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テーマ:日々自然観察(9942)
カテゴリ:昆虫(甲虫)
データをコムピュータに移し拡大してみると、口は咀嚼型の様で少なくとも大顎は発達していない。ゴミムシ(オサムシ科)の類ではない。こうなると、もう何科か分からない。図鑑を端から見てゆくことになる。 と言っても、カミキリムシ、テントウムシ、コガネムシ、タマムシ、ゾウムシ・・・等、明らかに該当しない科が多いから、それ程時間は掛からない。直ぐにジョウカイモドキ科オビジョウカイモドキ属(Intybia)の1種であることが分かった。ジョウカイモドキ科・・・今まで見たことのない虫である。体長は3.5mm。
ジョウカイモドキとは、ジョウカイボンに似ているから付いた名前と思う。このジョウカイボン(例えばセボシジョウカイ)と言うのは、カミキリムシに似た触角の長い細長い虫である(ジョウカイボンは鞘翅が柔らかいので、カミキリムシとの区別は容易)。そのジョウカイボンに似ていると言うのだが、図鑑を見ると、その多くはジョウカイボンとは余り、と言うより、殆ど似ていない。特にこのオビジョウカイモドキ類は、ジョウカイボンとはゼンゼン似ていない。全く、紛らわしい名前を付けるものである。 日本産オビジョウカイモドキ属は7種の様で、その内本州に棲息するのは5種、しかし、ヒロオビジョウカイモドキ以外は皆かなりの珍種らしい。我が家は、東京都内のかなり大きな商店街から僅か150mの距離にある。珍種が居るとは考え難い。消去法により、自動的にこの虫はヒロオビジョウカイモドキ(Intybia historio = Laius historio)と相成った(九州大学の目録には、Intybia属は無く、全てLaius属となっている)。
このオビジョウカイモドキ属(Intybia)、並びに、その近縁であるイソジョウカイモドキ属(Laius)では、雄の触角第1節と第2節が長く異常に膨らんで面白い形になる。しかし、写真の個体は残念ながら雌、その部分が一寸膨らんでいるだけである。 ジョウカイモドキの仲間には、花に集まる種類が多いらしい。「花粉などを食す」と書いてあるサイトもあるが、保育社の甲虫図鑑には「成虫、幼虫ともに肉食性」と書いてある。このヒロオビジョウカイモドキはどうかと言うと、明らかに捕食性と思われる。テントウムシと同じ様に、葉を一枚いちまい調べながら、忙しく走り回っている。徘徊型捕食性の典型的行動である。
賢明な読者は気付かれたかも知れないが、このヒロオビジョウカイモドキも先日のウスグモスズ、ヒメテントウの1種(コクロヒメテントウ?)も、皆クチナシの葉裏に居た虫である。しかも、同じ日(2009/08/06)。 2年前までは、オオスカシバの幼虫を駆除する為に屡々アース・ジェットをクチナシの株全体に噴霧していた。しかし、こうするとクチナシに居る虫が全滅してしまう。そこで、昨年からは出来るだけ殺虫剤を使わない様にしている。御蔭で、この3種以外にもハリブトシリアゲアリやクロヒラタヨコバイ等を撮ることが出来た。クチナシもハギに似て、色々な虫が様々な物語を繰り広げている舞台の様である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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クチナシはいろんなムシさんたちが好んで集まる木なんですね。ムシとどう付き合うか。難しいです。
アーチャーンさんのおかげでこんなにきれいなムシをみることができて感激です。 おなかのところに名前の通り広い帯をまいて なんだか着物美人のようなムシですね。 (2009.08.11 20:24:41)
クーン43さん
>クチナシはいろんなムシさんたちが好んで集まる木なんですね。ムシとどう付き合うか。難しいです。 ----- 今はクチナシの剪定時期です。葉っぱを喰われても枝を切ってしまうので、余り影響が残りません。 >アーチャーンさんのおかげでこんなにきれいなムシをみることができて感激です。 >おなかのところに名前の通り広い帯をまいて >なんだか着物美人のようなムシですね。 ----- 確かに着物の柄の様な感があります。 (2009.08.12 08:05:09)
オオスカシバは解りますが
他の虫も多く集うのですね、クチナシには。 アースジェットを噴霧。 実家の母もツバキにつく害虫にかけては 糸を引き引き大量ぶーらんさせてましたが、、 >昨年から出来るだけ殺虫剤を使わない様にしている 少量でもオオスカシバの方は大丈夫なのですね。 他の虫との兼ね合いで難しいとこですね。 ヒロオビジョウカイモドキ この黒を背景にした美しい模様で 「私はここにいるよ」と視覚で互いに訴えているのでしょうか。 虫の視力や見え方がどうなのか?ですけど 確かに目立つんやろうなぁと。 しかしベランダから見た体長3mm… いるかも、という眼で見ておられても凄いと思います。 (2009.08.12 12:38:45)
