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カテゴリ:車
昨日列車を待つ間に読んだ探偵小説の聞き込みの場面(刑事と住民)
「鈴木のマー坊に活躍してもらうことにしたんです。」 「誰ですか、その鈴木さんというのは?」 「鈴木のマー坊は人じゃありませんよ。私が二十年来乗り回している愛車です。」 「鈴木?」 「そうです。」 「マー坊?」 「ええ」 「誰なんです?」 「車だといっとるでしょうーが!」 別の警部 「お前が勘違いするのも無理はないが、彼のいうとおり鈴木のマー坊は人じゃなく車なのだ。気にしないで話を続けろ」 ーそのあとの場面ー 「当時の若者に人気の名車?軽トラが?」 「軽トラックではなーい!」 住民は血相を変えて刑事を睨みつけた。 「鈴木のマー坊は断じて軽トラックではありません。いうなれば二人乗りスポーティーカーです。」 ますますおかしなことをいう。 「軽自動車?」 「そうです」 「二人乗り?」 「ええ」 「荷台付き?」 「そう」 「軽トラじゃないですか」 「スポーティーカーなのッ!」 別の警部 「お前が勘違いするのも無理はないが、彼のいうとおり鈴木のマー坊は軽トラックではなくてスポーティーカーなんだなあー。」 ー実車を前にしてー 荷台付き二人乗り軽自動車、しかしながら軽トラにあらず。唯一無二とも思えるその奇妙なフォルムを前にして、刑事は住民の言葉に一点の誤りもないことを思い知った。 刑事はその小ぶりな荷台を前にして思わず考え込んだ。この荷台、引っ越しに使うには小さすぎる。かといって、旅行荷物を載せるには広すぎるようだ。いったい、当時の若者はこの中途半端な荷台をどう使いこなしたのだ? 実車を見た事の無い人には理解できない行であるが、私は吹き出してしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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