テーマ:楽しいNY生活(436)
カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
大好きな街といえば、なんといってもニューヨーク、マンハッタンだ。
マンハッタンが愛し続ける『レント』。 貧しいなかに、それぞれの夢を追う若い群像の魅力。 ことし映画化もされた、伝説のロック・ミュージカル。 でもそんなことをぼくは全く知らず、極めてたまさかに台北でCDを買ったのが出会いだった。 そのときのことを8月28日のブログに書いています。 http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200608280000/ (今回の日本公演、Aiko Nakasone は加わっていませんでしたが) レント rent は「間借り賃」。 ぼくなら『イースト・ヴィレッジの間借人』と劇名を訳するでしょうか。 でも、ここまで神話化したミュージカルは、あくまで『レント』なのですね。 土曜日、米国のキャスト+スタッフの来日公演を見ました。 英語公演です。 ぼくが台北で買ったCDは平成8年の舞台録音で、 主人公のシンガー Roger Davis 役の Adam Pascal と その親友の映像作家で狂言回しの Mark Cohen 役 Anthony Rapp のふたりの声が際立っていて、 いかにもオトコのミュージカルという感じでしたが、 今回の日本公演は Roger のふしぎな恋人、ナイトクラブ・ダンサー Mimi Marquez 役の Arianda Fernandez が断然いいんですね。 (↓日本公演のホームページ) http://www.rent2006.com/ 彼女が歌い始めると、上半身に電流がびりびりくる。 両肩をゆすぶられるような。 2年前にデビューした19歳の Arianda の才能が輝いて、俄然「レント」は女性にささげる一品になったのですね。 Mimi を中心に Roger という惑星がいて、Mark という狂言回しの精霊がいる。 あらためてCDで Mimi 役の歌を聞くと、平成8年の Mimi 役は Daphne Rubin-Vega さんですが、いささか凡庸なわけです。 (ちなみにことしの映画の Mimi 役は Rosario Dawson で、彼女はすばらしい!) キャストしだいで、劇の輝きかたがこうも変わるなんて! CDで数え切れぬ回数ききまくった第2幕冒頭の Seasons of Love. キャストが横一列に並んで、絶唱。 うつくしい。美しすぎる。 涙で舞台がかすみました。 Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes Five hundred twenty-five thousand moments so dear Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes How do you measure - mesure a year? In daylights - in sunsets In midnights - in cups of coffee In inches - in miles In laughter - in strife In - five hundred twenty-five thousand six hundred minutes How do you measure a year in the life? How about love? How about love? How about love? Measure in love Seasons of love Seasons of love <拙訳 ― 歌えるように訳してみました> ごじゅう にまん ごせん ろっぴゃっ ぷんの そのかず だけの せつなささ ごじゅう にまん ごぜん ろっぴゃっ ぷんの いちねんを どう かぞえる ひが のぼり ひが しずみ まよなかの コーヒーと わらいあって いさかって ごじゅう にまん ごせん ろっぴゃっ ぷんの そう、いちねんを どう かぞえる それは あい それは あい それは あい あい だけが それぞれの あい こいの とき この Seasons of Love は、もう別格ですが、ぼくが好きなのは Christmas Bells というナンバー。 Christmas bells are ringing(クリスマスの鐘が鳴ってる)ではじまり、 群集がむつみあう、いかにもミュージカル的舞台風景があって、 And it's beginning to... SNOW!! (そしてついには……雪が!) と盛り上げておわる曲です。 ロック・ミュージカルのなかで、このナンバーはひときわしっとりしていて、いいんですね。 おりおり、舞台のあまりのすばらしさに、突然立ち上がって踊りだすバカものが出てこないかと心配したけれど、東京厚生年金会館の観客はお行儀がよかった。 カーテンコール。 キャストが横並びで、つないだ手をふりあげ、ふりおろし、最敬礼するリズミカルな挨拶は、日本の役者さんたちがやりそうでやらないブロードウェイ風景で、米国出張の観劇を思い出しました。 2度目のカーテンコール。拍手の嵐のなかで数名が立ち上がりはじめた。 ぼくも、立とうかな。 どうしよう。 と思ったとき、3列目あたりの人々がわ~っと立ちはじめて、場内が一気に standing ovation に入ったのですね。 よかった、ありがとう! キャストは Seasons of Love の聴かせどころを歌い始め、場内は手拍手でひとつになります。 最高のキャスト、スタッフと観客を得た公演でした。 ミュージカルの神さまに感謝! 東京厚生年金会館の公演は25日(土)まで。 その後、名古屋公演(11月28、29日)、大阪公演(12月1、2日)と続きます。 ぜひ、おはこびください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[映画・演劇(とりわけミュージカル)評] カテゴリの最新記事
|
|