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2014.10.26
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 前に「忘れられぬ時」という題で詩を書きましたが、その土台となった20年前に書いた詩が見つかりましたので、ここに載せたいと思います。少し手直しをしましたが、こちらのほうがその時の衝撃が素直に伝わって来る詩になっています。あ〜、20年たっても全然進歩しないものですね。

 

     忘れ得ぬ時              

 

   終戦の年の春

   燃え上がる空に

   炎を映した真っ赤な翼のB29が飛び交い

   無数のサーチライトが交差し

   急降下の耳をつんざく音に

   生きた心地のしない毎晩だった

 

   そんなある日

   音羽の家の玄関が開き

   血の気を無くした伯母が

   呆然と立っていた

   魂を奪われた姿だった

   「おじさんここへ来なかった?

   家宝の刀を取りに行ったきり

   はぐれちゃったのよ」

 

   「いいえ」という返事に

   へなへなと上がり框に座り込む

   「休んでいらっしゃいよ」という言葉も振り切って

   力を振り絞って立ち上がると

   再び煙がくすぶる街へ戻っていった

 

   幾日か経ち

   知らせが届く

   その人は丸太のように焼かれ

   炭になって死んでいたと

   傍らの刀が唯一の証だった

 

   刀さえ取りに戻らなかったら・・・

   伯母はなんど悔いの涙を流したことだろう

 

   一九四五年四月一三日夜半

   何万発もの焼夷弾が伯母の住んでいた巣鴨一帯に

   大塚 雑司が谷 関口 富坂 春日など東京城北部に 

   雨霰と振り注ぎ

   めらめらと燃え広がった炎の海が

   一夜にして二五〇〇人の命を飲み込んだのだ

 

   時は流れ

   その伯母ももういない

   秋の夕暮れは深閑として

   色づき始めた山法師の枝が風に揺れるばかり

 

      *資料 「東京大空襲」

 






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Last updated  2014.10.26 23:28:20
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