないのだ。
そんな人里離れた御嶽を探し出すのは困難だった。綾乃は御嶽の声がする方に車を走らせる。じっと目を閉じて眉間で御嶽を探すのだ。綾乃の眉間が磁石のように開きはじめると、その周辺には必ず御嶽があるのだ。ハブに警戒しながらも二人は御嶽のあるとおもわれる方角に、草木を分けて進んでいく。枯れたように眠っている御嶽に祈りを捧げると、また御嶽を探して歩き回る。」 (池上永一さん「バガージマヌパナス」本文より) (斎場御嶽) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年12月14日 07時25分36秒
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