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最近の関心事・思う事

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2018.09.19
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8月下旬に三井ビルのど自慢大会と、麻布十番納涼祭を観に行った事迄はブログに書いた。
その後は最悪の状態だった。

8月中旬頃から、テレビが映ったり映らなかったりしていた( 東芝 REGZA 19P2 )。
元々仕事に行く前に、天気と交通情報、正確な時刻を確認する為にニュースを見る程度だったが、朝の時間にテレビが付かず、夜に復活する状態だった。

リモコンも購入当初から、音量操作をしていないのに、テレビを付けるといきなり大音量になることがあった(例えばいつも音量4にしていたら、テレビを付けても通常は音量4になるはず)。今のマンションに引っ越してからは、イヤホンで音漏れしないようにした。朝のニュースを見る時もいつも音無しで見ていた。
しかしリモコンについては、購入当初にサポートセンターに問い合わせたが問題無いと言われた。

リモコンは何とかなるとして、テレビ本体については、必要な時に見られないのでは困るので、のど自慢大会の後に修理に出した。
今はまだ仕事をしていないからテレビが無くても困らないし、ネットさえあれば問題無いと思っていた。
しかし修理代が4万円掛るかもしれないのか・・。ついてない。

ところが、8/31に突然 モバイルネクスト の Wi-Fi ( FS030W )が繋がらなくなった。
サポートセンターに問い合わせたら、ソフトバンクのこのSIMカードは突然使えなくなる事が多いとのことで、SIMカードの交換が必要と言われた。
交換のために送ったが、戻ってくるまでに3週間はかかるとのこと。
8/31時点でまだ4GB残っていたし、9月もしばらくは使えない。

この件について再度サポートセンターに問い合わせたら、月末時点で使えるGBが残っていたとしても、月初でリセットされ、修理で出していてその間使えなくても容量の繰り越しは出来ないと言われた。

1か月30GBまで制限無しで使えて月額税込3770円とお得なプランだが、今月は半月しか使えないのに3770円支払うのは割高だ。

理不尽だ。今時仕事探しもネットだし、知りたいことを調べるのも、株式投資もネット。こちらは正しい使い方をしているのに突然SIMカードの不具合を起こしておいて、ユーザーに不便と損を強いるとは。今時3週間もネットが使えない不便さを考えたことも無いのか。

仕方がないので、2日か3日に1度、マクドナルドやカフェのfree-WI-Fiでニュースや気温、天気予報に株価、ブログにメール、アルバイトサイトの閲覧をするようにした。
マクドナルドのfree-WiFiは制限時間が1時間と決められているので、仕事探しには限界があるが、それでも外界の情報が入ってくるだけでも全然違う。感謝感謝ありがたやありがたや・・

当初はネットカフェで何とかしようとしていたが、駅前にあったネットカフェはいつの間に無くなっていた。
駅と反対方向にあるマンガ・ネットカフェは、30分の利用料金も高い上、ネットを利用する人は年会費も取られる。割に合わないのでやめた。
マクドナルドで100円のコーヒーを頼めば1時間もfree-Wi-Fiが利用出来る時代に、こんな利用者の足元を見た価格設定を続けるなら、ネットカフェは潰れるだろう。

そんな状況なので、9/4の台風21号と9/6の北海道地震は後日知った。9/4は台風が関東に直撃しているのかと思う位、一日中大雨と強風が吹いていたが、直撃は関西だったのか。

オフラインの作業しか出来ない状況だったので、契約しているNetflix(ネットフリックス)で以前ダウンロードした映画を楽しもうとしたが、多くの作品で視聴期限が切れていた・・更新をすれば見られるが、それにはネット接続が必要。

8/31にネットが利用出来なくなってから数日間は、僅かに残っていた映画で凌ぐことが出来たが、その後は全ての映画の期限が切れてしまった。
こんな事態が起こると事前に分かっていれば、ネットが繋がらなくなる前に見たい映画のダウンロードと更新をかけていたのに・・
「グッバイ、サマー」という、夏の終わりを締めくくるのにふさわしいフランスの青春映画を8/31迄に再視聴するつもりだったが、視聴期限に間に合わなかった。
(「プロヴァンスの休日」の視聴はギリギリ間に合った。)

テレビとネット両方が不在で、肝心な時にNetflixの映画も見られないとはタイミングが悪すぎる。何てついてないんだ。とんだ予定狂いだ。仕事探しはどうしよう。

オフラインで落としてある音楽や、昔MDやカセットテープに入れた曲なら聞けるが、今回の事が無くても音楽は聞いていたし、MDやカセットテープに入れた曲は「イタ曲」ばかり。これだけでは凌げない。
(洋楽の名曲が足りない!)