祖母の浴衣の柄でしょうか?キレイですね。かすれているオレンジ色の部分など 3.5ミリメートルのムシですから 1ミリもないと思いますが
ネットでも図鑑でも 発見できないヒロオビジョウカイドウモドキの全体像を 見せていただき 感動しております。 (2009.08.12 16:09:04)
確かに、モドキがつくとはいえジョウカイボンっぽくないですね。
それに、3.5mmとは!写真を見ただけではもっと大きいのかと思いました。 撮影に関してのご丁寧なお返事ありがとうございました! ジーッと待っていらっしゃるのかと思っていました(^o^;) (2009.08.13 01:29:13)
snowrun29さん
>オオスカシバは解りますが >他の虫も多く集うのですね、クチナシには。 ----- アブラムシの他にもコナジラミが付くのでそれを捕食する虫が来ます。 >アースジェットを噴霧。 >実家の母もツバキにつく害虫にかけては >糸を引き引き大量ぶーらんさせてましたが、、 ----- 家庭用の殺虫剤はピレスノイド系なので非常に安全です。人間には毒性は殆どありません。アースジェット1本分を飲んでも死なない程です。 >>昨年から出来るだけ殺虫剤を使わない様にしている >少量でもオオスカシバの方は大丈夫なのですね。 ----- 下から上に吹き上げる様に一瞬だけ噴霧します。 >ヒロオビジョウカイモドキ >この黒を背景にした美しい模様で >「私はここにいるよ」と視覚で互いに訴えているのでしょうか。 ----- 虫に訊いてみないと何とも・・・。 >虫の視力や見え方がどうなのか?ですけど >確かに目立つんやろうなぁと。 ----- 虫の視力は余り大したことがないのでは・・・。 >しかしベランダから見た体長3mm… >いるかも、という眼で見ておられても凄いと思います。 ----- 2m以内なら充分見分けが付きますが、3m離れると一寸怪しい。 (2009.08.13 08:39:00)
るる555さん
>祖母の浴衣の柄でしょうか?キレイですね。かすれているオレンジ色の部分など 3.5ミリメートルのムシですから 1ミリもないと思いますが ----- 小さくても中々粋な柄です。 >ネットでも図鑑でも 発見できないヒロオビジョウカイドウモドキの全体像を 見せていただき >感動しております。 ----- 写真はWeb上にかなりあります。この虫は3日程滞在していたので、もう少し高解像力で撮れないかと、粘ったのですが、結局ダメでした。 (2009.08.13 08:41:19)
marinesnow2525さん
>確かに、モドキがつくとはいえジョウカイボンっぽくないですね。 ----- ジョウカイモドキ科の数種はジョウカイボンに似ています(http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/KYO/seibutsu/doubutsu/09kochu/jyoukaimo/jyoukaimo/index.html)。しかし、触角は余り長くない。 >それに、3.5mmとは!写真を見ただけではもっと大きいのかと思いました。 ----- 図鑑を見ると、大きいもので1cm、多くは3mm前後の様です。 >撮影に関してのご丁寧なお返事ありがとうございました! >ジーッと待っていらっしゃるのかと思っていました(^o^;) ----- 気短なもので・・・。 (2009.08.13 08:46:31)
>葉を一枚いちまい調べながら、忙しく走り回っている
居ます居ます、そういう子☆ カメラを手に、動きを追っていると、 自分の方が先に、目が回ってしまうように感じます^^; 可愛い子ですね~☆ アーチャーンさんでも、ご覧になったことのない子に、 ご自分のお庭で出会うことがあるのですね☆ バッタやトンボがお好きでない、というのが、とても印象強く、 バッタやトンボを見ると、 逆に、アーチャーンさんを思い出してしまいます^^; 季節は、夏から秋へ・・・ 昆虫達の物語の世界も、秋にどう展開してくれるのか、 今から、とても楽しみです☆ (2009.08.17 11:17:57)
夢のはしさん
>>葉を一枚いちまい調べながら、忙しく走り回っている > >居ます居ます、そういう子☆ >カメラを手に、動きを追っていると、 >自分の方が先に、目が回ってしまうように感じます^^; ----- テントウムシで何時も苦労しています。 >可愛い子ですね~☆ >アーチャーンさんでも、ご覧になったことのない子に、 >ご自分のお庭で出会うことがあるのですね☆ ----- 小さい虫の場合は屡々です。 >バッタやトンボがお好きでない、というのが、とても印象強く、 >バッタやトンボを見ると、 >逆に、アーチャーンさんを思い出してしまいます^^; ----- 近々バッタの1種を紹介します。 >季節は、夏から秋へ・・・ >昆虫達の物語の世界も、秋にどう展開してくれるのか、 >今から、とても楽しみです☆ ----- また、キク科の花に来る虫が中心になるでしょう。 (2009.08.18 07:21:04) |