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Nov 27, 2012
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テーマ:中国&台湾(3301)
カテゴリ:中 国 界
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 ぎりぎり今日まで店頭に並んでいる 『週刊文春』 11月29日号の中国小特集は、わたしのコメントが3ヶ所で使われている。

 155ページ4段目にある、中国進出したフォルクスワーゲンの逸話は、ぽろっと話した内容に記者が飛びついたもの。
「1980年代の話だから、ネタが古すぎ。ぼくが編集長なら却下だよ」
と、原稿の段階で赤信号を出したのだけどねぇ。

 158ページ1段目の、ピジョン社の中国進出についてのコメントも、寝言で言えるような凡庸。質問されたから一般論を言ったまで。

 同じページの2段目のコメントが唯一まともなもので、そのくだりだけご紹介すると

≪前出の泉氏によれば、中国のスーパーや百貨店は日本の経営手法を吸収している段階だという。
「十年以内に、日本のノウハウを学んだ純中国系のスーパーなどが、日本系小売企業を駆逐しますよ。中国側はつねに官民一体です」 ≫


■ 教訓を生かして ■

 週刊文春には、10月4日号にもコメントを使ってもらったが、そのときだいぶ懲りた。
 週末に喫茶店で2時間も話したのに、記者がまとめたのはアクビが出そうな文章で、怒ったわたしは差し替え原稿を書いて、そちらを使ってもらった。

 再度取材申し込みがあった今回はその教訓を生かし、自分がしゃべりそうなことを文章にまとめて記者へ送り、そのあと電話で補足した。
 ところが記者が使うのは、電話でチョロッと喋った下らないコメントのほう。毎度、がっくりである。

 読者諸賢には、週刊文春にそのまま掲載されても良いつもりで書いて送った、わたしの一文をご紹介しよう。


◆◆◆ 中国市場の将来 ◆◆◆


中国が目指しているのは、日本みたいに国産ブランドで市場をおおいつくす国です。
日本みたいに、自動車はほとんどが国産ブランド、家電品も国産ブランド、化粧品も国産、そこにわずかに贅沢品やニッチな商品としての輸入ブランドがある、という景色。

東南アジア諸国がそれを望んでも、ムリ。
しかし、中国や韓国は、それができる国なのです。産業がひととおり揃っていて、勤勉実直な労働者がいますから。

◆ 前例あり ◆

発電プラントや製鉄プラントも、中国は1980年代までは輸入プラントをかなり採用していました。しかし、1990年代後半からは日本からこれらのプラント輸出はほぼ皆無。
中国国内のメーカーがかなり高度なものまで自分で作っています。

日本メーカーの商機は、大型タービンの軸となるローター材のように技術的に中国で作れない基幹部材や、高炉ガスを利用する特殊なガスタービンのようなニッチな商品に限定されています。

日本の重電機業界側もそういう状態を当然のこととして受け止めているから、今さら
「中国へ発電プラントが売れなくなって困っている」
などと言う企業はありません。

話題にならないから一般の日本人はそのことを知らない。
しかし、そういうことが、これから次々にいろんな市場分野で起こってくるのだという割り切りが必要です。

そうならないと考えるとしたら、それこそ中国人をバカにしています。

◆ 中国企業の席捲は現在進行形 ◆

すでにケータイは、中国企業が中国市場を席捲(せっけん)していますね。基幹部品が依然として日本製だとしても。

検索エンジン関連ビジネスも、中国共産党が Google を追い出しにかかっていて、中国企業の独擅場(どくせんじょう)になるのは目に見えています。

家電品もパソコンも、中国ブランドが強い。中国政府は国産品販売支援策を、おりおり繰り広げますから、海外ブランドは太刀打ちできません。

合弁企業の製品が売れて国富の一部が流出するより、純国内企業の製品が売れたほうが、中国経済にとってはメリットがある。
だから、中国側が官民一体で動いて、海外ブランドは粛々と駆逐されていきます。

◆ 日本車も駆逐される ◆

いわゆる日本車が、不買運動の対象になっていますね。
日本から輸出した車のみならず、中国の合弁工場でつくった中国製の日本ブランド車まで不買の対象になっている。

「一時的な落ち込みだ」
と楽観論を言うひとがいますが、わたしはそうは思いません。
中国ブランドの中国車で一般大衆市場をおおいつくそうというのが、中国政府の長期的な考え方です。

日本や韓国の風景を思い返せば、中国政府がそう考えることのほうが自然です。
もちろん、ベンツやレクサスはニッチな商品として残るでしょうが。

◆ 日系のスーパーや百貨店は ◆

日本系のスーパーマーケットや百貨店が今回、狼藉(ろうぜき)の対象になりました。これもひとつの前兆と読むべきです。

いま中国は、スーパーマーケットや百貨店、コンビニチェーンなどの経営ノウハウを日本から吸収している段階です。

10年経たないうちに、純中国企業のスーパーや百貨店、コンビニが、地元政府の絶大な支援を受けて日本系を駆逐するでしょう。

それは何の不思議でもありません。
皆さんの周りに、カルフールやウォールマートはありますか? 日本系企業が競争を寄せ付けなかったから、外国系の流通店舗はほとんどありませんね。

中国では中国企業が、中国政府の支援を受けつつ日本系企業を駆逐するのです。
日本系の合弁企業が育てた中国の人材が、それら中国企業の幹部として高給で抜擢されるでしょう。

◆ 5年でキャッシュを回収せよ ◆

わたしは、中国へ投資をするなとは言いません。儲かるなら、やればいいのです。

しかし、5年以内で投下したキャッシュが返ってくるようなものに限ることです。
10年、20年のスパンで投資するのは、危険なことだと思います。

「キャッシュ」 ということをあえて強調したのは理由があります。

たとえば日産自動車は、中国市場で合弁工場生産の日産ブランド車を売って高収益を上げていますが、これはあくまで帳簿上の連結収益なのです。

キャッシュ (現金) を配当金として日本へ還流させることによる収益ではありません。

キャッシュ自体は中国国内で再投資され、資産としてどんどん積み上がっているわけですが、さて日産はキャッシュをいつ日本へ引いてくるのでしょう。

気がついたら中国企業との戦いに敗れ、赤字撤退で資産をそっくり中国に置いていった、というようなことにならねばよいですが。
老婆心ですがね。

◆◆*◆◆


 日本の百貨店が中国企業によって駆逐されると、いくら言ってもピンとこないかな。

 こう言えば、わかってもらえるだろうか。
 平和堂が「和平堂」になる日、と。

 平和堂が一生懸命育てた人材が、中国共産党幹部の息のかかった中国企業に高給で根こそぎ引き抜かれる日。
 平和堂が新規出店をしようとしても、許認可が下りない日。

 平和 (peace) は、中国語では “和平 (ホーピン) ”。
 「和平堂」 へと、看板が掛けかえられる日だ。





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最終更新日  Nov 27, 2012 07:43:17 AM
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