あそびはこどもの仕事やで！：遊び学ブログ

[書評] カテゴリの記事

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  『素晴らしき数学世界』：私的ミニ書評

  　今日取りあげるのは、「【送料無料】素晴らしき数学世界 [ アレックス・ベロス ]」と言う書だ。数学を「素晴らしき」ものと思っておられる方は、そんなに多くは無いかも知れない。それどころか、「算数」ではなく「惨数」、「数学」ではなく「数牙苦」となっているこどもたちも少なくない。　　そんな時代にあって、本書は一読に値する書だと言える。まずは、著者であるアレックス・ベロス氏の思いを、本書の「はじめに」から引用しておく。【本書の執筆にあたってつねに私を駆り立ててくれたのは、数学的な発見の驚きやときめきを伝えたいという思いだった（それに、数学のおもしろさを紹介したいという気持ちもあった。論理の王者であるわれわれ人類は、非論理性を見抜く類い稀なセンスをもちあわせている）。数学には無味乾燥で難解というよからぬ評判がある。そういうところも少なからずあるだろう。しかし、数学は身近で刺激的なものだし、何より驚くほど創造的なものだ。抽象数学の考え方は人類の偉大な功績の一つであり、ほぼまちがいなく、すべての人類の進歩の礎となっている。　数の国はすばらしいところだ。ぜひ一度、訪ねてみることをお勤めしたい。】　本書には、「メルセンヌ素数」「非加算無限」などの難解な語句も多数掲載されているが、そうした難解な語句は読み飛ばしたとしても、著者が語る数学にまつわる「お話し」は、十分に楽しんでいただけるだろう。また、「レクリエーション数学」というジャンルの紹介もあるが、本書は「数学」から「数楽」への第一歩ともなり得るのではないだろうか。「こどものあそび（遊び方）」は、次のページでいろいろ紹介しています。あそびセレクトFC2ブログランキングにも登録しています。↓よろしければ、ご支援のクリックを↓多忙のため、コメントへ返信できない場合がありますので、ご了承の程よろしくお願いいたします。

  2012.12.23

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  『ヒトはなぜ拍手をするのか』：私的ミニ書評

  　今日取りあげるのは、「【送料無料】ヒトはなぜ拍手をするのか」と言う書だ。「なぜ拍手するのか」は、読んでのお楽しみにして、興味を持った点に絞って感想をつづる。　　前書きには、【人間の日常的な生活のなかに見られる「動作」や「行動」「心理」「感想」について頭に浮かぶものをいくつかあげ、進化の仕組みに照らして「なぜそうなのか」について分かりやすく解説してみようと思う。】とあるが、少なくとも私には分かりやすい書であった。　しかし、興味を持ったのは「なぜそうなのか」についてより、次の一節だった。【ヒトを含めて、動物がなぜ遊ぶのか、についてはまだまだ解明されているとは言えない。しかし、遊びの機能の一つが、少なくともヒトでは、身体運動や言語、対人コミュニケーション、論理思考など、さまざまな能力の発達を促すことであることは間違いがない。　遊びであるが故に、その活動の中に多様な変化を盛り込むことができ、フレキシブルで裾野の広い（創造性豊かな、といってもよい）土台を築くことができるのである。】　今、こどもたちにおいては、体力・運動能力・学力の低下が問題となり、不登校・引きこもり・いじめ・自殺などの深刻な問題も増えてきているのは、「さまざまな能力の発達を促す」「遊びの機能」が低下してきているからと、この一節は物語っているように思える。　このあそびの重要な機能については、このブログでも度々指摘し、「遊び学の遊邑舎」のサイトでも、私論としてすでに論じているが、もう一度こどもたちのあそびの大切さを見直す意味でも、本書を拠り所として、動物行動学から人間を見てみるのは、いかがだろうか。「こどものあそび（遊び方）」は、次のページでいろいろ紹介しています。あそびセレクトFC2ブログランキングにも登録しています。↓よろしければ、ご支援のクリックを↓

