『2021年を振り返って』鹿島アントラーズ編
『2021年を振り返って』。『振り返ってー』シリーズも2018年を最後に途絶えている。2019年が書けなかったのは、『テディベアテラス』改修で時間と情熱が失われためだ。昨年は『新型コロナ騒動』で振り回され過ぎた。個人的被害はほぼなかったが、世相として人生最大の出来事であった。100年前にも人類が経験したパンデミック「スペイン風邪」と同じく、世界がこの災厄に巻き込まれた。『新型コロナウイルス騒動』の違和感 16)スペイン風邪被害自体はそれより少なかったが(スペイン風邪:感染者5億人、死者5千万人。新型コロナ:感染者2億8千万人、死者540万人)、グローバル時代の情報過多から様々な被害が世界中で広がった。今年も『新型コロナ騒動』は継続して、思考の大半はこの騒動に奪われている。それでも「オミクロン株」の登場により、新型コロナ騒動も収束に向かうだろう。何故なら感染力が強く毒性の低い新たな株が、それまで広がっていた株を払しょくし、天然の免疫を定着させてくれるからだ。有難いことに、インフルエンザウイルスまで駆逐してくれている。皆がこのことに気づけば、この騒動は終わる。これについてはもう少し落ち着いてから記録を残したい。それより情熱の欠如が、ブログを書いたりフェルトを作ったりなどが進まない理由としては重い。とはいえ継続は力なりで、苦しくとも続けたいという気持ちはある。ということで、年末に一つ記事を書こうと思った。2018年以来と言えば、鹿島アントラーズのACL優勝以来ともいえる。そこで、2021年最後は鹿島アントラーズを振り返ることにした。今年書いた数少ない記事の中に、鹿島アントラーズ物が一つある。鹿島VS名古屋 小泉慶5月21日の名古屋戦での小泉慶の活躍を称賛したものだ。しかしその3か月も立たず、小泉慶は8月にサガン鳥栖に完全移籍してしまった。このニュースに大きなショックを覚えた。理由は明確で、ポジションがかぶる安西幸輝が、ポルトガルのポルティモネンセから戻ってきたことによる。小泉慶は、不動のレギュラーという選手ではなく、選手層の薄いところを堅実に埋めてくれるポリバレントな選手だった。安西が戻ってきたのは嬉しかったが、小泉を失うのは痛い、と鹿島サポーターは皆思っただろう。小泉は生え抜きの選手ではなかったが、実直で献身的で誠実な鹿島っぽい選手だった。安西の加入により、放出されたのは小泉だけでなく、白崎凌兵と杉岡大暉もレンタルされた。三人ともサブメンバーとして必要な人材だったが、安西の加入で出場機会がさらに減ってしまうという現実があった。請われて行くチームならば活躍の場も増えるだろうから、本人にとっては良い機会になってほしい。鹿島アントラーズは今年「創設30周年」記念年ということで、今年のミッションは”優勝”が絶対であった。しかし、残念ながら、Jリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯の3大タイトルすべて逃してしまった。2年目のザーゴ監督の手腕にかけていたのだが、開幕ダッシュができずに、前半8試合で、2勝2分け4敗(勝率25%)というありさまで、14位まで順位を落としてしまった。4月2週目でザーゴ監督解任を決断し、相馬直樹コーチを監督にと、大ナタが振るわれた。その後チームは持ち直し何とか盛り返す。相馬監督以後の成績は18勝2分け7敗(勝率66%)。よく頑張ったが、優勝した川崎フロンターレの成績は28勝8分け2敗(勝率73%)で勝ち点はなんと92。69だった鹿島とは、なんと23点差。今年のJ1リーグは20チームで普段より2チーム多い、つまり4試合多くて69では話にならない。数字だけ見れば相馬監督引継いだ時点で、残り全勝しなくては逆転できないほど差が開いていたのだ。しかも川崎戦は2試合とも負けている(接戦だったが)。リーグ戦においては川崎が強すぎた(去年もだが)。鹿島は結局4位で弱くはなかったが、リーグ戦優勝の目が消え、ルヴァンカップ、天皇杯共に逃したことでタイトルゼロが決まり、相馬監督も解任されてしまった。リーグ戦最後の5試合を4勝1分けでしめ、来期に期待を抱かせる終盤だったが、このころには退任は既定路線だったのだろうか。来期は鹿島としては初めての欧州監督スイス人のレネ・ヴァイラー氏が指揮を執る。クラブの首脳は、どんな意図で監督交代を考えたのだろうか。ザーゴ監督を招聘したのは、ボールを支配続ける「ポゼッションサッカー」を目指すという意味があった。しかし、堅守速攻を伝統としてきた鹿島アントラーズには、やや不完全な作戦となってしまった。鹿島が勝つのは、どちらかというと相手にボールを握らせといて、ゲームの中の一瞬のスキをついて賢く点を取って逃げ切るパターンが多い。