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ナチスのホロコースト関連資料5千万件分が今秋公開されることが決まったようだ。これはナチスの集団虐殺をめぐる最大規模の資料であり、ホロコーストの全容解明に向け期待が高まっている。以下ニュースから・・・
<ナチス公文書 今秋5000万件公開 ホロコースト解明へ> 『【ベルリン=黒沢潤】ナチスの強制収容所などの実態が記述されたドイツの公文書約五千万件が今秋にも、一般公開される見通しとなった。同文書はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の犠牲者や強制労働者ら千七百五十万人の名前が記載された最大級のナチス関連資料。これまで犠牲者の家族や生存者にのみ公開されてきた文書が幅広く公開されることで、ホロコーストの全容解明が進むとの期待が高まっている。 この文書は第二次大戦中の連合国が押収し、現在は米国やポーランド、ドイツ、イスラエルなど十一カ国が独中部バド・アーロルゼンの公文書館「国際追跡サービス」(ITS)で赤十字国際委員会(ICRC)とともに管理している。 一般公開には十一カ国すべての同意が必要となるが、ドイツ政府はこれまで、国家賠償訴訟が新たに起きることを懸念、「関係者のプライバシーが侵害される」などの理由で公開を拒んできた。しかし、米国が一貫して圧力をかけてきた経緯があるのに加え、「(戦後、六十年以上の)歳月が流れた」(独法務省スポークスマン)として、方針転換を決めた。 ドイツ政府は五月十七日、ルクセンブルクで行われる十一カ国の年次総会で、この決定を正式に報告する予定で、ツィプリース独法相は「半年以内に公開できるはず」と見通しを語った。 公文書館には毎年、十五万件もの問い合わせがあるが、資料は今後、ホロコーストの歴史家たちによって詳細に調査・分析されることになりそうだ。ホロコーストでは、ユダヤ人六百万人が犠牲になったとされる。(産経ニュース)』 ホロコーストの恐ろしさは、国家が「積極的な意志」をもって人間を殺戮することにある。 殆どの人々は、600万人の犠牲者数の前に思考停止してしまうが、ヨーロッパ中に散らばっていた600万人を殺戮するには、実は強固なインフラ整備がされなければ到底実行出来ない。 1942年、ドイツのヴァンゼーで開かれた会議において「ユダヤ人問題の最終解決」、すなわち絶滅収容所での殺戮が正式に決定された。この会議はユダヤ人をどうするか、という人道的な見地の議論ではなく、「どうすれば効率的にユダヤ人を消滅させることが出来るのか」という信じられない内容の会議だった。 占領下のヨーロッパから効率的にユダヤ人を運び込むためにはどれだけの車両、線路が必要か? そのための各国での法体系をどうするか?運び込んだ人間を最も効率的に殺害する方法は何か・・ 一つ聞いただけでも目眩と吐き気を催すような議題が、まるで工業製品を運ぶためのように淡々と処理されていった。 その中で最も時間が費やされたのが、「殺す側の心理的プレッシャーをどうすれば軽減できるか」という議題だった。通常の銃殺などでは、泣き叫ぶ犠牲者を前にして味方の兵士達の心身消耗も無視できない。また、銃殺は時間がかかるのと、銃声が響いて脱走等に繋がりかねない・・・ それらの解決策として、最も効率的だと承認されたのがツイクロンBの使用によるガス室だった。 驚異的なのは、この絶滅システムが非常に速やかに構築され、さらに敗戦ぎりぎりまで、列車の時刻表も実に正確に運行されていたという事実。ここにドイツ民族の驚嘆すべき「きまじめさ」が現れている。日本人やロシア人では絶対に出来なかっただろう。 この5000万人分の情報公開は、実はドイツ以外のホロコーストに協力した国々に新たな動揺を生むだろう。特にユダヤ人の逮捕・移送に積極的だった旧ユーゴやチェコ。そして自らは戦勝国として偉そうにしている「自由の国」フランスこそが、特にユダヤ人逮捕に積極的だったという歴史的事実も続々と明るみにでる可能性がある。あまり知られていないが、同盟国イタリアは、実はユダヤ人に対しては一番寛容だった。積極的に移送した例がないのはイタリアくらいなのだ。 5000万人分の資料を作成していたナチスドイツの恐ろしさは当然として、実は占領下の全ヨーロッパ諸国の隠された協力の実態が明るみに出る方が、今回の情報公開の持つ真のポテンシャルなのかもしれない。 ヴァンゼー会議を描いた問題作です 謀議 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年04月22日 17時01分17秒
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