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鶴岡アートフォーラムで気になる展示がこの週末に2つある。 その1つが鶴岡市在住の「フィルム好き」7人が結成しているnico-photography主催の写真展「フィルムでいこう」 私がカメラ(注)を使うようになったのは、甥っ子が生まれてから。とにかく可愛くて撮らずにいられなかった、というのが正直な気持ち。構図や色調に凝るなんてこともなく、とにかくパチパチ撮っていた。メンバー七部衆のうち、数人の女性はやはり子どもを撮りたい!と思った事がフィルムカメラの道に入るきっかけになっていらして、腕も意気込みも到底及ばない私だけど、なんだか「うんうん!わかるわかる!」と妙に興奮してしまったのだった。 注:もちろんバカチョンカメラ(死語?)である。しかしカメラ好きの知人は当時(もはや大昔)「“バカチョン”なのは撮る人間であってカメラじゃないっ!」と怒っていたっけ。 なんと気前のいい事に、全員の作品が絵葉書になっていて、自由にいただけるというかなり嬉しいお土産付き。「この葉書全部ってわけには行かないよね~」という友人の呟きが聞こえたらしく、「お一人2枚から3枚になってます」と教えてくださる。「じゃあ3枚ね」と即答する私。オバサンのえげつなさ丸出しである。でもいい。1枚でも多くもらいたいから。 友人と二人でいただいて来た葉書たち。 撮影場所は鶴岡公園のベンチ。木漏れ日が陰影をつけてくれていい感じだったので。 迷いに迷った末、私が選んだのは下の3枚。表に撮影者の名前が載っていた。ダリアがサトウタイラさんパリの風景画はItoさん丸いフォルムの花がYOMEさん。 タイラさんは実に座り心地のいい椅子を、展示作品を一望できる絶妙の場所にセットして勧めてくださった。黒を基調にした作品で、鮮やかな花に囲まれながら、ピンポイントの位置に一枚だけ人物写真(美人)が混じっている。「これはやはり意図的なんですか?」と尋ねた私に、気さくに回答してくれるタイラさん。「嫁(注2)が写っているからってわけじゃなく、この写真の“黒”が気に入って、それに合わせて他の写真を撮ってみたんです。」彼によると撮影時に露出をかえたり工夫したりする訳ではなくて、現像の段階で「黒く」するのだそうな。土門拳か、と思わせる切り取り方で大写しした花の、色調は蜷川実花風。力強くてお洒落。現在は教会の塔の写真に凝っていらっしゃるとか。寺の塔の写真は大好きな私だが、教会とは目の付け所が違う、と感服。 注2:モデルの美人は会場内に【嫁でもできる写真現像】として緻密な工程写真が張り出されているその「嫁」さんの若い頃のお写真なのだそう 友人が選んだのはこちらの3枚。手元にないので撮影者は不明だが、右下の桜の花びらが石畳に吹き寄せられている一枚は確か展示されていたSHUさんの作品だったと思う。 春夏秋冬の「空間」を切り取ったレイアウトで展示されていた中の一枚。その上にあった不思議な一枚は、青空を背景にして「手のひらを太陽に♪すかしてみればー♪」的な構図で、二重写しのように花の写真が手のひらを透かして写っていたのだ。友人とどうやって撮ったんだろう、と眺めていたら、ご本人が解説してくださった。「1枚のフィルムで2回撮ってるんですよ。昔のカメラは自分で巻かないと次のフィルムに回らないんで。最初に手のひらを撮って、大体手の位置を憶えてから、この時は花が一緒がいいかな、と思って撮ってみたんです。」 なるほどー。奥が深い。一方友人は一緒に展示されていたカメラや撮影に使ったレトロなカメラの年代が気になったようで、昭和初期のものですか?と尋ねていた。「さすがに初期ではありませんが、戦後10年くらいのものですかね。上から覗いて写すタイプで、いまだと9千円台で買えるんですよ。」ほほーっというか、そんなに安く?!「手間がかかりますからね」確かに。でもだからこそできる技もこうしてあるのだものね。 さて。余韻が醒めない女二人。デジタルカメラと携帯を構えて会場の外でにわかカメラマンに変身。(傍目にみたらかなり怪しい二人だったろう…) とにかく空が青くて、無条件に心が晴れ晴れ。写真の方はのっぺりしすぎて面白味がないけど、まぁ良しとしよう。気持ちが秋晴れって感じだから、これでいい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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