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宮の独り言

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2010.08.13
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カテゴリ:コードギアス
以前書いた没案その1こと、『もしルルーシュがアルビオンに転生したら』がなかなか好評だったようです。
舞台がアルビオンだとブリタニアチックに書いても違和感がありませんし、名称も適当にアーサー王物語辺りからとってくることもできたんでしょうね。

そして今回は没案その2。
予告の時点ではトリステインバージョンを公開するつもりでしたが、こちらの方が思った以上に書きやすかったのです。
それでは、没案その2、


『もしルルーシュがガリアに転生したら』





薔薇色の大理石と青いレンガで作られた巨大な王城グラン・トロワ。
ガリア王ジョゼフ一世の居城であるこの城の最奥に構えられた謁見の間に一人の青年が入って来る。
黒の騎士服に肩側の肩に掛けられたマント、それらを細身の体に纏い彼は赤の絨毯の上を歩いて行く。
そして謁見の間の中央辺りで立ち止まると彼は膝を折り恭しく頭を垂れた。

「北花壇騎士団 No.0、只今帰還致しました」

彼が礼を取った先、玉座に座った人影がやや退屈そうに頬杖をついて頷いた。

「任務はどうなった?」

開口一番、飛び出す言葉は到底労いの言葉とはかけ離れたものであった。
無論彼にとっては予想通りの展開であり、今まで掛けられた事のない言葉を口にされた方が気味が悪いというもの。
それに彼の人物にとって自分は所詮単なる暇潰しの道具、あるいは駒の一つでしかないのだ。

「全て恙無く完了致しました」

顔を僅かに上げる。
濡れた様に黒く艶やかな髪が揺れ、前髪の間から紫紺の瞳が覗く。
その双眸は眼前に君臨するガリア王ジョゼフ一世を見据えていた。
無駄に広い謁見の間には守衛の騎士は一人もいなかった。
静まり返った部屋に彼とジョゼフの息遣いだけが存在している。
杖を手に取り数秒の詠唱、その後に生じる魔法でジョゼフ一世を確実に殺せるだろうか、そんな事を考える。
しかしすぐに心の中でその考えを否定した。
姿を見せぬと言えど、ジョゼフに忠実なあの女が油断など見せるはずもない。
反意を欠片でも見せればすぐにでもあの女は自分を殺そうとするだろう。

「では次の任務だ」

ジョゼフが右手を頭の横、やや後方に差し出す。
すると何処からともなく暗がりの中から現れた細い手がそのジョゼフの手の中に何か小さなものを置いた。
ジョゼフはそれを受け取ると無造作に彼に投げ渡す。
彼は投げられた物を両手で受け止めた。
それは古びた小さな指輪だった。
嵌め込まれた石が青みがかった不思議な色をしている。
何かのマジックアイテムだろうか、彼がそんな事を考えているとジョゼフが再び口を開いた。

「先住の魔法が使える指輪だ。死人に疑似的な生命を与えて操る事が出来る」

ギョッと目を見開く。
そのような強力な効果を持つ先住の魔法など聞いた事もない。
ならばこの指輪は一体どれほどの価値があるものなのだろうか。
だが次の瞬間、本当に驚くのはまだ早いのだと思い知らされる。

「その指輪の力を使ってアルビオンで内乱を起こして来い」
「なッ!?」

言われた言葉の意味を掴みかねて彼は思わず声を漏らした。
内乱と言ったのか、それは他国に戦争を吹っ掛けるにも等しい行為である。
この男、何を考えている。

「分かったのならさっさと行け」
「・・・」

目的も手段もジョゼフは一言も口にしない。
彼は顔を引き攣らせてジョゼフを睨んだ。

「指輪もある。お前ならばそう難しい事でも事でもないだろう。それにお前には『絶対遵守の力』があるのだからな」

たった一度だけ如何なる命令をも下す事の出来る絶対遵守の力。
生まれた時から彼に備わっていた異能の力。
ジョゼフはそれを使って他国に乱を起こせと言う。
それは許されない行為だった。
しかし彼に拒否する権利はない。

「かしこまりました、直ちにアルビオンへ向かいます」

全てはあの時決めたのだ。
大切な人を守る為に自分は何でもすると。
たとえそれが人の道を踏み外すものだとしても、それが彼、ルルーシュが選んだ道なのだから。





「一つの命が助けられるのは一つだけだ。選べ。どちらが助かりたい?」

それは卑劣な宣告だった。
ルルーシュ・オルレアンは最愛の妹、シャルロットの耳を塞ぐようにギュッと腕の中に抱きしめた。
きっと彼女はまだ自分が置かれた状況を理解していないのだろう。
それでも場の雰囲気だけは理解しているのか、震えながらルルーシュにしがみ付く。
誰一人として味方のいない王の眼前でルルーシュが毅然と振る舞える唯一の希望。

