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Nov 6, 2006
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11月4日に、オペラ "Cosi Fan Tutte" 日生劇場公演を見てきました。

なんと日本で全曲通しで上演したのは、今回がはじめてだとか。

言われてみればなるほどですが、全曲上演が俳優さんたちにかなりの負担となる challenging な作品なのだそうで、これまでの上演は随所で削除をいれてまとめていたのだと。

演出した宮本亜門さんも、うーん、ここは切ってしまおうか、いや、すべての部分に作者の思いがこもっているはず! と、悩みながら実現させた完全全曲上演だったと、アフタートークでおっしゃっておられました。

オペラのプロたちが、
今回の上演をみて初めて「コジ・ファン・トゥッテ」の長年の疑問点が解けた、
と言ったりするくらいだそうですから、すごい公演だったのですね。
そんなことも知らず、とにかく楽しませてもらいました。
感謝です。

この作品、日本初演は昭和29年10月30日、日比谷公会堂で。
ぼくが生れる5年前です。

指揮者は、かの近衛秀麿。日本語上演でした。


今回のはもちろんイタリア語上演。(↓二期会のサイト)
http://www.nikikai-opera.or.jp/

親しみやすい喜劇オペラ(オペラ・ブッファ)であることもあってか、けっこう聞き取れるところがあってうれしかった。
とくに、狂言回しの侍女、デスピーナ役のレチタティーヴォ(せりふにちょっと節回しをつけてしゃべるところ)など。

それも理由の一部かもしれないけれど、このデスピーナという役どころは、役者さんならぜったいやってみたくなるだろうな。

ホンネ丸出しのせりふの数々。
おまけに途中で、医者と公証人に変装して登場し声色を使って歌うという設定まであって、どう演じるかいろいろ考えることができて、うきうきしてくるだろう。
聞かせどころのあるアリアもちゃんと歌うし。


宮本亜門さんの演出のおかげで、ミュージカルのような楽しみもありました。
さすがに跳びはねて踊るところまではさせなかったけれど、あれだけ動きがありながらしっかり歌をこなさねばならない俳優さんたちは、たいへんだったでしょう。

若い俳優さんでないと、ついていけない演出だったかもしれません。

舞台の上にもうひとつ、劇中劇のための舞台を組んでいる。
劇中劇舞台が客席最前列の人からも奥までよく見えるように、客席にむかって下がる形で傾斜しているのですね。

見ただけで傾斜がわかるくらいですから、演じる俳優さんにとっては坂道を駆け上がったり駆け下りたりする心地だったでしょう。
演じ通すだけで、喝采に値します。


第1幕の幕が開くや、左手に坐る劇作家ドン・アルフォンソが鵞ペンをもった右手をふりあげ、紙にふりおろし、猛然とことばをつむぎはじめる。

この演出からして、ああ、亜門流なんだな。

劇中劇的構成をつねに意識させる舞台であるがために、もともと虚実入り混じりの筋書きである「コジ」に、いっそうの深みが出ました。


唯一、難を申し上げると、

話の区切りごとに劇中劇舞台に「第x章 xxxxx」というようなかたちでイタリア語・日本語併記の字幕が映し出されるのですが、

舞台のうえに日本語を映し出したのは、あれはまずかった。
ちょっと白けましたね。

舞台の上はあくまでイタリア語だけにとどめて、左右にある字幕スクリーンに日本語訳を出したほうがよかった。


たとえばね、『エビータ』のなかで民衆がプラカードをもって出てくるシーンがありますが、

日本語公演であっても舞台上の俳優さんたちがもつプラカードはスペイン語なわけです。
もしここでプラカードに日本語が書いてあったら白けますよ。

セリフが日本語なのはいいのです。
でも、視覚的には舞台上はアルゼンチンという設定を貫いてほしい、とまあ、そういう約束事のもとで演劇は動くわけですね。


だから、やはり、今回の「コジ」で、舞台上に日本語を映し出しちゃったのも、まずかったと思うのです。

舞台上はあくまでイタリアであるべきなんですね。


でも、とにかくいいオペラでした。
11月11日(土)、12日(日)にも公演がのこっています。
ぜひおはこびください。





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最終更新日  Nov 6, 2006 08:16:10 AM
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