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2019.05.02
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カテゴリ:
​​​​​​​​​​​​手帳​​

​​​​​毎年 暮が近づくと​

手帳を買う
表紙は決まってお気に入りのものを選ぶ​
​​

今年の表紙は
薄紫の地に
白い小さな水玉模様
昭和のハンカチの柄に似て懐かしさを誘う

使い始めはインクの汚れもない
まっさらな紙と印刷の匂い
さてどんな1年を書き込むかと
うきうきする

月日を重ねるにつれ
見開きのカレンダー式手帳には
今にも崩れそうな文字や
肩ひじを張った文字が踊りだす
自分でも読めない字に出逢う
 ーあなたは誰?何と読むの?

歳とともに1日おきの外出しか出来なくなると
カレンダーの空白も増えてくる
その空白は私を癒してくれる
いいからこの日はお休みと
母のように囁くのだ

予定がいっぱいで手帳が文字であふれると
空白を作るため
どれかを二重線で消さなければならない
苦渋の選択
体調が悪くなった時も二重線で取り消す
こうして手帳は後悔の二重線でいっぱいになる

新しい紙と印刷の匂いで
芳香を放っていた手帳も
月日とともにその香りを失い
じわじわと浸みこんだ汗のにおいに代わっていく

後悔のひとしずく
悲しみのひとしずく
そしてある時は歓喜のひとしずくも

書き込んだインクと
浸みこんだ汗のしずくが
文鎮のようにずしりと身にこたえる
けれどそれは私だけに感じられる重さかもしれない
それは人知れぬ私の1年の歴史の重みかもしれない

                byドレミ・どれみ         
                  (澪50号掲載)







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Last updated  2019.05.02 19:35:06
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