6309258 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
May 27, 2009
XML
カテゴリ:ぼくの疑問符

兵庫県というのは日本で最も県民意識のない県として知られる。
播磨地方も但馬地方も、神戸近辺との心情的親しさがいまだに、ない。

不自然に大きい。
県というより、道州制の広域行政区もどきだ。
(だからいっそのこと徳島県も合併して、神戸をハブとする大 「兵庫県」 になればいい、と拙著 『日本の本領(そこぢから)』 には書かせていただいたけれど。)

『NHK知る楽(らく) 歴史は眠らない』 の 4~5 月号 「県境の謎を行く」 (藻谷浩介もたにこうすけさん) を読んで、ようやく疑問が解明された。

なんと 「兵庫県」 という化け物は、財政難の明治政府が当時ただの寒村だった神戸を大貿易港へ育てるために、播磨(はりま)平野の豊かな実りがもたらす資本と、但馬(たじま)・丹波の絹織物という商品を神戸という新開地に集約させるための、じつに人工的な枠組みだったというのですね。

稀代の指導者、大久保利通の構想だったという説がある由。
嗚呼(ああ)

地図をしげしげと見れば確かに、明石の西、加古川、高砂、姫路、相生(あいおい)から赤穂まで、広大な平野が広がる。
幾本も川が流れて、水にも恵まれている。

そのわりに今日、播磨地方は全国区の場所ではない。印象が薄い。
姫路城のような立派な遺産を残せるだけの財力と智力に古来恵まれた地というのに。

藻谷さんが書いている:

≪大阪から明石まで……(中略)……大きな城跡は1か所もありませんが、播磨国(はりまのくに)に入ると俄然大きな城が出てきます。
それは、昔から農業が豊かでたくさんの年貢が上がるため、城をつくるゆとりがあったからです。≫

≪そのため、織田信長の命で中国地方の攻略に向かった豊臣(羽柴)秀吉は苦戦を強いられ、結局、播磨を攻略するのに10年ぐらいかかっています。
播磨はそれほど大きな力を持っていたわけです。≫


NHKテキストの藻谷(もたに)さんの文章を読んで、なるほどと思ったのだが、要すれば播磨地方の税収がどんどん吸い取られて、神戸という港湾都市の建設に投下されたのである。

廃藩置県の当初、播磨地方は 「姫路県」 であり、その後 「飾磨(しかま)県」 と改名する。
神戸を中核とする兵庫県へ併合されて後も、飾磨県 「再置」 (= 播磨の独立) の運動が盛んに行われたが、ついに明治政府の認めるところとならなかった。

さあ、こういう記述を読むと、 <if 播磨地方が姫路を県庁所在地として飾磨県としてインフラ整備をしていたら……>  という仮定に、想像が膨らむのである。

おそらく、古来からの繁栄の延長線上には、「百万都市」姫路があったに違いない。
広島市なみの繁栄都市が播磨平野にあったほうが自然だ。

日本統一に共に寄与した古代国家 「吉備国(きびのくに)」 の繁栄をよろしく思わぬ大和朝廷が、これを備前国・備中国・備後国・美作国(みまさかのくに)に分割して力を削(そ)いだ。

同じ大和朝廷が、明治の御代(みよ)にこんどは神戸港の殖産のために播磨国の力を削(そ)ぐこととなったとは、なんとも因縁深い。



姫路は、思い入れのある都だ。

姫路城には、中国人を数名お連れしたことがある。
美と智の巨大な結晶を、誇らかに思えた。

夜の姫路に米国人3名と繰り出したこともある。
「姫路は田舎だからタノシいところはありません」 という俗論を無視して路地を捜し歩いたら、かわいい女の子たちのトップレスのお店を見つけた。

いまでも彼女たちにしみじみ感謝している。
たぶんもう会うことのない彼女らへの恩義は、ほかの女の子たちにお返しすることで許してください……。

わが故郷の松山市も同じだが、姫路市は本来もっている実力を十分発揮しきれず今に至った都市という感じがするのだ。

勤務先の飄々とした部下が、姫路市出身である。
偶然だが、わが故郷の愛媛県出身の女性と結婚している。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  May 28, 2009 12:02:42 AM
コメント(5) | コメントを書く