イタ曲・・1996年頃~2004年頃に好きで聞いていた曲は、最近聞くと「イタイ」と感じるからそう書いた。ビジュアル系が若者に流行していた頃~ブログが普及する前と言ったらいいか。2005年~はデジカメを購入しブログを書くという、今の生活とほぼ変わらない事が出来ていたので、2005年~はまだ現代という認識がある。

2004年迄はまだ使い捨てカメラを使っていた。ネット視聴を既にしていたかまでは覚えていない(2000年頃~大学のパソコンで2ちゃんねるを目にしたことはあったが)。携帯電話はまだアンテナが付いたタイプだったはず(私は少なくとも2004年迄はJ-PHONEの携帯電話を使っていた)。
現代と変わらないように見えて、よく見ると現代文明の一歩手前の状態。

1995年迄の曲は、既に「懐メロ」に昇華されているので普通に聞けるが、1996年~2004年という、中途半端な昔(町行く人の見た目が現代と変わらないように見えて、よく見ると一昔前の文明の只中にあった時代)の曲はイタくて聞く気が起きない。

昔は1994年~現代という意識があったけど、もはや手遅れ(←何が?)。更に細分化すると、スマホの普及前後(2010年を境)、アナログ放送終了前後(2011年迄と2012年~)、
lineやフェイスブックの普及前後(2012年迄と2013年~)というのもあるが、まあいいか。

こんな生活でストレスを溜めたくないので、スーパーでの食料品の買い物金額を調整しながら、マクドナルドで「金の月見バーガー」や、初めてMAXカフェでカルボナーラパスタを食べたり、ドトールで「レモンミルクレープ」とドリンク、ベックスコーヒーショップで「30品目プレート~20種野菜とパストラミビーフのサラダプレート」も食べたりした。

以上の理由で本を読む(しかない)時間が出来たので、
手始めに今年の2月にアマゾンで購入し、まだ手を付けていなかった、「革命家皇帝・ヨーゼフ2世」を読んだ。
皇帝に関する数々の逸話を集めて、ヨーゼフ2世という人物像を浮き彫りにした本だ。
ヨーゼフ2世とは、オーストリア皇帝で、マリア・テレジアの長男であり、マリー・アントワネットのお兄さんでもある。

読みながら、220年以上前に亡くなった人なのに、現代人の私との知能指数の違いに愕然とさせられた。
皇太子時代は、月曜~日曜・祝日の、朝6:45~夜21:45迄、毎日時間割を組まれた。そこには朝食・昼食・夕食・行事も含まれていただろうが、
少なくとも自由時間は21:45以降~6:45迄しか無かったと思われる。しかも2/3は寝る時間だし。

多くの時間、皇帝になるべく教育に充てられたようだが、よく居眠りすることなく吸収出来たな。私なぞ、資格を取ろうと参考書を買っても長続きしないことがほとんどだ。
ヨーゼフ2世だったら、日本語を半年以内に生活に困らない程度に修得し、1年以内に資格も楽勝で取れそうだ。

母国語のドイツ語以外にも、フランス語・イタリア語、恐らくラテン語も流暢に話した。何で外国語をそんなに簡単に覚えられるのか?
ヨーゼフ2世は、神聖ローマ帝国領地を自分の足で視察して回った。そして農奴解放、宗教の自由、出版の自由を認めた。その他にも拷問の廃止や、貴族が一人占めしていたプラーターの民衆への開放など、人民の為に、あらゆる無駄を省き、効率の良い統治を目指した。
何故こんなに自分のすべき事が見えるのか?何故こんなに的確な指示が出せるのか?
現代人の私は、学生時代に授業をしっかり聞いて家でも復習し、いい成績を取った時期でも、その後の自分の能力に何も結びついていない。
このような状態なので、会社で仕事をするようになっても、自分から気が付いて会社の業績を上げたことも当然ない。

