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カテゴリ:本の話題
好きなマンガ家は数多くいますが、その中でも尾瀬あきらの作品は好きで、テレビドラマ化もされた『夏子の酒』は知っている人も多いのではないかと思いますが、先日急に『ぼくの村の話』というコミックがむしょうに読みたくなり、中古市場で全巻セットを探して購入しました。
この『ぼくの村の話』というのは、タイトルにも書きましたが、フィクションではあるものの、成田空港建設を巡る三里塚闘争を描いた作品で、主人公の少年の家族を中心に、開墾してきた自らの土地を、突然奪われることになった地元農民の姿が描かれたマンガです。 以前にもコミックの全巻セットは持ってはいたのですが、本棚を整理する際に手放してしまったコミックでもあり、絶版となったコミックでもありますから、中古市場でもすぐに見つかるというものではありませんが、復刊ドットコムの投票結果から、2008年にコミックパークでのオンデマンド出版により、簡易製本にて製作される再版出版がされています。 ぼくの村の話 全7巻・尾瀬あきら コミックパーク その『ぼくの村の話』ですが、改めて読めば、深く考えさせられる内容でもあり、その内容の一部を紹介させていただきます。 少々長くなりそうですから、複数回に亘って紹介します。 まず、著者である尾瀬あきら氏は、自身のHPの中で、この作品について、次のように振り返っています。 ぼくの村の話 「ぼくの村」は千葉県成田市にある三里塚という所です。 この村にある日突然、なんの断りもなく空港建設の計画が国によって決められます。 「夏子の酒」を描いている時にふと観たドキュメンタリーで、この村のおっかあたちがわが身を鎖で木に縛りつけて抵抗するシーンがあり、それを観て、涙がこぼれました。 そして次は絶対この話を描くと決めました。ヒットはしませんでしたがこの作品で得たものは、自分の身に余るものでした。 内容は、成田闘争が描かれるものの、決して反対運動や反体制の姿を描いたものではなく、 民主主義とは何か 民主主義の本質というものを、読み手として強烈に考えさせられます。 空港建設を受け入れる条件派と反対派の溝、貧しい農民たちを金で一方的に買収する国のやり方、空港建設に対しての説明すらなく国からの宣戦布告ともいえる大規模な強制測量と強制収用……など、人間の尊厳と農民としての誇りを守る戦いの闘争の姿、そして、その大きな犠牲の上で、成田空港が予定した滑走路が埋まらないまま開港され、現在に至っているという事実と共に、田舎と農業の今も抱える問題が描かれています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 23, 2012 01:47:24 PM
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