PR

フリーページ

泉ユキヲの観た・読んだメモ 42


観劇・読書メモ 1


観劇・読書メモ 2


観劇・読書メモ 3


観劇・読書メモ 4


観劇・読書メモ 5


観劇・読書メモ 6


観劇・読書メモ 7


観劇・読書メモ 8


観劇・読書メモ 9


観劇・読書メモ 10


観劇・読書メモ 11


観劇・読書メモ 12


観劇・読書メモ 13


観劇・読書メモ 14


観劇・読書メモ 15


観劇・読書メモ 16


観劇・読書メモ 17


観劇・読書メモ 18


観劇・読書メモ 19


観劇・読書メモ 20


観劇・読書メモ 21


観劇・読書メモ 22


観劇・読書メモ 23


観劇・読書メモ 24


観劇・読書メモ 25


観劇・読書メモ 26


観劇・読書メモ 27


観劇・読書メモ 28


観劇・読書メモ 29


観劇・読書メモ 30


観劇・読書メモ 31


読書メモ 32


読書メモ 33


34 観た・読んだメモ


35 観た・読んだメモ


36 観た・読んだメモ


37 観た・読んだメモ


38 観た・読んだメモ


39 観た・読んだメモ


40 観た・読んだメモ


41 観た・読んだメモ


購読雑誌リストアップ


泉ユキヲの美術館・画廊メモ 了


美術館・画廊メモ 1


美術館・画廊メモ 2


美術館・画廊メモ 3


美術館・画廊メモ 4


美術館・画廊メモ 5


美術館・画廊メモ 6


美術展・画廊メモ 7


美術館・画廊メモ 8


美術館・画廊メモ 9


美術館・画廊メモ 10


美術館・画廊メモ 11


美術館・画廊メモ 12


美術館・画廊メモ 13


美術館・画廊メモ 14


美術館・画廊メモ 15


美術館・画廊メモ 16


美術館・画廊メモ 17


美術館・画廊メモ 18


美術館・画廊メモ 19


美術館・画廊メモ 20


美術館・画廊メモ 21


美術館・画廊メモ 22


美術館・画廊メモ 23


美術館・画廊メモ 24


美術館・画廊メモ 25


美術館・画廊メモ 26


美術館・画廊メモ 27


美術館・画廊メモ 28


美術館・画廊メモ 29


美術館・画廊メモ 30


美術館・画廊メモ 31


美術館・画廊メモ 32


美術館・画廊メモ 33


美術館・画廊メモ 34


美術館・画廊メモ 35


美術館・画廊メモ 36


美術館・画廊メモ 37


美術館・画廊メモ 38


泉幸男のブックマーク


トランクルーム 1


トランクルーム 2


旧ホームページ掲載の記事から


中国詩人 牛 漢 の作品「半身の木」


松山市周辺の新たな鉄道整備案


伊澄航一俳句館


南川 航 詩集『ハイウェイの木まで』


「平成かなづかひ」のご説明


ぼくの小学一年生ケッサク作文


日記/記事の投稿

プロフィール

Izumi Yukio

Izumi Yukio

お気に入りブログ

田村洋子 木版画展 T… New! ギャラリーMorningさん

雑誌『DVD&動画配信… New! ITOYAさん

2024年4月一時帰… New! masapon55さん

2024年 桜の奈良に出… New! アップラウンジさん

本日の写真は大吉山… New! ヨンミョン1029さん

昭和の日奉祝講演会… seimei杉田さん

マシュー・ボーンの… みなみ*さん

3/31「風とロック」… ききみみやさん

江戸東京たてもの園 Urara0115さん

ミュージカルMozart… YYCafeさん

コメント新着

 リベラリスト@ Re:特定アジア、「特亜」という用語(11/04) 日本の繁栄を僻んでる? 今では日本が中国…
 通りすがり@ Re:「ございます」 を 「御座います」 と書く若い人たち(02/03) 私は30代後半ですが、中学生の頃から手書…
 名無し@ Re:「ございます」 を 「御座います」 と書く若い人たち(02/03) 嫌味ったらしい文章ですね、こんなメール…
 佐々木@ Re:リニア新幹線の迂回ルートごり押しは、長野県の恥だ(06/21) 11年越しの返信を失礼します。 現在、静岡…
 背番号のないエース0829@ 第二次世界大戦 映画〈ジョジョ・ラビット〉に、上記の内…

バックナンバー

Apr , 2024
Mar , 2024
Feb , 2024
Jan , 2024
Dec , 2023
Nov , 2023
Oct , 2023
Sep , 2023

カテゴリ


© Rakuten Group, Inc.