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2016.01.14
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         地下室で

                       

     空襲警報のサイレンがけたたましく響く

     決まって夜なのだ

     子供たちは講談社の地下に逃げることになっていた

 

     昼間のように明るい街へ妹と出る

     空は真っ赤

     耳をつんざくB29の急降下する音

     サーチライトが縦横に飛びかい

     高射砲がズドーンズドーンと響く

 

     焔を映した不気味な赤い翼

     大きなB29の翼が頭上を飛び去った

 

     「今だ」妹の手を引っ張って音羽通りを渡り

     講談社の地下へ急いで駆け込む

     戦場さながらの街を意外と冷静に行動する私

     でも心臓の高鳴りは収まらない

 

     暗闇の中を探りながら階段を下りて行く

     羊の群れがぼやっと見える

     その不気味さに驚いていると

     防空頭巾を被った子どもたちだった

     みな下を向いて床に蹲っている

 

     沈黙を破る赤ん坊の泣き声

     誰かがいくらあやしても泣き止まない

 

     男の子の隣に蹲って目をつぶる

     瞼のスクリーンに映し出される焔

     家が燃えている

     父と母は火かき棒で火の粉を払うが

     払っても払っても焔は消えない

 

     ああどうしよう 

     父や母は?家は?

     飛んで行きたい衝動を必死で堪える

 

     赤ん坊の泣き声はまだ地下室に木霊している

 

     随分長い我慢のあと

     「空襲警報解除!」のメガホンの声

     灯りが点くと子供も泣きやみ笑顔になる

     あやしていたのは国防服のおじさんだった

 

     子供たちは一目散に

     家に向かって駆け出した

     その先の消息は誰も知らない

 

     我家も父も母も無事だった

     しらじらと夜が明け始めていた

          by   ドレミ・どれみ

                         

     千葉詩人会議「澪 45号」掲載作品

 

 






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Last updated  2016.01.15 17:37:53
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