夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第21回
夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第21回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/■第21回■ビブラフオーン・コンテストの日がやってきた。空は天頂まで晴れ上っている。大教界に、その日移動して来ていた移動宮殿フォトン、そのまわりに仮設された舞台には、ひとだかりができていた。 「デルガ、デルガ」と大導師デルガをたたえる声が、渓谷にある大教界の壁に反響し、段々と大きくなっていく。「どうだな。私の人気の程は?」デルガが、となりにいる道化師マリクに聞く。デルガはこころなしか疲れているようだった。「宣伝が効いたようです。これで、このビブラフオーンコンテストが成功すれば、デルガ様の導師としての地位は磐石たるものになるでしょう」「ふふ、君もそう思うか、朕もそう思うぞ。かわゆい事をいうのを、道化師マリク、君の地位も,,朕に相応して同じく磐石となろう」「ありがとうございます、デルガ大導師。未来への階段が今そこにございます。どうぞ、のぼらせたまえ」「それでは、愚民なる,、ゴルゴダシテイの民ばらの前に、、我、姿をあらわそうぞ」フオトンの壁の一部が開き、仮説コンテスト会場に階段がつながっていく。観客のどよめきがおこる。デルガは、舞台バルコニーに身を乗り出し、群衆にむかってはなした。 「ゴルゴダシテイの賢人諸君、よく集まってくれました。ここ、聖なる「大赦界」渓谷の場所を借りて、私神のご加護を受けた「ゴルゴダシテイ」聖なる大導師、デルガはゴルゴダシテイの賢人を代表してビブラフォーンコンテヌトの開催を宣言するものである。賢人諸君楽しまれよ。ビブラフォーンの神なる調べを聴き、こよいのひととき、酔いしれられよ」 拍手が小さくおこり、それは拍手の嵐となり渓谷に響き渡る。ビブラフォーンに対するゴルゴダシテイ住民の期待が、極度に大きいのだ。デルガは続けた。「今年も、多くのビブラフォーンプレイヤーが、他の都市から我々ゴルゴダシテイのために参加してきてくれている。我々ゴルゴダシティの人間を楽しませてくれるために、はるばる参加してくれたのだ。感謝とねぎらいの拍手を、彼らに与えられよ」 拍手が一段と大きくなる。フオトンから壁が舞台へせり出してくる。昆虫の標本箱の大型に見える。しかしそれは、プレイヤー達が壁に虫ピンでとめられたようにとりついている。そんな壁が、舞台の上に迫りよってきた。 もちろん、ジェイもいた。その他の多くのプレイヤーは、デルガが命令したプレイヤー狩りでつかまった人達なのだ。バイブレーターの「ハーン」、ハートブレーカーの「ムスカ」、クラッシャーの「プラス」の3人組の姿もその中にあった。 観客たちも、もちろんビブラフォーンのプレイヤー達全員が喜んで、プレイするとは思ってはいない、「ブレイヤー狩り」の事は知っていた。知っていなから、自分達がプレイヤーにならなかった安堵感もあり、よけいにビブラフォーンが作りあげる「感覚世界」への期待に胸おどらせている。歓喜の声が、ビブラフォーン演奏の前からあちこちで上がり始める。(続く)1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」 ●how to draw manga ●manga-training