しかしマリー・アントワネットはお兄さんに全然似てないな・・むしろ彼女が当時のオーストリア皇族にしては「特殊」なのかも知れないが。

上記本を読み終わると、今度は、昨年秋の免許更新時にもらったけど読んでいなかった自動車教本に手を付けた。
はっきり言って内容をもう少し何とかした方がいいんじゃないの?読み終わる頃には、「自動車になど乗るものか」と思ってしまう。
「自動車事故を起こすと、こんな不幸な事が待っています!」といった内容ばかり。こんな刑務所行きと隣り合わせの乗り物を運転する位なら、乗らない方が安全だ!としか思えない。自動車メーカーの販売妨害に貢献するばかりだ。。

AED(?)の使い方とか、けが人の応急処置の方法についても書いていたが、読んだだけでは分からないし、例え年1回の訓練に参加したとしても覚えられん。
自動車故障の応急処置方法も、オイルとか怖くて触れない。自分がやったら何かを間違えて爆発させそうだ。

私も20代の時は怖いもの知らずだった。学生の時に引越のアルバイトをしたことで、力仕事に憧れを持っていた。
仕事柄強引にフォークリフトの免許を取ったし、自動車も、「オートマはカッコ悪い。マニュアル車をカッコよく乗りこなしたい」と思っていた。
積極的に湘南海岸沿いを一人で走行したし。親父に似て運転センスがゼロなのに、当時は恐れと言うものを知らなかった。

もっと、自動車に乗る楽しさ・すばらしさ・便利さ・メリットを教えてもいいんじゃないか?20世紀初頭に自動車が発明された頃は、もっと希望に満ちた楽しい乗り物だったはず。いつからヤンキーや事故、維持費を恐れる「物体」になったのか・・
読み終わった後はすっかり鬱な気分になり、教本はゴミ箱にポイ捨てした。


自動車教本を読み終わると、今度はラクロ の「 危険な関係 」を図書館で借りた。

中央公論社・昭和39年初版の、「世界の文学 3 」。ラファイエット夫人の「 クレーヴの親方 」とセットで掲載されている(「 クレーヴの親方 」の感想は​コチラ​)。
(こんなに分厚いのに、390円だって。安!)

作者のラクロの肖像画を初めて見たが、いい男だね~。自身がヴァルモン子爵のモデルなんじゃないか?
軍人だから、ヴァルモン子爵みたいに暇を持て余すことは無かっただろうけど。
ラクロ自身も、爵位と資産は無いとは言え、一応「平貴族」だったらしい。

映画では、ヴァルモン子爵とメルトイユ侯爵夫人は度々会っていたが、原作は、彼ら2人と、彼らに関係する人々が書いた書簡(手紙)を掲載することで、物語の体を成す構成になっており、
8月~12月の間に交わされた書簡を読む限りでは、2人が実際に会ったのは1回のみ(第174信 ヴァルモン子爵よりメルトイユ侯爵夫人へ)。

それにしても、18世紀のフランスで、書簡(手紙)はそんなに早く届けられるものなのか?
登場人物の誰もかれもが、長い書簡を現代のSNSのような頻度でバンバン交わしている。

小説「危険な関係」を原作にした映画「 恋の掟 」と「 危険な関係 」は以前視聴し、感想も記したが(以前のブログ⇒「​恋の掟​」「​危険な関係​」)、
映画「 危険な関係 」は、ストーリーが原作に忠実でありつつ、当時の貴族のゴージャスさと、華々しい展開が楽しめる。煌びやかな中にピリッとする怖さがある。
映画「 恋の掟 」は、原作と少し違う展開を見せつつ、それ故に原作よりも救いを感じる。人間の生き生きとした躍動感がある。
そして、小説を読んで思い浮かんだ登場人物像はどれも「 恋の掟 」の方がしっくりくる。

翻訳の問題かもしれないけど、

セシル(ボランジュ嬢)が修道院時代の友人(ソフィー)に宛てた書簡の文面が、「ソフィーちゃん」とか「あたし」とか、お子ちゃま臭がすごい。
映画「危険な関係」でセシルを演じた、ユマ・サーマンは15歳設定にしては大人っぽく、洗練されている。原作のような「うぶ」で「あどけない」感じには見えず、あか抜けている。上記のような文面で友人に手紙を書く図は想像が付かない。

映画「 恋の掟 」は、よくこんな「イモ」を見つけてきたな、と思うような原作のイメージにピッタリな「女の子」を採用。ミロス・フォアマン監督はよく分かっている!
西洋人は大人っぽいと言われるが、この女の子は15歳にしてはひどく幼い。日本人基準で見ても、高校1年生には見えない。中学生としてみても、年頃の事にちっとも関心が無い幼さを感じる。黒髪なのが原作と違うけど、ブロンドの候補者の中に、これほどしっくりくる役者がいなかったのだろう。

