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テーマ:DVD映画鑑賞(13960)
カテゴリ:ドラマ
「砂の器」
TBS系2004年 主演:中居正広 出演:渡辺謙 松雪泰子 永井大 武田真治 夏八木勲 赤井英和 原田芳雄 他 30年ほど前のオリジナル版を、昔見たことがありますが、ピアニストが犯罪を犯す、という以外、内容は全く忘れていました。 今回中居さん主演のリメーク版で見直しましたが、けっこうよく出来たサスペンスで、映像も迫力がありました。 特に中居さんの真実を知られまい、バレはしないかを気にしながらも平然としていようとする表情が、映像としてよく伝わってきます。 ーーーーストーリー要約ーーーー 悲惨な過去を持つ主人公、和賀英良(中居)は、天才ピアニストとしての才能を現し、代議士・田所(夏八木勲)のバックアップも受け、その娘とも婚約するような栄光を掴むところまで這い上がってきていた。 そこに現れたのが、和賀が子供のころ世話になったことがあるという、元警察官の三木(赤井)。 三木は、和賀を「秀夫(ひでお)」と呼び、ぜひ父親(原田)に会うようにと勧める。 和賀は自分の過去を知る人物が現れたことをやっかみ、ついに三木を殺害。指紋や顔の形状もわからないような状態にまでしてしまう。 事件の捜査本部の今西(渡辺謙)と吉村(永井大)は、現場の聞き込みから二人が犯行前に飲食店で会話をしていたという「カメダ」という名称と、東北弁らしき方言、白いタートルネックの男、を手がかりに捜査を開始するが、手がかりはまったくない。 一度は解散を余儀なくされた捜査本部だが、、吉村の執念などで進展開となり、 今西の直感にこだわった捜査で、「カメダ」と三木、そして度々和賀の回想映像で出てくる「放浪の父と息子」の接点が浮かび上がる。そこには、三木がなぜ和賀を父親に会わせたかったか、という事情も鮮明に浮かび上がる。 放浪の父子には、想像を絶する「宿命」が隠されていた。 和賀は警察の捜査が、もう自分に焦点を当てていることを察知したが、何としても「宿命」という曲を完成したい。 全てを見通した今西は、逮捕状を持ちながらも和賀に同情の念を寄せる。 ーーーー 感想 ------ 最近見た「逃亡者」とはまた違い、最初に犯人は判明している。犯人側はそれをどう隠すか、捜査は、どう展開し、手がかりを見つけるか、その駆け引きが楽しめる。 また、犯人は明白だが、犯行に及んだ動機、背景、被害者との関係などは、最後までわからない、それは捜査側から明らかにしていくという展開。 ストーリーとしては珍しくはないが、謎が最後に全部つながってきて、「宿命」というテーマとよくマッチしてくる。 ただ、ちょっと気になる点も。 ・捜査の進展開のきっかけになった発見が、和賀のあまりにも不用意な証拠隠滅であった ・松雪さんと和賀との関係が中途半端に終わってしまった。成瀬あさみ(松雪)と和賀は、同じような境遇に育ったものとして、互いに惹かれ合っていたようだが、結局、和賀の犯行のアリバイに関わってくるだけの存在になってしまった。 ・同様に シャーナリストとして登場し、和賀や田所代議士に深い関係を持つ、関川(武田)や、成瀬あさみが所属する劇団を経営する麻生ら、結構重要人物であるはずのキャラが、ほとんどめだってなかった。彼らは結局何のために登場したのか不明だった。 逆の言い方をすれば、最後になってみると、部分的にしか登場しなかった赤井さんや原田芳雄さんなど、昔の和賀に関わった人々が俄然注目を集めた。 それはさておき、最終章で、和賀の幼い頃の回想シーンの映像が、「宿命」という感動的な曲に乗って流される。 それは、昔懐かしい日本の田園、海辺、山里などのそれぞれの季節の美しい風景の連続であり、この自然が否応ない「宿命」に奔走された父子をも育んでくれたのだろうと想像され、渡辺謙さんの涙目とともにグッとくるものがありました。悲惨な状態の中でも、しっかりと父と子の絆は保たれ、子は父の思いを受け止めて理解しようとしていたのですね。 にも関わらず、犯行に及んでしまったのは、あまりにも過酷な宿命を受け止めきれず、宿命から逃れようとしたためであり、しかしながら、その犯行が、結局は和賀を本来の宿命に引き戻してしまった。ということなのでしょう。 今西が和賀に同情して言った 「そうした偏見、差別がこの事件を引き起こしたと言えます。」 という言葉がそれを明確に語っています。 ではどうしたらよかったのか。いくら才能があっても、普通に生きようとしても、宿命から逃れることは難しく、根深い問題であることは確かです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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