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Apr 3, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
「山城、そちが狸ならば軍団を小山から反転いたすか?」
 
  景勝が何事かを思案しながら訊ねた。

「勿論にござる。天下を手中にいたすためには軍を西上いたさねばなりません」

「このまま、上方に向かうかの」

「いや、拙者なれば大名等を西上させ、一度、江戸にもどり暫く動きを見届けま

すな」  「あの福島正則や黒田長政どもが、それを許すかの」

「許しましょうな、福島正則は治部少輔殿を仇敵と思っております。天下を簒奪

する者は治部少殿と吹き込めば、簡単にのりましょうな」

「豊臣家連枝の福島正則、そこまで阿呆か」  景勝の態度がいつもと違ってみ

える。  「お屋形、合戦を控えて心配ごとでもござるか?」

「狸成敗のことじゃ、奴が反転した時の我等の戦略じゃ」  

  山城守の顔色が変わった。

「内府を追撃せぬと仰せか」  「思案中じゃ」

「我家の戦略は決まっておりましたぞ、この度の合戦では内府が反転した時が

勝負。全兵力でもって背後を衝かねば勝てませぬぞ」

「分っておる。我が領内に一歩でも踏み込んだら、全力をあげて叩きふせる。

その為の佐竹殿との同盟じゃ、わしは西軍と東軍の大軍同士の戦闘の帰趨が

知りたい。この勝負は長期戦となろう」

  青味をおびた景勝の顔面が紅潮してみえる。

「山城、川中島の合戦を思い起こせ、一ヶ月もの睨みあいの末の合戦となった。

今回の合戦は日本を真っ二つとした大合戦じゃ、勝敗がつくまでに何か月もか

かろう」    直江山城守が反論した。

「お屋形は、何を考えてござる。合戦とは勝てる時に仕かけねば勝てる戦にも

勝てませぬ、追撃こそが我家の軍法にござるぞ」

「山城、そちは忘れたか、我家は義と信を奉ずる家柄じゃ。狸の背後を襲うなん

ぞは、我家の家法に恥じる」  はじめて主従の意見が異なった。

「山城、わしも堂々と西軍の一員として合戦に参加したい。それには兵力不足じ

ゃ、よって最上領を先に攻略したい」

  兼続は言葉を飲み込んだ、彼の明敏な頭脳に不安感が奔りぬけた。

「もしも、最上攻めの最中に西軍が、敗れるような事態となればいかがなされる」

「杞憂じゃ、西軍には治部少輔殿と左近もおられる。信州には真田昌幸もおる、

天下の三代軍師と云われたそちが、何を恐れる」

「余りにも巧緻な戦略ですぞ。万一の場合は我が上杉家は、家康の前に膝を屈

することになりますぞ」

「西軍に負ける要素は見当たらぬ、わしは最上領を手に入れ、背後の愁いをなく

し精兵を率いて西上いたす。これがわしの夢じゃ」

  主人の景勝の命令は絶対である。

「分り申した。内府が小山を転進する時は軍勢を動かしませぬ。しかし攻撃をう

けた時の準備だけは整えておきます」

「山城、了解をしてくれたか、わしの夢を叶えてくれえ」

  ここに上杉家の方針が大きく転換したのだ、山城守も景勝の言い分は分るの

だ。せめて関ヶ原における合戦は、一ヶ月ちかくの長期戦になるよう望みを託し

た。その間に最上領を攻略してみせる、そう心に決した。

  直江山城守は景勝の意をていし、ひそかに支城に使いを派遣し出陣の用意

を命じた。七月二十五日に若松城に急使が駆けつけてきた。

  白石城落城の知らせであった。前日の早暁、にわかに伊達勢の大軍が攻め

寄せてきたのだ。あいにく守将の甘糟景継は、徳川対策で若松城に出張中で

あり、弟の登坂式部が留守をあずかっていたが、徳川軍団が会津に侵攻すると

の情報を得た伊達政宗は、ただちに行動を起こしたのだ。

  白石城は、もともと伊達家の旧領であった。白石城の上杉勢は果敢な抵抗

をみせたが、政宗は一万余の大軍を擁して攻め寄せたのだ。

  登坂式部は衆寡敵せずとみて降伏した、流石は奥州の覇者と異名をとるだ

けの伊達政宗の素早い攻撃であった。これを聞いた景勝は激怒した。

  すでに最上攻めを命じていたが、急遽、伊達勢に対しても交戦するよう下知

を発した。

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Last updated  Apr 3, 2007 09:19:42 AM
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