主人公のヴァルモン子爵は、ツールヴェル法院長夫人を落とす(騙す)為の手紙が正直鬱陶しかったが、これは、大部分の女が「好意」を抱くような、相当な「いい男」でないと、現代日本だったら警察に相談されるレベルだ。必然的に映画「 恋の掟 」のコリン・ファースか作者のラクロの顔しか思い浮かべられなかった。

ヴァルモン子爵が認めたくない恋心を抱くツールヴェル法院長夫人は、生真面目で世の中の流行にも興味が無い、ちょっとクセのある女性。
映画「 危険な関係 」で彼女を演じたミシェル・ファイファーは誰が見ても美人の領域なので、その意味でも映画「 恋の掟 」で夫人を演じた女性の方が個性的な風貌も手伝ってイメージに合っている。

ダンスニーは・・映画「 危険な関係 」で彼を演じたキアヌ・リーブスの方が少なくとも原作通りの20歳の若者に見える分まだいい。
映画「 恋の掟 」は、17歳の「少年」に設定変更されている。しかし原作のダンスニーの熱しやすく冷めやすい「青臭い恋心」は、17歳のお子ちゃまの方がしっくりくる。それにしても「 恋の掟 」でダンスニーを演じた役者の外見が1ミリも好みじゃない。

メルトイユ侯爵夫人は、確かに悪賢いが、彼女がヴァルモン子爵に宛てた書簡を読んでいると「若さ故の隙」も感じる。
自身の生い立ちや「訴訟問題」を抱えていることを書いていたが、ヴァルモン子爵に弱みを握られる可能性を考えなかったのだろうか?ちょっとしゃべり過ぎなのではないかと思う。そして「訴訟問題」というゴタゴタ中に悪事を働かない方が良かった。人を陥れる計画というのは頭も神経も使うし、注意力も必要だ。
訴訟問題の片手間で出来ることではないと思う。それにしても「横領」とか出てきたけど、一体何をして訴えられたのか気になる・・
そして彼女の人を小馬鹿にしたような態度というか笑いは20代の若い人を連想する。

映画「 危険な関係 」で彼女を演じた大女優(グレン・クローズ)は、18世紀の人が今の人よりも「老けていたであろう」ことを考慮しても、36歳より若くは見えない・・だからものすごい貫禄で、知性がにじみ出ている。

映画「 恋の掟 」のアネット・ベニングの方が若さ故の隙を感じて原作のイメージに合っている。「小悪魔」的な雰囲気も。


この小説で最も「善人」なのはヴァルモン子爵の伯母である、ローズモンド夫人。これは映画「 危険な関係 」も「 恋の掟 」も共通。
みんなこの年老いた夫人を頼ってバンバン書簡を送る。

ヴォランジュ夫人も、案外悪い人ではない。ヴァルモンに恋するツールヴェル法院長夫人から、途中で頼りにされなくなってしまったが、それでも友人として、死の床にいる夫人を毎日看病した。

もしヴァルモン子爵の愛を得られなかったとしても、ローズモンド夫人とボランジュ夫人の3人で慎ましく生きるのも悪くはなかったのでは?

話は変わって、おびただしい数の書簡のやり取りを見て感じたのは、バルモン子爵の偉そうな様子と、メルトイユ侯爵夫人のヴァルモンに対する冷たさ・意地悪さ。
そして、男が女の話をさっぱり聞かないということ。というか、自分に「不都合」なものは無視しているのかもしれない。
ツールヴェル夫人がヴァルモン子爵からの好意を避ける理由として、「既婚者」であり、世間体が気になるからというのは当然の事なのに、それを書簡でヴァルモン伝えても、「コイツ、読んでるのか?」と思う位、上記理由についての言及をしない。というか無視。
「せめてあなたを恋する気持ちを伝える書簡を送る権利をお許しください」と言うが、そんなの許したらまずいだろう。

相手が拒む理由を1つ1つ払拭する(安心させる)方法について考えもしないで自分の気持ちを押し付け、ただひたすら強引!

