1179334 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

長編時代小説コーナ

長編時代小説コーナ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

龍5777

龍5777

Favorite Blog

鮭の切り身焼き New! Pearunさん

^-^◆ あか・あお・… New! 和活喜さん

女子ゴルフパリオリ… New! クラッチハニーさん

さよならを言う前に … New! 千菊丸2151さん

良いのか悪いのか! New! 韓国の達人!さん

Comments

 人間辛抱@ Re:何故、安保法制が必要なのか。 (08/09) どうもお久しぶりです。 新型コロナウイル…
 http://buycialisky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) cialis muscle paincialis daily use side…
 http://buycialisky.com/@ Re:改定  上杉景勝(12/11) cialis 5 mg prezzo in farmaciaanti cial…
 http://buycialisky.com/@ Re:騒乱江戸湊(04/28) cialis in spanien kaufenavoid counterfe…
 http://buycialisky.com/@ Re:「改訂  上杉景勝」(04/21) what happens if a woman takes viagra or…
 http://viagraky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) offshore viagra &lt;a href=&quot; <sma…

Category

Freepage List

Calendar

May 18, 2007
XML
カテゴリ:暗闘
         (初陣)
  こうしたなか政府軍東山道総督府の大監察、香川敬三は本営を宇都宮城に

置き、小山宿方面の情報を探っていた。

  古川藩から藩境の南方方面に軍団の集結があるとの一報に接し、旧幕軍

の狙いが小山宿であると予測した。その頃、大鳥隊の先鋒軍はようやく小山の

東南の地、下妻に着陣したばかりであった。

  主力部隊も、小山からやや下がった諸川(もろがわ)でようやく中軍と合流し

態勢をととのえはじめた時期であった。

  古川藩境で蠢動(しゅんどう)する旧幕軍は、大鳥圭介も土方歳三も知らない

部隊であった。東山道総督府の香川敬三は大鳥部隊の進出と考え、南関東各

地に小勢の兵力を出撃させていたが、急遽、小監察の土佐藩士平川和太郎に

偵察を命じた。平川隊は奥州街道を南下し古川に向かった。この隊は笠間藩

(かざまはん)を主力とし壬生藩(みぶはん)、彦根藩で編成された部隊であった。

  政府軍が大鳥部隊と考え、一方の大鳥圭介がその存在を全く知らない一軍

は、伝習七連隊、草風隊、貫義隊、回天隊、凌霜隊の八百名の混成部隊であり

大鳥隊とは別ルートで北上していたのだ。まさに偶然の賜物であった。

  この部隊は小山宿を目指して進撃していた、香川敬三は幕府脱走隊の実力

をあまく見ていた。彼は戦場予定地から遠く離れた宇都宮城から、小勢の兵力

を出撃させていた。所謂、兵力の小出し作戦である、これはもっとも稚拙な戦術

で、古来から忌み嫌われる戦術であった。

  各個撃破の危険もあるし、軍団どうしの会戦ともなれば、兵力の集結が遅れ

敗戦につながる恐れを秘めていた。

  この情報の錯綜する時期に政府軍は諸川北東の結城に、長州藩の祖式金

八郎が指揮する五百名の隊を派遣していた。祖式金八郎は結城から諸川の

途中に位置する武井村付近に、旧幕軍の動きがあると知らされ、半数の部隊を

移動させていた。まさに絵に書いたような兵力の小出し作戦である。

  この方面を目指している旧幕軍は大鳥圭介率いる主力部隊であった。彼は

伝習隊を二分し、一隊を結城道から武井に向け、残りの一隊には小山宿攻略を

命じ、二隊は猛然と北上を開始した。

  四月十六日、平川隊は宇都宮から小山宿を経て、古川から南の粟宮の地に

達した。そこに祖式金八郎からの救援要請が届いたのだ、平川隊は要請に応じ

再び北上し、小山宿から奥州街道をぬけ結城道にむかって進撃をはじめた。

  その時刻、武井村付近で大鳥軍と祖式隊が本格的な戦闘に突入していた。

戦闘は祖式隊からの攻撃で始まったが、伝習隊の奮戦で大鳥軍が初の勝利を

えた。一方、伝習七連隊と草風隊を主力とする別働隊は、古川藩には目もくれ

ず北上し、小山宿東側に広がる畑に兵士を展開させ、平川隊への攻撃態勢を

ととのえていた。平川隊は笠間藩兵を先頭として犬塚方面に向かっている。

  風が麦畑を吹きぬけ、畑に身を潜めた凌霜隊士は初陣の恐怖と戦ってい

た。彼等の後方に貫義隊が命令を待って潜んでいる。

「隊長、いよいよですな」  茂吉の傍らに坂田副長が顔を引き締め待機して

いる。隊士の面々はスペンサー銃を構え、緊張で顔を蒼白として街道を見つめて

いる。  「参謀長、命令があるまで勝手な発砲は禁じます」

「了解です」  速水参謀長が各士官に命令を伝達している。

「初陣じゃが逸るな。心を鎮めて一発必中で敵を射倒せ」

  速水参謀長の注意に勇んで各士官が持ち場にもどって行った。

「来ましたぞ、副長、相手は笠間藩兵です」 茂吉の視線に敵兵の姿が見えた。

「装備が古い」  彼等は洋式軍ではなく旧装備で鎖帷子(くさりかたびら)や

陣羽織姿で刀槍を所持している。

  満を持していた草風隊の村上求馬が攻撃を命じた。大小砲がうなり平川隊が

算を乱している、笠間藩兵が手槍をかかえ突撃してきた。

「射撃開始」  茂吉の声が凛と響いた。スペンサー銃が軽快な銃声を吹きあげ

た。面白いように命中し、敵兵が逃げ惑っている。

「凄い銃じゃ」  隊士が平静にもどり、貫義隊の突撃を援助する一斉掃射を

開始した。銃声と白煙の漂う中、貫義隊が抜刀し麦畑から突撃に移った。

直ぐに笠間藩兵と白兵戦となり、激闘がそこかしこに始まった。

秘録 凌霜隊始末記(1)へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  May 18, 2007 09:12:27 AM
コメント(5) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.