相手の攻め方を見て、落ち着いてはねかえし、少ないチャンスをものにしてしまう。これが鹿島だ。しかし、他のチームが現代サッカー化して、パスをつなげてディフェンスを崩しにかかるようになってきた。最先端型の川崎や横浜や広島にやられて、首脳陣はちょっと考えるようになった。それでモデルチェンジを狙ったのだろうが、そううまくはい、というのが結論だろう。今年の開幕のメンバーがこちら。昨年終盤にいい感じになった、エベラウドと上田の2トップの布陣だ。悪くはなかったが、清水に逆転負けをした(1-3)。ボールをつないで面白いように攻めていたが、ようやく点が入ったのが75分(得点者・荒木)。この時ザーゴ監督が子供のように大はしゃぎしていた。一方の清水のロティーナ監督は平然と次の指示を出し、さらに同点になり逆転しても顔色一つ変えず、作戦を立てていた。この両監督の様子を見て、今後に不安を持ったのは僕だけではなかっただろう。この初戦の負けが、今年の全てであった。相馬監督に変わって、徳島戦も選手はそれほど変化がなかった。右サイドバックが、それまで出場がなかった常本に変わった。他の選手はザーゴも入れ替えながら使っていた選手。今年のプランの最大の誤算は、昨年のエースストライカーのエベラウドの不調だった。昨年18点をとったエースが、今年は1点。今年の鹿島の総得点が62点だったことを考えると、エベラウドが昨年並みに点を取っていれば79点になる。81点の川崎、82点の横浜にほぼ並び、もっと接戦になっていただろう。そして相馬監督が作った最終形態の最終戦がこちら。初戦と最終戦、両方に先発しているは、CB町田、DH三竿、CF上田の3名のみ。ザーゴ監督のもとポジションを奪ったと思ったGKの沖がクォン・スンテに取り返され、絶対的ディフェンスリーダーの犬飼が怪我から奪われたポジションを取り返せなかった。選手を応援していたサポーターには少し不満だったが、これで勝っていたのだから正解だったのだろう。そして、今年戦ったこのメンバーの中で、町田、犬飼、永木、レオ・シルバ、永戸、小泉、白崎、遠藤、エベラウド(移籍先未定)が、移籍することになった。他にも今年16試合出場している杉岡もレンタル移籍したし、それとクォン・スンテも移籍のうわさがある。ざっと1チーム分の選手が移籍してしまう(しまった)。このメンバーでもそこそこ強い。ルヴァンカップの先発でもおかしくない。これだけの実力と実績のある選手と、鹿島の戦術では未知数の新加入選手たちとを比べた場合、戦力が上がったとは思えない。さらに相馬監督と、奥野コーチ、パシェココーチも退任、ジーコもアドバイザー契約に下がり、30年間鹿島を統率していた鈴木満フットボールダイレクターも退任と決まった。いったい誰が来年を仕切るのだ。鹿島アントラーズの社長はメルカリの社長でもある小泉文明氏。サッカー経験はない。長年鹿島アントラーズのサポーターであったというが、それ以上のものではない。小泉社長の積極的な取り組みは歓迎するが、チームをつくるところまでは期待していない。バルサ化を目指す楽天三木谷社長とは違っていてほしい。優勝できなかったがっかりより、来季に向けての不安の方が大きい。来期はFC東京がミクシィの経営となり、JリーグのスポンサーもどんどんIT化している。Jリーグが進化するのは楽しみだが、新参者に踏みにじっれるのを見るのは忍びない。鹿島アントラーズは他のチームに比べて、選手を大事にして、若手もちゃんと育てて育成していると思っていた。ころころ選手が変わる名古屋や浦和や東京とは違うという自負があった。ところがそうでもなくなっていたのだ。2年前のACL決勝のメンバーを見ると、なんと残っているのは、土居と三竿とクォン・スンテのみ。三竿とスンテには移籍の噂があるので、残ったとすれば結局土居だけか。ミスター鹿島と呼ばれるゆえんか。今望むべくは、上田と荒木の2枚看板は残って鹿島をけん引していってほしい。しかし、実力が認められればステップアップできる、プロの世界に生きる選手としては難しい選択か。選手の移籍情報におびえる昨今である。Jリーグ発足以来サッカーを見るようになってつくづく思うことは、この競技は神様に勝敗の行方をゆだねている部分がかなり多いということだ。何かの試合で柴崎岳が「理不尽な競技」と言っていたが、同じ感覚だ。どんなに試合をリードしていても、ゴールしなければ勝ちにならない。アクシデント(審判のミスジャッジも含めて)で点を決められてしまうこともある。その時の落胆たるやすさまじい虚無感にとらわれる。強いチームとは、神様に愛されているチームだ。どうすれば神様に愛されるようになるのか。結局選手やスタッフやサポーターが神様に気に入られることだ。ということで神様に気に入られるように、”感謝””献身””思いやり”を続けていこうと思ったのだった。来年もよろしくお願いします。