1年の内、一番お酒を飲む機会が多いのが年末年始ですね。
かつてより減ったかも知れませんが、何回もある忘年会、新年会では2日酔いになるほど飲んでいませんか。
お酒が良薬といわれているのは、日本酒換算で1日1合といわれていて、この適量を越えると毒薬に変わります。
私はお酒が好きな方で、飲むと1合では止められなくなり勝ちなので、なるべく飲まないようにしています。
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アルコールは、水にも油にもよく溶けるため、体内に非常に吸収されやすく、神経系を含む全身に直接作用します。
肝臓への影響は、まず肝細胞に脂肪がたまる「脂肪肝」から始まります。脂肪肝そのものは可逆性の病態とされており、この段階でお酒の量を減らしたり止めたりすれば、肝臓の機能は回復します。
しかし、さらにお酒を飲み続けると、約20%の人は「アルコール性肝炎」を起こします。黄疸や発熱、嘔吐、下痢などの症状がみられますが、無症状の場合もあります。一部の人は「重症型アルコール性肝炎」になり、お酒をやめてもよくならず、1カ月以内に過半数が死亡するという急激な経過をとります。
アルコール性肝炎は進行すると肝硬変に、さらには肝臓がんに至ることもあります。日本ではこれまで、肝臓病といえば、肝炎ウイルスの感染者が大半を占めると考えられてきました。しかし、近年、アルコール性の肝炎が増加しているようです。健康診断で脂肪肝が指摘されているうちに、お酒の量を控えるべきでしょう。
肝臓病のほか、膵炎や、胃腸の出血・潰瘍などが以前からアルコール関連の臓器障害といわれています。また、最近はお酒の飲みすぎによって糖尿病になりやすくなるといった報告があります。このほか、酔うとすぐ顔が赤くなる、お酒好きの男性では、食道がんの発生率が高くなるという日本での研究結果が出されています。
心筋梗塞予防に飲酒が効果的という報告もありますが、アルコールは心臓の筋肉を傷つけて心臓肥大を招くことが以前から指摘されています。軽度の認知障害を予防するという報告もありますが、大量飲酒によって若い頃から大脳の萎縮が進行することも確かです。健康によいという報告に頼りすぎず、ほどほどの飲酒を心掛けてください。
「アルコール依存症」は、食卓にお酒がないと物足りない、飲まないと気が済まない日がある、などといった、精神的な依存だけではありません。アルコールが常に体内にある状態に体が慣れてしまい、アルコールが体内からなくなると、指先が震えたり、汗をかく、イライラする――などの症状がみられ、身体的にもアルコールに依存した状態のことを指します。治療法としては、一時的な禁酒ではなく、断酒が必要になると考える専門家が多いようです。
また、最近、問題になっているのが、女性の飲酒の増加です。ここ数年、成人一人あたりのアルコール消費量が横ばいであるにもかかわらず、アルコール性肝障害で入院する女性の数は増えています。
男性が毎日120g(日本酒約5合)超の飲酒を約20年ほど続けなければ肝硬変を発症しないのに対し、女性は毎日120g未満でも、約10年間ほどの飲酒で肝硬変を発症することが明らかになっています。この理由としては、女性ホルモンが肝臓の炎症反応にかかわっているためではないかと推測されています。
一方、男性のアルコール性肝障害患者はやや減少する傾向にあるようです。当然、個人差はあるでしょうが、男性の方が適正飲酒を心掛けるようになってきたと言えるのかもしれません。
◆酒の効用はあくまで“適量”の範囲
飲酒の健康効果についてのエビデンスは、既に20年以上も前から、さまざまな研究で報告されています。疾患などによっては相反する結果もみられますが、特に心血管系疾患の予防効果は、幾つもの大規模な追跡研究で裏付けが得られています。
ただし、忘れてはならないのが、いずれも「1日1合前後」の飲酒での話だということ。飲みすぎは禁物です。
(出典:NIKKEI BP)
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