自分サイズで暮らしたい

トンデモ精神科医・伊良部の第3弾。
3冊目ともなると若干食傷気味だったのだけど、それでも面白かった。

「オーナー」は、発行部数日本一の新聞の代表取締役会長であり、人気球団のオーナーである通称ナベマンが登場。
プロ野球の1リーグ制を推進し、「たかが選手」発言などでマスコミをにぎわし･･･あれ？確かそんな人が実際いたような･･･ｗ
生前葬での弔辞＆ラストには、不覚にも（？）感動してしまった。
「ホリデイ」といい、やっぱり最近老人モノに弱いのか･･･？？？

「アンポンマン」も（当時の）時の人が元ネタで、こちらはIT企業社長・通称アンポンマン。
プロ野球チームを買収しようとして失敗したり、ラジオ局の株を買い占めたり･･･あれ？確か（以下略）
平仮名が書けなくなってしまった、平仮名アルツハイマー？なのだが、先日、手書きで書類を書こうとして、漢字が咄嗟に出てこなかったり、平仮名書き間違えそうになったり（ヤバ過ぎる！）した私としては、ちょっと他人事じゃないような･･･。
アンポンマンの言い訳と自分の考えが一致していて、それもちょっとどうなのかと･･･。

「カリスマ」の元ネタは黒○瞳？
これは、あんまり面白くなかったかな･･･。それより、看護婦マユミのキャラが激変してて戸惑った。
うーん、伊良部のキャラを変えられないからマユミをいじったのかなー、うーん。

表題作「町長選挙」では、いつもの病院ではなく離島が舞台。
町を二分する町長選挙に巻き込まれ苦悩する、東京から来た公務員クン。
敬老会の票を確保すべく、特別養護老人ホーム建設を公約に入れようと両候補者が伊良部を巻き込んで･･･。

「無風選挙なら町長は何もせん。（略）宿敵がおるから、死に物狂いで公共事業を引っ張ってくる」
ハチャメチャなフィクションのようでいて、高齢化が進む過疎地の問題や選挙の意義がすらっと語られる。お見事。

ラストには、敬老会の会長である島の長老が出てくるが･･･奥田氏は、老人に対して優しいような気がする。老人に限らないかな？
伊良部シリーズは、要するに、愚かでちっぽけな人間を笑いのネタにしつつ、包容している。ラストも清々しい。