テーマ:☆詩を書きましょう☆(8382)
カテゴリ:詩
シマフクロウ
北海道根室の山林に棲むシマフクロウ 1900年頃には1000羽を数え北海道全域に生息していたが 明治以来の森林破壊により 1980年には僅か七〇羽となり絶滅危惧種に 今では知床半島や根室など限られた地域にしかいない
フクロウの中で最も大きく 羽を広げると180センチ 全長70センチの巨鳥の棲める広い広葉樹林は 開発によりどんどん失われ 絶滅に追い込まれていった 1982年 環境省より派遣されたシマフクロウ保護増殖検討委員は 何とかこの鳥を守ろうと手を尽くした結果 1980年代には130羽に1990年代には140羽となり 現在もその数を保っている
ドラム缶に窓を開け木にくくりつけ 巣に見立て 窓に止まり木を添えて シマフクロウを呼び寄せる その巣の中に卵を産み 卵を抱く母鳥 保護増殖委員たちは遠くから見守る カメラに収めて観察する 血液検査をして病気の感染を調べる
鋭い目 尖った嘴 縞模様の羽毛 川に遡上する魚が獲物 月夜に光る川の中のアラスカマス 狙い定めて川に飛び降りる親鳥の勇壮な姿 仕留めた魚は雛たちに食べさせる
緑の樹が生い茂り 魚が遡上する澄んだ川があるところにしか シマフクロウは卵を産まない 保護増殖委員たちは川がなければ池を作り魚を放った 放魚するヤマメの量は大量だ 仕入れにも予算にも苦労の連続
幼鳥が巣から飛び降りる瞬間は感激のひととき 巣立ちをすると ひとりで餌を獲れるようにと 親鳥は少しずつ川の方へと導く その間に飛び方も覚えるという
何度も失敗を繰り返し 親のように果敢に餌が獲れるようになると 親の縄張りを離れ 遠ざかる それからは自力で生きる
ひとによって自然が破壊された今 ひとの手で自然を取り戻す作業を ひたむきに続けなければならない 今では野鳥を守る会のNPO法人も シマフクロウの守り手となっている
彼らは大きな夢を描いている シマフクロウがドラム缶の巣箱にではなく 自然の樹に大きな穴をくりぬき 卵を産む日がくることを 太いがっしりとした広葉樹林を育てなくてはならない プロジェクト「シマフクロウの森を育てよう」も始まった
森が育つのは百年後になるかもしれない 遥かかなたの時間の向こうに夢がある
(この画像はウィキペデイアよりお借りしました)
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