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カテゴリ:雑考あれこれ
昨日のブログ内容について、
日本に居ては得られない貴重な情報ですね。日本のマスコミってそんなにダメなんですかね。それとも知っていて書かない?ニュースソースが無い?どちらでしょう。 とのコメントをいただいた。 ので、今日はこのコメントのリアクションを。実はこの答えの一部は小文にして発表しようかどうか迷っていました。ちょっとおこがましいかな?と思っていたのですが、せっかくなので、ここで概要を書いて皆さんの意見を聞くことにします。 まず、昨日書いたブログのネタはアメリカのニュース報道と有料ニュースレターNelson Reportです。前者はネットで閲覧可能、あるいはメールアドレスを登録して毎日メールでニュースを配信してもらうことは可能です。なので、これは日本でも入手可能。 あと、有料ニュースレターですが、これはワシントンでアジア関連を追いかけている人たちなら大概見知っている人によるもの。これも書いている本人にメールアドレスさえ伝えれば無料で送ってくれます。(おっと、これは内緒です)ワシントンには日本のマスコミ各社あわせて100人くらい駐在しているわけで、この存在を知らないことはないはず。(知らなかったらもぐりだと思います)読者にはアジア関連を追いかけている人(アメリカ政府内外)が大概入っていて、間違ったことを書いたら翌日までに指摘を受けてその日のニュースレターに指摘内容を書いてくれますから、便利なことこの上ない。 その人を知る必要はありますが、一度お願いすればずっとニュースレターを送ってくれますから、日本でも専門家やマスコミの人たちは、読んでいる人は読んでいることでしょう。 なので、ニュースソースがない、という路線は消えます。ただし、ワシントンに駐在している人たちの記事は基本的に時差の関係で夕刊にのるもの、ときいています。なので、もし朝刊がワシントンを必ずしもウォッチしている人が書いていないと、話は別かもしれません。それはそれで、駐在員の活用について体制が悪いという問題になります。外部からではそれ以上はわかりません。 次に、知っていて書かないかどうか、これは内部の人間ではないので知りません。もちろん、マスコミ各社のカラーなるものはあるので、多少の差はあるとは思いますが、知っていて書かないのもまた、マスコミの使命的にどうかと思います。(可能性を否定しているわけではありませんが。) もっとも、ないことを報道したことがあるときいたことはあります。以前ワシントン付近にハリケーンがきて、直撃するか微妙なときがありました。実際にはそれて何事もなかったのですが、日本のマスコミ(TV)のどこかがフライングして、直撃したことにしちゃいました。当然ながら横並び主義ですから、すべてのTVはワシントンにハリケーン直撃という報道がされた。TVなので映像が必要ですが、それは数年前の映像を引っ張り出してきて流したそうです。(ワシントン在住のフリーランスジャーナリスト談) 頭を抱えてしまいます、こういう話をきくと。 ![]() が、本質的な問題は他にあるように思います。何かというと、日々大量に起こる事件や出来事。これの何が大事で何が大事じゃないかの区別、どういう流れがあるからどういうことがおきるのか、何に注目したらいいのか、これができていないのではないかしら? なぜこういう疑問を持つかというと、例えば国務省などアメリカの官庁に常に張っているメディアの半分は日本勢。感覚は番記者とかいうのと同じでしょう。けれど、アメリカのメディアは別に毎日張ってなんかいない。重要な話がくるというときだけやってくる。これは、アメリカのメディアの方がそれだけ世の中の潮流の見方に自信がちゃんとあって、重要なものをもらさない自信がある証拠だと思うんです。一方、日本のメディアはそうではない。 だから出発点がそもそも違う。日々の出来事を知ってるかどうかの問題ではなしに。同じ出来事、ニュースを見てても、ぼけっとみているのとその前後の出来事から前後の文脈を感じ取れないかどうかを常に意識しているのとではぜんぜん問題意識は違うし、見方も違えば、書き方もまた違う。 別に私はマスコミの専門でもなんでもない。ただ、利用者の立場からしかものをいっていません。けれど、利用者の立場からすれば、みていて世の中の流れを考えられるだけの材料を提供してほしい。