坂の街 神楽坂
東京の坂については、過去に由緒のある坂の町をシリーズで取り上げたことがありますが、神楽坂につては、これまで部分的にしか取り上げませんでした。( 「坂下でも坂上と言う所」2010.04.29および「神楽坂の裏通りにある都会の隠れ場所」2010.11.10 )神楽坂の繁華街と言うと、飯田橋駅近くの神楽坂下から神楽坂上までの、賑やかな坂道の商店街がよく知られています。そしてこの神楽坂のメインストリートの両側に繋がる幾つもの小道には洒落た飲食店が軒を連ねていて、多くの食通の人々が通っています。(写真1)しかし、新宿から市ヶ谷へ延びた台地が、神田川と外堀に下る斜面には、このメインストリートの坂の外にも沢山の坂があります。坂の街、神楽坂を知るには、これらの坂々も眺めてみると良いでしょう。それらの坂々の特徴は、急で、細くて、曲がっているものが多いのですが、それは神楽坂の台地の斜面が複雑に入り組んでいる証拠です。これらの坂は、殆ど住宅地を通っていますから賑やかさはなく、閑静な佇まいです。そして、夫々、袖摺坂(写真2)、瓢箪坂(写真3)、地蔵坂(写真4)、逢坂(写真5)、行人坂(写真6)などの謂われのある名前を持っています。これらの坂の名前は、ここに住んだ人々の生活感を表現したものとして親しみを感じます。永井荷風は随筆「日和下駄」の中で、東京の街は坂からの眺望が良いと壮大な景観を称えていましたが、この神楽坂界隈には、そのような大きな景観はありません。しかし、ここには、友達同士で語らいながら、子供たちが遊びながら、坂を上り下りする庶民的な生活感のある坂の風景を見ることが出来ます。(以上)写真1 神楽坂メインストリート写真2 袖摺坂写真3 瓢箪坂写真4 地蔵坂写真5 逢坂写真6 行人坂