テーマ:☆詩を書きましょう☆(8383)
カテゴリ:詩
前掲の「春になれば」を少し手直しして、詩人会議3月号に掲載されましたので、「春になれば(2)」として掲載させていただきます。
春になれば(2)
木枯らしが音を鳴らす窓辺 病院のベッドに横たわる母の寝息 静かな埋もれそうな寝息を聞き逃すまいとする いつの間に忍びこんだ風が 魂を連れ去ってしまうかも知れないから
恰幅の良かった腕も足も痩せ細り 小人になって 白いカバーの布団に包まれている
ふと眼を覚まして言う 春になれば 春になれば このゴロゴロしたのも取れるかも知れないね きっと良くなって治るかもしれないね
涙をこらえて私は言う きっと良くなるわよ 暖かくなればきっと
全身に転移してもどうにかして生きてもらいたい 父は最後の望みに生薬の菱を煎じて飲ませた
母はまた呟く 春になれば 春になれば きっと良くなるね 暖かくなればきっと
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