そして、メルトイユ侯爵夫人との「悪の」やり取りにしても、ヴァルモンは彼女の言わんとすることを文章から読むことが出来ていない。非常に分かりやすく書いているのに。

何度も、「ヴァルモン子爵、あなたは認めたがらないけど、ツールヴェル夫人に恋をしている。
私を彼女よりも魅力の劣る、1段低い女の扱いにしたことを不愉快に感じているので返事を書かなかった。
ご自身が正しいことを認めてもらいたい、そして私からの好意を勝ち取りたいと思うのであれば、ツールヴェル夫人をこっぴどく振り、その証拠の書簡を私に届ける事」

と言っているのに、それに対する返信は、毎回、恋している事を否定しつつ、
「他の女には感じ得ないツールヴェル夫人の魅力」という「余計」な事を記載して、メルトイユ夫人を不快にさせている。
夫人との約束は結局何一つ果たしていない・・いや、セシルについては果たしたか。
しかし、ツールヴェル夫人にショックを与えただの振っただの、得意げに報告しながら、同じ手紙の中で、すぐに「仲直り」出来るよう取り計らった事まで記載。
メルトイユ夫人の言いたいことが何も分かっていないようだ。文章をちゃんと読んでるのか?

あまりにもヴァルモンが理解しないので、業を煮やした夫人が、ツールヴェル夫人を「決定的」に振るための例文を送ったが、
それをまともに吟味もしないでそのまま夫人に送り付けるとは・・現代人の私から見ても、「その文章を送ったらまずいんじゃないか?」
と思うような内容だったが、彼の計画では、これで一度振って、メルトイユ夫人に依頼を達成した旨を報告、その後、ツールヴェル夫人と仲直りすればいいや。前回、浮気現場を目撃させてショックを与えたけど、私の書簡で許してもらえたし・・とでも思っていたのだろうが甘かった。

メルトイユ夫人が書いた文章は、ツールヴェル夫人への”永遠”の一撃となってしまった。

夫人が欲しかった報告は、
「ツールヴェル夫人に、”あなたの事は飽きた。私に纏わりつかれるのも鬱陶しい。二度とそのつまらない顔は見たくない”と言ってやりました。
当然今後も彼女に会うつもりも無いし、会いたくありません。その事で彼女が生きようが死のうが、正直どうでもいいです。
それよりも、あなたのような魅力的な女性に、こんな女に恋していると”勘違い”されたのがショックです。」

まあ、常に悪事を企んでいる夫人だから、上記言い方でも、そんなに優しい対応はしてくれないだろうが、上記気持ちが「真実」であれば
ヴァルモンを陥れる事はしなかっただろうし、また「いい関係」になれたことだろう。

残念ながら、メルトイユ侯爵夫人に、品行方正なツールヴェル夫人を陥れる計画を初めて話した時から、文章にはツールヴェル夫人に対する「恋心」が散らばっていた。
メルトイユ夫人は何となく勘づいてはいたものの、まだこの段階では確証が無かったので、ヴァルモン子爵を陥れる事までは考えていなかったと思われる。


そして女の話を聞かないと言えば、ダンスニーの書簡が鬱陶しい。
小説を読んで、余計にダンスニーが嫌いになった。

ダンスニーとの交際がボランジュ夫人にバレて(バラしたのはメルトイユ侯爵夫人)、ダンスニーとの文通を禁じられたセシルとの間を取り持つ役目をヴァルモン子爵が担うことになった。ヴァルモンはセシルからの手紙を渡すため、ダンスニーと「親友」になる。

ヴァルモンはダンスニーを通じて、セシルの信頼を取り付けた。「処女」を望む婚約者のいるセシルと「関係」を持つため、ダンスニーからの手紙を確実に渡す理由を口実に、セシル自身にヴォランジュ夫人の部屋にあるセシルの部屋の鍵を取りに行かせ、合い鍵を作った。

上記について、セシルは中々実行に移さなかったので、「セシルはもう君と交流したくないようだ」とダンスニーに勝手に報告。
ダンスニーはこれを信じて、「僕の親友ヴァルモンを信頼していただけないなんて、残念です。あなたは僕の事をもう何とも思っていないんですか!」
と1人勝手に騒いで盛り上がった。

これに対してセシルは、「ダンスニー、あなたの事を何とも思っていないなんて言った覚え無いですよ!ヴァルモン様はあなたに何と言ったんですか!」と怒ったが当然だろう。恋人の口から直接出た言葉以外を信じたらお終いだよ。よく嫌われなかったな。セシルは渋々承知して自室の合鍵を作らせたが、おかげでお前が1番嫌う事態になっちまったじゃんよ。


