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una_siesta

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2006/09/19
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カテゴリ:文房具
一昨日の日曜日の午後、セントラル藤井で行われていた

セーラー万年筆ペンクリニックに立ち寄った。

でも、今回の目的はペンクリニックではなく、同時開催されていた

セーラー万年筆のカクテルインクブレンダー石丸治さんに

オリジナルカラーのインクを調合して頂くため。

カクテルインクは石丸さんが客の希望を聞いて、その場でインクをブレンドしてくれる。

カクテルと名が付くだけあって、石丸さんはバーテンダーの服に身を包み、

作りたい色が決まると最後にシェーカーでインクをブレンドする。

そして、出来上がったインクの名前はオーダーした客が好きなように付けることができる。

セーラーさんのインクリストに、オーダーした客の名前、登録番号、インク名、

インクのレシピが記録され、再度注文する際にはセントラル藤井が窓口になって、

登録番号とインク名を言うと購入できることになっている。




私が訪れたとき、長い黒髪を後ろで束ねた女の子が

石丸さんと話しながら色を探していた。

彼女の隣のイスに座ると、石丸さんは「どんな色がご希望ですか?」と。




その前夜、私は書棚の中の写真集や画集、旅行雑誌etc.を引っぱり出し、

色を探していた。

どんな色を作ってもらおう?

一番に思いついたのは、夕暮れ時の空の色。

日が落ちた後の西の空。

ピンク・パープル・ブルーのグラデーションに染まる。

そう言えば、いつも私はその色を追いかけていた。

寝室に掛けている笹倉鉄平さんの「クリスマス」のリトグラフも

リビングに掛けている神津善之介さんの「砂の風景」や、

クリスチャン・リース・ラッセンの「ハーバーイブ」のシルクスクリーンも

ピアノの部屋に掛けている笹倉鉄平さんの「フラワーバスケット」のリトグラフも

みんなこの色。

この微妙な色合いが好きなんだなぁー。


あちこち引っぱり出したものの、書棚からは結局見つからず。

灯台下暗し。

バックの中に入っている絵葉書ファイルの中の一枚の絵葉書を思い出した。

数年前に観に行った「世界遺産展」で買った絵葉書。

夕暮れ色に染まるモン・サン・ミッシェル。




「こんな色をお願いしたいのですが・・・」

石丸さんと隣の彼女は互いに顔を見合わせ驚いていた。

彼女は手元の試し書き用のメモを私に見せた。

「あら、そっくり。」

思わず3人で笑ってしまった。


しばらくして、彼女のインクも出来上がり、私に順番が回ってきた。

彼女のインクの試し書きを元に、

「もう少しブルーを多めに・・・」とか

「この色とこの色の中間くらい・・・」など色を確認しながら、ようやく完成した。

そこからまた完成したインクの名前を決めるのにも一苦労。


彼女は自分のインクを購入した後、隣に立って石丸さんと私の会話に加わり

私のインク作りの相談に乗ってくれたり、名前も一緒に考えてくれた。

そうして、結局、石丸さんが名付けて下さった。

『宵紫(よいむらさき)』

なんて美しい名前なんだろう。

日本的な名前にしたいと思っていた私は感激した。



感激したのも束の間。

ちゃっかり者の私は、他に予約のお客さんがいないことを確認して

2色目をオーダーした。

今、愛用しているデルタの『フェデリコ・フェリーニ』のためのセピア色のインク。


この万年筆は一目惚れだった。

そして、手に入れたとき、「この万年筆は絶対セピアのインク!」と決めていた。

いろいろなメーカーのセピアを買って試したけれど、納得の行くものが見つからず、

デルタのインクで自分なりにセピアを作って使っていたけれど、やはり不満足だった。


だから、「今度こそ!」という思いが強かった。

映画に出てくるようなセピアカラーを・・・。

石丸さんは色々な色を提案して下さって、ようやく色が決まった。

・・・が、シェーカーからボトルへ移されたインクはその色よりもグリーンが強かった。

何度か色を加えて修正しようとしたが、その色にはならなかった。

結局、もう一度、作り直して貰うことになった。

石丸さんは「メモの通りに作ったのに、どうしてだろう?」と首を傾げながらも、

嫌な顔一つせずに作って下さいました。

何度も何度も調整の末、ようやく希望のセピアが完成!

この場を借りて・・・

「石丸さん、手こずらせて本当にごめんなさい。そして、ありがとうございました!」


名前は最初から決めていた『フェデリコ・フェリーニ』。

この万年筆のためのインク。




彼女は私が会計を済ませるまで隣にいた。

多分、待っていてくれたんだと思う。

初めて会って、たった2時間くらいの間で彼女について知り得たことは

高校2年生であること、

勉強していてペンだこが酷かったから万年筆を使うようになったこと、

インクに『夜奏(やそう)』と名付けたこと、

言葉の端々から万年筆が大好きであること、

それくらいのことしか知らないけれど、

でも、彼女は同じ趣味を持つもの同士、

石丸さんを囲んで盛り上がった万年筆談義の余韻を私と過ごしたかったんだと思う。


でも、友人との待ち合わせの時間に遅刻しそうだった私は

そんな彼女の思いを察しながら「いろいろありがとう。」とだけ言って別れた。

今思えば、メアドの交換くらいしておけば良かった。

17才もの年の差を越え、同じ趣味でお友達になれたのかもしれないのに。。。


今は、ただそれだけが心残り。











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最終更新日  2006/09/20 02:13:13 AM
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