競馬バーを営む葵がパドックで一目ぼれした牡馬・ウララペツは、名馬メジロマックイーンの最後の世代の産駒。だが、ほどなく引退することに。葵はウララペツを買い取り種牡馬にしようとするが…。『オール讀物』連載を書籍化。
亡き兄が遺した競馬バーを営む倉本葵。ある日、大井競馬場で芦毛の9歳の牡馬・ウララペツを見かけるなり一目惚れする。ウララペツは名馬として名高いメジロマックイーンの最後の産駒だった。だがほどなく、戦績の振るわないウララペツは引退することに。このままでは、ウララペツは食肉にされる……。葵はウララペツを買い取って馬主となり、種牡馬にしようと決意する。ところが次から次へと難題が……。葵、メジロマックイーンの血筋を残したいと熱望する常連客やウララペツの元馬主など、馬をこよなく愛する男女が奮闘しつつ、恋のさや当てにも興ずるラブコメディー。
本書は、一頭の競走馬にほれ込んだうら若き女性と彼女に群がる男たちの恋物語で、競馬が題材のラブコメディ。競馬ファン以外でも楽しめるよう、著者にしては珍しく軽いタッチでのラブコメで、競走馬の背負った悲しい宿命や、北海道の牧場の苦境を巧みに盛り込みながらのエンタメ小説となっています。競馬ファンとしては少々物足りなかったですが、馬産地の描写はとても良かったです。
【満足度】 ★★★★