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テーマ:DVD映画鑑賞(13604)
カテゴリ:映画
■柳楽優弥君と韓英恵さんの目にやられた。あんな目して見つめられたら、私には何の関わりのないことでもごめんなさいって謝ってしまいそうになる。そう、この作品は私には何の関わりもない映画のように見えるのに私には謝らなければならないことが山ほどありそうな気にもなってくる。
■友達の息子さんや娘さんにいくつになったと尋ねる時、10才かぁ、じゃあ小学校4年生かとか、え、もう15才、中学2年になったんだぁ、なんて必ず学業年齢に換算してしまうわけだ。それは自分のその頃を思い出す時、とても有効な手段で、その年によって思い出す同級生の顔かたちによるところが大きい。でも、この映画に出てくる子供たちにはそれがあてはまらない。 ■母親の言いつけを守り、アパートから一歩も外に出ないことを余儀なくされた子供がベランダから空を見上げて「太陽臭い」って呟いた時、なんか心の内がザワザワとなった。それは怒りなのか、哀れみなのか、と言われれば、実はそのどちらでもなくて表現としての美しさに対する感動にある。 ■実際の事件を元にした映画ということだが、それをこのように脚色した監督のセンスが素晴らしいと思う。子供の持っている瑞々しさ、そして残酷さ、彼らが感じるであろう様々な感情を良い意味で美化した鮮やかな脚本だと思う。 ■側溝から顔を出した小さな花の実を家に持ち帰ってそれぞれがカップヌードルで作った鉢に植えつけるシーン、トトロやゾンビは実在しないけど、サンタだけはいると思うと言わせるシーン、長男がコンビニの店員に書いてもらった偽のお年玉を母からのものだと偽って弟や妹に渡すシーン。 ■4人の兄弟は誰も似ていない。それぞれの父親がどんな顔をしていたのか、それこそ彼らは”誰も知らない”。だけど、彼らが互いに喧嘩したり、甘えたり、ふざけ合ったりしているのを見ると、本物の兄弟(姉妹)のように見える。それは演技ではなくてとてもリアルな雰囲気作りがそうさせたものであるように見える。そしてそれがすごく愛おしい。 ■柳楽君はこの映画を撮っている間に10センチ近く背が伸びたのではないか。YOUに手を引かれた子供コドモした登場シーンに比べ、母からの音信が絶えたラスト近くの精悍な顔つきはどうよ。そしてもうあのボストンバックには入らなくなってしまった妹の成長はどうよ。この映画を見た後、トランクをガラガラ引きずっている人を見るとドキッとしてしまうのは私だけじゃないだろう。 ■仮にこの子たちが学校に行くことができていたらこんな悲劇は起こらなかったのだろうか。そこではやはり母親が危惧していたような差別問題は起こりえると思うし、また別の問題が発生していたかもしれない。ただ少なくともこの子たちの存在を周りのオトナが誰も知らなかったと言うことにはならなかったと思うが、どうだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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