雨の中、さっき上がってきた道を逆に下って行く。
先ほどの登りで足はガクガクになっています。
今回の旅で初めて金剛杖を突きました。
実は私は普段は金剛杖を全く突きません。
手に持って歩いているだけです。
突かないなら、金剛杖など要らないだろうと
いわれそうですが・・・
金剛杖はお大師さんの化身と言われていますので、
お遍路さんは持つのが作法です。
お大師さんと同行二人というのは、心の中で思うだけでなく、
実際に山中で頼りになるのはこの金剛杖だけです。
私も何度助けられたことか?
しかし、いつもこの杖に頼っていたらどうなるか?
徳島辺りでは、歩きのお遍路さんと、車のお遍路さんの区別は
つきにくいですが、愛媛香川辺りに来ると一目瞭然です。
金剛杖の先が磨り減っているのでよく判ります。
中にはかなり短くなっている人もいます。
それだけお大師さんに助けられたということでしょう。
私は1周目のお遍路で、金剛杖を二度と使えないくらい
すり減らしてしまいました。
その教訓から、余程のことが無い限り突かないと決めました。
そうなると、だんだん突くのが勿体なくなってきます。
その結果、歩きで五回お参りしたにも関わらず、
ほとんど杖は磨り減っていません。
杖を突きながら用心深く下っていきます。
雨は上がってきました。
15分ほどで、民宿うらしまに到着します。
新しい建物なので、ずぶぬれで入るのは気が引けましたが、
どうぞといわれるので、合羽を表で払って中へ入ります。
ここは、親切な宿でした。
というより、遍路宿は皆親切です。
突然の来訪に嫌な顔せず、応対してくれます。
「合羽はここにほして」
「荷物はここ」
「洗濯はここで、干すのはここ」
まず、宿に入ったら、金剛杖を洗うのが最初です。
杖を洗い、きれいに拭いて、今日一日の無事を感謝してから
他の事を行ないます。
遍路宿は原則として、布団などは部屋においてあります。
それを自分で敷きます。
ここは、最近改装したようですが、基本は変っていません。
押入れも無く、テレビと小さなテーブルが一つだけ
置いてあります。
洗濯機は以前は頼んで貸してもらっていましたが、
今は乾燥機も結構揃っています。
タオルとか歯ブラシとかは普通の旅館のように
あるわけではありません。
お風呂に入れてもらい、洗濯を仕掛けて食事を
いただきます。
食堂に下りていくと、「お先に」と食事を取られている
年配の女性がいました。ビールを飲んでいるので、
何をしている人だろうと思いましたが・・・
店主との話を聞いているとお遍路さんのようです。
今回の旅で気が付いたことのひとつに、
「一見お遍路さんに見えない人が多い」
というのは発見でした!
以前は、お遍路さんの姿を解いても「お遍路さん」と判る人が
多かったような気がしましたが気のせいでしょうか?
11時頃食べたきりだからか、自分でも驚くほどお腹が空いていて
たくさん食べてしまいました。
さらに部屋の戻ってからもお菓子をむさぼるように
食べてしまいました。
6月5日 四ヶ寺 一社 参拝 歩行距離 11キロ
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