キャンサーサポートプログラム ウォーキングイベントin 彦根
3月6日にキャンサーサポートプログラムのウォーキングイベントが彦根で行われました。自宅で運動療法(インターバル速歩)を続けている参加者の皆さん。集まって一緒に歩くことで、励ましあいながら速歩を続けて頂こう、そしてがんに詳しい医療者の講演を聞きに病院を訪ねようというイベント、第二回目です。今回の速歩の舞台は、歴史の色濃い、緑溢れる彦根城。広い敷地内には公園や大名庭園などがゆったりと点在し、道幅も広く、歩くにはぴったりの場所です。生い茂る木々や、苔むした石垣を眺めながら歩いたら、さぞ気持ちよいだろう・・・!下見の段階からわくわくしていたのですが…当日はあいにくの雨。小雨の降る中、傘やレインウェアの助けを借りて、30分ほど歩きました。皆さん、速歩のスピードが速い!そして息もきれていない!普段から、速歩が生活の一部になっている何よりの証、プログラムスタート時に比べ、皆さん格段に体力が向上している様子です。速歩の後は、市内のレストランで野菜中心のごはんをいただき、講演の会場となる彦根市立病院へ。今回は、「安らぎ」と「希望」をテーマとして、治療的代替医療を取り入れながら緩和ケアに取り組んでいる彦根市立病院の黒丸尊治先生に“心の治癒力を引き出す”というテーマでお話を伺いました。緩和ケア科では、患者さん本人の思いに沿う形で、希望を持ちながら支えるそのための一つの手だてとして、代替療法を使用しているそうです。具体的には、アロマセラピー、リフレクソロジー、タッピングタッチ、ヒーリングタッチ(手当て)、音楽療法、アニマルセラピー、カラーセラピーなど。セラピストは各地からボランティアで来てくれる方たち。月平均にして100人程度の患者さんが、これらのセラピーを受けているとのこと。患者本人の希望があれば、その他さまざまな治療的な代替療法-丸山ワクチン、サプリメント、玄米菜食、びわの葉温灸、ホメオパシー、ビタミンC大量療法、リンパ球療法、WT1ワクチン、温熱療法、サイモントン療法、イメージ療法など-も行うそうです。黒丸先生は、緩和ケア科で診療を行う中で、170人に1人くらいの割合で末期で治療行為を行っていないにもかかわらず、がんが全く進行しなかったり、腫瘍マーカーの値が大幅に下がったというケースがあることに着目。そういった“奇跡的”とも言えるケースで、大きな役割を果たしているのでは?と注目したのが、ポジティブ思考、明るい気持ち、といった「心の治癒力」だったそうです。「とはいえ、ポジティブな気持ちや明るさを持てばいい、というほど単純ではありません」と黒丸先生。「ポジティブさや明るさは、『無理なくそういう状態になっているのであれば』良いものです。ただ自分ががんになった状況で、明るい気持ちががんにはいいから、前向きにならなくては…と頑張ってしまうと、逆にそれがストレスになることも。」では、どうすれば良いのでしょうか?「明るい気持ち、前向きな気持ち、というものは、なろうと思ってなれるものじゃない。無理してなろうとするのではなく、おのずとそういうような気持ちになるような“きっかけ”を探した方がいいと思います。」「きっかけにも色々あって、身近なのは“人とのつながり”。家族や友人、主治医、そういう周りの人達のひとことで、嬉しくなったり前向きになったり、心の状態はがらっと変わります。例えば患者会などで、元気になっている人達に会い、やっぱり治るんだな、治るかもしれないな、ああ、がんって治るんだ、という実感を持ったりする、というのも心の治癒力がONになるきっかけになる。また、グループのかかわりも非常に大切で、同じ目標を持つ仲間の雰囲気、これは大事です。グループなしで、1人でこの“頑張ろう”という感覚、気持ちを出そうとしても難しいでしょう?」まさに、キャンサーサポートプログラムのためにあるような言葉!「頑張らねばならない=ストレスモード。“きっかけ見つけるぞ!”と頑張るより、自分自身の心に気持ちを向けて、日々の生活の中で、たくさんころがっている幸せ・・・あの人と話していると何か元気が出る、とか、気分のよさ、生き生き感を感じたときはどんなときかな~、と思ってみるといいかもしれません。」今の自分の状態や思いはOKなんだ、と思えれば楽になる、ほっとする。そのこと自体が前向きなこと、と黒丸先生。「今のままでいい、と思うことで肩の力が抜ける。そうすると一歩踏み出すことができる。いきなり完璧を目指そうとしても、大変すぎて、結局いつまでたっても変わらない。できることをほんの少しだけやる、それが大原則です。玄米菜食はいいから、よし、いきなり完全にやろうと思っても難しくてどこかで無理が来て挫折したりする。ならば30日のうち1日だけ玄米菜食にしてみよう。傍から見れば、1日くらいじゃ玄米菜食とは言わない!と思われるかもしれないけれど、それでいいんです。1つでもいい、1つ出来ると2つ出来そうになる。2つ出来ると3つも出来たりする…一番大事なのは、いかに最初のリミッターを外すか。これぐらいなら出来るかな、というような思いを持てるきっかけづくり、これが大きなポイント。大きく変わろうと思わずに、まずは「変わらなくてもいいんだ」というところからスタートしてもらってもいいと思います。」キャンサーサポートプログラムでも、速歩ができない日が何日かあると、自分を責めてしまって・・・という声が、あったりするのですが、“頑張らない”“まあ、いいか” というゆるやかさで、自分が心地良くなれる、自然と明るい気持ちにさせてくれる“きっかけ”の力を借りる、それが、抽象的にも具体的にも、歩き続ける秘訣にもなるのかもしれません。キャンサーサポートプログラムも、これから後半戦。歩調は速くとも、気持ちはゆったりと、自分の気持ちよさを大切にしながら歩いていきましょう!