人形芝居（1）
人形芝居（2）

そこは　魂の宿る　人形の在る館
喜怒哀楽を　兼ね備え　人と暮らす
そんな人形を求め　ここを訪れた　者は言う
双子の人形師の手より　生まれる人形の
動きだす様(さま)は　さながら
昔(いにしえ)の　幻術のようである　と

実は残念なことに第2巻が絶版で、amazonのユーズドで状態「良い」を注文してあります。
明日届くと思いますのでとりあえず第1巻の感想を。
高尾滋さんに関しては非公式のファンサイトのような物も存在せず情報があまりないんですが、『人形芝居』第1巻は初の単行本で、「花とゆめ」平成8年7号に掲載された16枚の第1話が商業誌に描いた第1作目なのかもしれません(後書きに「歌姫」と云う作品を描いたとありましたが)。
第1巻には「花とゆめ」平成8年7号掲載の第1話、平成9年11号掲載の第2話、平成10年「花とゆめステップ増刊」1月15日号掲載の第3話、同年ステップ増刊6月25日号掲載の第4話と「花とゆめ」平成9年1号掲載の読み切り「雪語り春待ち」(16枚)が掲載されてます。

この、言葉ではどうにも巧く伝わらない、切なく、そしてあまりにも優しい物語を綴る「高尾滋」と云う少女漫画家を私が知ったきっかけはスロップマンションにお帰り

舞台は西暦28XX年(第1話には「二八〇四年」とありますが人形師の「静」と「嵐」も人形=アンドロイドなので第2話以降は「28XX年」です)、西関東砂漠の中心に喜怒哀楽を兼ね揃えた機械人形(アンドロイド)を斡旋する、静と嵐の人形館(ドールハウス)が存在した_
人口増加に伴う「一家一子法」により生じる一人っ子には兄弟を、身よりのない老人や外部との交流のとれぬ病人には話し相手を。
人形(ドール)は「役目を終えたと感じたら」人形館を思い出し帰還するようにプログラムされている。
使い捨てではなく、静の笛の音で眠りに就き、嵐の笛の音で新しく生まれ変わる。

第2話は兄妹型契約の話です。
一人っ子であるが故、というより「大人が求める物」に縛られ自分の意志を貫いたり自分の選択肢をとることのできない男の子・里流(サトル)、
静に大量の蔵書を見せられ

ここでは誰も添削しないからね
「妹」として契約された人形の里流(リル)の方が人間より人間らしいですねー。

第3話は少し長めの60枚。
機械人形を利用した交換誘拐物ですが、義母の珠岐(たまき)ばーさんに一本取られましたね。
テーマは「信頼」ですね。
珠岐の娘・峯子のことも結婚相手のことも信頼できず反対し、入院したのも誤った結婚故かと思いきや
「子供がいるの　女の子よ　とても可愛いの　お母さん　私　幸せよ」

第4話は病気で死んでしまった父が娘・リエの為に残してくれた母親役の人形・散音(チルネ)が養育費のために遊郭に売られてしまったことを巡る悶着。
「チルネはお前のだよって…言ったのよ父は
母親代わりだって
…なのに
遊郭に売るなんて…」
「つらかっただろうね」
「当ったり前でしょ!!」
「違うよ　君の父親がだ
君の母親がモデルなんだろ？
つまり彼の妻だ
妻と同じ顔で
散音は春を売るんだ
死んだ後のこととはいえ
いい気分のはずはない
…それでも
君の未来には
代えられなかったんだな…」

トモさんの大事な温室から盗みをした少年
「原始的な幼児行動…というか
欲しかったんだろ？」
「……」
「どうして黙って　盗ったりしたんだ？」
「…… ……から……」
「でっけぇ声で言え」

「おかねないから」

「安易で単純　わかりやすいな
欲しいけど金は無い
この位の子供には　稼ぐって思考経路がないんだな
思いつく選択肢が極端に少ない
どうすれば手に入るかと考えて…
-盗る」
示唆的です。

どの作品も良くって甲乙つけがたいですね。
最後の読み切りの「雪語り春待ち」もいいですよー。

『人形芝居』、まだ完結していないお話なので第3巻の刊行と第2巻の再版を待ちましょう(第2巻amazonのユーズドで買っちゃったけど)。

『スロップマンションにお帰り』はこちら
『ディア マイン』はこちら
『てるてる×少年』はこちら
高尾さん、もうコンプリートするしかない！


ゴールデン・デイズ（第1巻）
買い始めよう♪

明日多分

の2冊届きます。漫画漬け(笑)

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