ある方向に向かっている模様と報道しておいて、後でぜんぜん違う結果になりました、では先のことはさっぱりわからないし、困る。もちろん、当事者が極秘にしておいてマスコミを欺いた、という筋書きがあまりに見事ならわからないでもない。けれど、そうではないことが多すぎる。 じゃ、どうしたら世の中の流れをわかるようになれるの? ここからが、小文にしようかどうか迷っている部分。 世の中の流れをわかるようになりたいと思うなら、以下の心構え3つが最低必要だと思う。 1)物事は多面性である なので、一方的な見方は厳禁である。私もニュースに接しているときは、某マスコミは世の中にこう信じ込ませたいらしい、と心の中で付け加えるようにしています。 今の報道で例を挙げれば、アメリカ大統領選。今は共和党候補が決まったので仕方ないが、それまでは著しく民主党の話ばかり書いていた。9割は民主党に割くと言われていた。が、どのアメリカ人も今回は絶対に民主党が勝つと断言できない、いくら有利とはいえ。しかも、選挙は水物なのだから、有利そうでも断定はしない方がいい。確かに史上初の女性大統領か、黒人大統領かで共和党よりもドラマチックなのはわかる。が、あまりに偏重しすぎて、民主党だけの戦いかのような印象を与える報道はどうかしてる。 今年の頭に日本に帰ったとき、あらゆる人たちからこの誤解をいわれ、ひたすら解いて回っていた。それでも、どうなの?ときかれるということは、日本のメディアが正しいのか首をひねっているということとしても解釈可能である。(この結論を出すには、母数は小さすぎだが) 2)自己を含め客観的にみる 例えば、06年北朝鮮が核実験した。日本のメディアは北朝鮮非難一色。これじゃ、話にならない。冷静に何が悪いのか、北朝鮮がそうした背景は何か、どこからがやってはいけない線なのか、全然見えない。 一方、アメリカのメディアは、もっと冷静。北朝鮮にも核兵器を持つ権利があるとまでは認めている。その上で、近隣諸国と正常な関係を持っていない国が持つのは地域の安全面、核不拡散の立場から非難されるべきというロジックだった。 アメリカは核をもっているのに、北朝鮮は持ってはいけない、という論理は北朝鮮にとり不公平以外何者でもない。このくらいの冷静さはほしいもの。 あと、世界がどう日本を見ているかの考察が決定的に欠ける。 例えば、06年の核実験を受けてアメリカのライス国務長官がまず日本を訪問したときの日米の報道の見出しは全然違う。日本は北朝鮮へ厳しい態度で臨むことで日米間一致。一方、アメリカは、日本の核化の可能性なし。 もちろん、日本の核へのアレルギーがいかに強いかについての理解不足があるわけで、それを嘲笑することはたやすい。だが、欧米が親しんでいる国際関係理論からすれば、日本が核を持たないことは限りなく不思議以外何者でもない。そこまで理解しているのだろうか?また、別の観点からすれば、メディアに限らず日本の情報発信能力不足とも言える。 自己や日本を一度突き放して客観的に冷静に物事をみること、とっても大事。 3)物事は流動的 程度(変化までの時間)の差はあれ、物事はすべからく流動的。なので、常に仮説を立てて、しっかり観察して、検証することは必要。いつもこの繰り返し。もし違えば、仮説をたてたときに、意識していなかった隠れた前提はなかったか(変化する可能性はあるのに、それを変わらないと思い込んでいた部分はなかったか)を考える必要がある。 例えば、安倍晋三は首相になる前から拉致問題を大きく取り上げた。これは、当時アメリカと日本との間で北朝鮮に対する姿勢にずれがあったため、アメリカの強硬路線に合わせるためもあり、態度硬化のためにした。が、これはアメリカの対北朝鮮政策が不変である、という隠れた前提にたったもの。当然アメリカが方向転換をした瞬間、日本は孤立。アメリカから逆に軟化したらと言われても、すでに引っ込みがつかない状態に。 そもそも、アメリカの政策に一貫性なんてものはない。大統領は4、8年ごとに変わるし、政策担当者の首が飛べばすぐに全然違う政策になる。ここのところをよく理解していたら、引っ込みがつかなくなるような政策は打たない、起きなかったことだ。 っていうようなことなんですけどね、いかが? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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