カテゴリ:銀輪万葉
本日は午後から奈良公園に出掛けて来ました。銀輪家持にしては珍しく自転車持参せずで、近鉄奈良駅から徒歩で春日大社北参道に向かいました。「かち(徒)家持」という訳です。 春日大社北参道は、東大寺南大門への交差点から斜めに、つまり南東に入って行く道である。 碑には鴎外の歌も刻まれている。 猿の来し 官舎の裏の 大杉は 折れて迹なし 常なき世なり 大杉は台風で倒れでもしたのだろうか。下の説明板にある通り、森鴎外は1917年12月から1922年7月に亡くなるまでの間、帝室博物館総長の職にあり、毎年秋には正倉院宝庫開封に立ち会うため奈良に滞在したという。滞在中の宿舎である奈良博物館の官舎がこの地にあったとのこと。現在は建物はなく、この門だけが残されている。 鹿はあれ 猿は来ざるよ 鴎外の 門にし言へる 常なき世なり 参道の 奥に憶良の 歌碑あると 来れば手前に 鴎外の歌碑 でありましたが、これも徒家持なるが故の行きがけの駄賃という奴ですかな。 秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花 秋の七草は、春の七草と違って食用ではなく、花である。憶良のこの歌と次の歌があることで、「秋の七種」と呼ばれるようになったのであろう。なお、「および折り」は、原文が「指折」で、「ゆび折りて」という訓もある。 萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花 萩、尾花(ススキ)、葛、撫子、女郎花、藤袴、朝顔(キキョウ)が秋の七種の花。まあ、これは憶良さんが自身の裁量で選ばれたものに過ぎませんから、人それぞれに自分の「七種の花」があってもいいでしょう。 それ大仏殿も 吾を待つらむぞ (偐家持) (本歌) 憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ ということで、大仏殿の方をブラブラ散策しながら帰ることとしました。 南大門を入った処にある会津八一の歌碑も掲載して置きます。 おほらかに もろてのゆびを ひらかせて 大仏殿の中には入らず周辺をぐるり一周。それぞれの方向から、その姿を楽しむことに。 みほとけの おおとののへの しらくもの 大仏殿の北側は人影もなく静寂のうちにある。 後のあれこれは省略。帰宅する頃には漸く日もやや西に傾き、雲の間より天使の梯子が降りて来ていました。 「さて、ヤコブはベエルシバを立って、ハランへ向かったが、(中略)時に彼は夢を見た。一つのはしごが地の上に立っていて、その頂は天に達し、神の使たちがそれを上り下りしているのを見た。」(旧約聖書・創世記第28章10~12節) 濁りたる 目には見えねど 天使らは 光の梯子 往き来するらむ
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