上記の経緯があるので、

「第174信 ダンスニー騎士よりローズモンド夫人へ」

に見られる彼の対応が不愉快だ。
ダンスニーもメルトイユ侯爵夫人との行為に耽ったくせに、ヴォランジュ嬢(セシル)のことを
「不実」だの「呆れた」だのって・・お前が言うな!と思う。自分はいいのか?やっぱりダンスニーは嫌いだ。(映画「 恋の掟 」でダンスニーを演じた俳優の顔を思い浮かべながら読んだら、不快感が数割増す。)
「ヴァルモン殺し」で課せられた精神的償い以外で、この男が「被害者」ヅラなのは何でだろう。
ヴァルモン子爵やメルトイユ侯爵夫人から騙された件は「被害者」に違いないだろうが、
ダンスニーがメルトイユ侯爵夫人と関係を持ったことと、セシルとヴァルモン子爵との関係に何の違いがあるのか?
「セシルに裏切られたのに、彼女の不実が世間に漏れないようにという、ローズモンド夫人の要望に同意する”寛大”な僕」みたいな偉そうな態度が不快だ。

メルトイユ夫人の要求も達成したことで、自分が処女を奪ったセシルをダンスニーに返そうとするヴァルモン。
「女が処女でなくても交際を続けて問題無いんじゃない?」と思っている分、ダンスニーよりは魅力的だ。
まあ、ダンスニーのセシルに対する恋心など大したことなかったということだ。

日本では未だに結婚前の「非処女」や、妻の不倫を嫌う傾向があるが何故だろう?男の方が尋常じゃなく嫌うが、何を怒っているのか?
男女共に、結婚前に「他の異性との行為」や「不倫」は絶対しませんと誓い合っているのであれば、一方だけが破って怒るのは分かる。
しかし、現状、男側だけ結婚前の「他の異性との行為」や結婚後の「不倫」はOKになっている場合が多い。何故女側だけが非難されるのか?非常に理不尽だ。


最終的にヴァルモン子爵とメルトイユ侯爵夫人の勝負はヴァルモンが勝った。
しかしスタート時点の「下地」からメルトイユの方が不利だったと思われる。

確かにヴァルモンは「悪い噂」を纏う男で、対してメルトイユは「品行方正」でお婆様連中にも一目置かれていた存在。
だが、ヴァルモンの立場が「女性」だったら、ブーイングと罵声を浴びせられて、社交界に顔を出せなくなっていただろう。
ところがヴァルモン子爵はせいぜいボランジュ夫人に分かりやすく嫌われている程度で、社交界の他の連中はヴァルモンを敵に回すのが怖くてそのようにはしない。

男性でも、プレヴァンがメルトイユ侯爵夫人によって陥れられたが、それでも夫人が受けた制裁程ではなかったと思われる。

メルトイユ夫人は自身の能力や立場を過信してはいなかっただろうか?一体どのような勝算があったのだろう?
ダンスニーに決闘を挑まれたらヴァルモンは勝てないと思っていたのか?
「ごめんなさい、許して下さい」とダンスニーに命乞いをして、社交界の笑い者にするつもりだったのだろうか?
この時点でヴァルモンの悪事を広めたかもしれないが、ヴァルモンも夫人の悪事をバラしたらどうなるか?それに対する対応は考えていたのか?

ヴァルモンは夫人に復讐するつもりで、命をかけて勝負に出たのが功を奏した。
自身の「死」をもって悪事を償ったことで、メルトイユ夫人の悪事の証拠として渡した書簡も信用を得た。
この時代の女は男を陥れるには分が悪すぎる。それだけの知恵があるなら、もっと有益な事に使った方がいい。

まあ、全体を通して見れば、メルトイユ侯爵夫人が一番悪いとは思う。彼女が企まなければセシルもダンスニーもプレヴァンも被害に合わなかったし、
ツールヴェル法院長夫人を陥れる計画はヴァルモンが発端だが、メルトイユ夫人が色々言わなければツールヴェル夫人が死ぬことも無く、ひょっとしたらヴァルモン子爵もそのうち真実の愛に気付いて2人は幸せになっていたかもしれないから。

でも社交界からはブーイングと罵声でつまみ出された上、天然痘の後遺症で表に出られない顔になってしまった。追い打ちをかけるように訴訟に負けて破産。
オランダに夜逃げしたようだが、その後の人生はどうなったのか・・天罰を与えられ過ぎでは?と思う。






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Last updated  2021.03.19 11:36:17
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