主人公の宇多は、両親を早くに亡くし、長次親分の下で下っぴきをしている。
宇多が慕う於ふじは兄と共に死んでしまったが、その於ふじが幽霊として現れる。
江戸を舞台に、九人の幼馴染の恋模様を描いた短編連作。
最近、『しゃばけ』シリーズの方にも見られる、「全てのものは変わっていく」事の切なさが出ている小説です。
主人公の宇多が、死んでしまった思い人をいつまでも引きずっているところは、『まんまこと』の麻之助が他の男の妻になった女を忘れられずにいるのと一緒だなぁ。
宇多の方が、於ふじが死んでからの期間が短いので、まだ納得できますが。
特に男の登場人物がパターン化してしまってる感じがします。
そして主人公よりも、友達の登場人物の方が魅力的に動いているのも、『まんまこと』と似ていると思う。
個人的には、『こころげそう』と『まんまこと』、どちらか片方は、せっかく近くに別の女の子を配しているのだから、未来を感じさせる終わり方にして欲しかったなぁと言う気がします。