「お前の母は子供の命を救って欲しいと言い毒を飲んだ。それでオレはどちらの命を見逃してやれば良い?」

選べるわけがない。
選ぶべきは妹の命。
その為に死ぬのならば、幾らでもこの命など捨てて見せよう。
だが本当にそれで良いのだろうか。
このジョゼフ一世が律儀に約束を守る理由など皆無なのだ。
寧ろ自分の立場を危うくしかねないオルレアン家の子供など早々に消した方が良いに決まっている。
ならば簡単に死ぬわけにはいかない。
ルルーシュはジョゼフをキッと睨み声を張った。

「ならばシャルロットの命を!」
「ほう、お前が死ぬと?」
「いいえ、私はあなたの奴隷となって働きましょう。それを条件にどうかシャルロットの身の安全を保証して下さい」
「ほう、その『力』をオレの為に使うと」

ルルーシュはシャルロットをそっと離すと身をかがめ視線を合わせる。
涙を浮かべ不安に怯えるシャルロットの青い瞳が揺れる。

「何も心配しなくても良い。俺が絶対にお前を守ってあげるよ、シャルロット」
「お兄様・・・」
「だから、」

ルルーシュの片目に赤い鳥が舞う。
涙が一筋頬を伝った。

「ルルーシュが命じる。シャルロット、出自に関する記憶の全てを忘れ、単なる貴族の娘として・・・、幸せに生きてくれ」





『・・だ・、シ・・ロッ・。お・様に・ら・・しま・・』

誰かの声だ。
心の奥底で心臓が熱を帯び、暖かい気持ちになれる。
霞みがかった中に人影が浮かぶ。
輪郭だけが光の中にあるようではっきりとは見えない。
あなたは誰?
何度問いかけた事だろう。
だけれど答えはない。
そして目が覚める。

「またあの夢・・・」

タバサはむくりとベッドの上から身を起こした。
見慣れたトリステイン魔法学園の部屋。
年頃の少女のものにしては飾り気のない質素な部屋だった。
彼女は一年のほとんどをこの部屋で過ごしていた。
祖国はガリアであるが、家族は誰もいない。
父と母は彼女が幼い頃に亡くなったと聞く。
唯一屋敷の管理をしてくれている老執事ぺルスランだけが家族と呼べる人だった。

「違う、彼じゃない」

時折見る夢、あの声の主は一体誰なのだろうか。
一度ペルスランに心当たりを訪ねてみた事がある。
返ってきた答えは『おそらく亡き父上ではないでしょうか』というものだった。
その時の悲しげなぺルスランの表情を見てからというもの、タバサは彼に夢の話をするのを止めた。
きっと昔の記憶なのだろう。
そう思うが何か釈然としないものを感じる。
何か大切な事を忘れている様な気がしてならない。
けれどそれは確信には至らない。
タバサが延々と夢の中での記憶に思いを馳せていると、不意に部屋の戸の向こうで声がした。

「タバサ、もう朝食の時間よー」

タバサの隣の部屋の住人であり、彼女にとって唯一の友人と呼べる相手。
赤い髪の少女を待たせるわけにはいかないと、もぞもぞと着替えを始める。
こうして彼女のささやかな一日がまた始まった。





とまあ、導入部分はこんな感じになります。
以降簡単にあらすじを説明しますと、

タバサがルイズ達に関わって戦っていく内に、タバサをジョゼフに対する脅威と感じたシェフィールドが彼女を排除しようとしますが、ルルーシュが水面下で結成した黒の騎士団の介入によって暗殺は失敗に終わります。
しかしそれが切欠でタバサは自分の記憶が欠落している事に気づき、母親に関する記憶を取り戻して奪還に動きます。
そのためルルーシュは皮肉な事に大切な妹を守り王宮から遠ざけるためにその妹本人と戦う事になり・・・


というのがこの話のあらすじです。

やっぱりルルーシュ=シスコンという設定はガチですね。
ゲルマニア版やアルビオン版ではシスコン設定はそれほど生かせませんでしたが、このガリア版ではむしろメインに押し出す勢いですw
タバサことシャルロットも完全に妹キャラですから、結構合うと思います。
ちなみにイザベラはルルーシュ対してに恋心を抱いていたものの、ルルーシュが王家に仕える奴隷となりニ度と笑みを向けてくれなくなったがために絶望し、原作とは別の方向にグレたという設定です。

まあ当然のことながら没となった理由もあるわけですが。

<理由その1>ルルーシュがガリア王家の出身なので青髪青目じゃないといけない。
ルルーシュは黒髪紫目でこそのルルーシュなのでかなり抵抗がありました。
普段は染めているという設定もありだとは思いますが、やっぱり無理がありました。

<理由その2>シャルロットが記憶をなくしたのなら、明るい性格のままであるはず。
学院で苛められていた、家族のいない寂しさ故に口数が減ったなどこじつける事は出来ますが、原作を読む限り意外と激しい感情の持ち主のようですのでちょっと厳しいと思いました。

<理由その3>イザベラヒロインがなかなか難しかったw
できれば原作のイメージを崩したくなかったんですが、そうするとあの嫌がらせの振る舞いをルルーシュにするのは好意の裏返しというわけになります。
それにしては嫌がらせの度が過ぎるかなぁと。
できれば性格改変はあまりしたくありませんでしたし。





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最終更新日  2010.08.13 23:16:57
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