  2012.02.17

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  『鳥の脳力を探る』：私的ミニ書評

  　「遊び」の成立条件に関して、興味深い例が掲載されていた書籍があった。それが、「鳥の脳力を探る」（細川博昭：ソフトバンククリエイティブ／2008年）と言う書だ。　先ずは、その「遊び」に関する部分を引用しておく。【子孫を残すことが最優先の野生の生活の中に、本来、「遊ぶ」という行為が入る余裕はありません。（中略）にもかかわらず、野生のカラスと飼育されているインコは「遊び」ます。（中略）「遊ぶ」ためには、「余裕」が必要です。時間的な余裕と精神的な余裕、その両方が必要ですが、カラスもインコもそうした余裕を持ち合わせています。】（【】内は同書から一部引用）　本書は、書名の「鳥の脳力を探る」でもわかるように、鳥に関する最新の研究データをもとに、鳥の持つ「知能・実力」をわかりやすく解説した一書だ。この書を読んだ後は、おそらく多くの方が、鳥を根本的に見直す事となるだろう。そして、何故「能力」が「脳力」になっているのかも、新鮮な驚きをもって理解できるだろう。　ともかく、鳥の「脳力」を解説した書に、「遊び」が取り上げられていたのだ。本ブログの関連サイト「遊び学の遊邑舎」において、「遊び」に関しての私の見解を掲載しているが、その私見と、本書で明らかにされた鳥類の研究成果は、同じ考えと言えるものだ。　この「遊ぶ」と言う行為である「遊び」は、おそらく多くの動物（分類学上の類）に共通の特質で、人間の遊びを決定する条件である、「三間（さんま）：時間・空間・仲間」も、遊ぶ動物に共通の決定条件となるだろう。前記の引用部は、その三間の「時間」に言及したものとなる。　また、興味深いのは、「遊び」には「時間的な余裕と精神的な余裕、その両方が必要」とある。私は常々、今のこどもたちが、時間的余裕も精神的余裕も乏しい生活を、強いられているように感じているが、そうなれば、今のこどもたちのあそびの現状は、「外あそび」どころの話ではなく、あそびの総量も減じかねない状況にあるのかも知れない。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック！

  2009.02.16

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  『地図に訊け！』：私的ミニ書評

  　日ごろ何気なく見ている（目にしている）地図、好きな人も嫌いな人も、得意な人も苦手な人も、「ヘー！」を連発させてくれる本があった。「地図に訊け！」（山岡光治：筑摩書房／2007年）だ。　著者は、国土地理院の技官で、長年にわたって地図を作ってこられた方だ。だが、そうした地図の専門家としての地図を見る目だけでなく、根っからの地図好きの方だからこその視点が随所に溢れているのが、この書の素晴らしいところだ。その地図好きさかげんを同書の「おわりに」から引用して紹介する。　【「飛ぶ夢」を沢山見ていた私の少年時代の愛読書は、兄のお古の地図帳と漫画本だけであった。中でも地図帳は教科書の中で最も教科書的でない、しかも夢のある本となって、いつまでも眺めていても飽きなかった。私のそばを離れなかった地図帳は、どこから読んでも自由で、知らない国や町に連れていってくれた。何を記憶したいというあてもなく、ただ寝そべって一日中眺めているのが快感だった。】（【】内は同書から一部引用）　著者は、団塊の世代の私より少し年配の方だから、「夢のある本」と言う表現は、私にも実感を持って受け止められる。おそらく、著者同様の地図好きの私だけの感想ではなく、同世代の多くの方が共感できる表現となるだろう。教科書の中で最も愛読もされたのが地図帳だ。そして、最も大切に扱われ、教科書の使命を終えてからも各家庭で活用されたのも地図帳だ。　と言っても、このような思いを地図帳に抱けるのは、やはり著者同様に地図好きな私だからかもしれないが、少なくとも「地図嫌い」になっていなければ、少なからずこうした思いは、理解していただけるだろう。　では、少なくない人たちを地図嫌いにしてしまったのは、何だろうか。それは、おそらく地図帳が最も「教科書的」にされてしまったからだろう。地図を単なる勉強の対象として、地図を「学ぶ」事を強要され、地図を楽しむ事を半ば忘れさせられたから、地図を見る事が人生の早い段階で嫌いにさせられた結果かも知れない。　地図が嫌いになれば、地図が苦手になり、強いては地理の勉強も嫌いになってしまう。そんな悪連鎖が起きるかも知れない。反対に、地図が好きになれば、苦も無く地図が読め、地理好きになる可能性も大きい。だから、初めて地図を学習する時の教育のあり方が問われるだろう。　その最初の地図の学習にも、きっと本書が多くの示唆を与えてくれると思っている。この書で、地図が好きになれなくても、少なくとも、地図の知らなかった一面を発見する事は十分出来る。その発見は、地図帳で珍しい地名や懐かしい地名を見つけた時の感動とよく似た、新鮮な感動となるだろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック！

  2009.01.16

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  『伝承遊び考』：私的ミニ書評

  　こどものあそびを研究されておられる方はもちろんの事、実際にこどもたちにいわゆる「伝承遊び」を指導されておられる方には一読してほしい書が「伝承遊び考（1）」（加古里子：小峰書店／2006）だ。　1：絵かき遊び考、２：石けり遊び考、３：鬼遊び考、４：じゃんけん遊び考の四巻で構成され、それぞれが数百ページに上る膨大な書となっている。その内容も、「絵かき遊び考」のP29に【総数一〇万一〇〇〇余のナマ資料をチェックし、歌詞と画図ならびに採取地名（予想も含む）を記録し、本書の資料とした。】（【】内は前記の書から一部引用）とあるように、全国各地から著者自らが足と目と耳と、そして心で採取された膨大な「ナマ資料」をざっと見るだけでも大きな価値となるだろう。本書を読む方は、日本のこどもたちが培ってきたあそびのその膨大さに圧倒されるだろう。そして、本書を読み進んでいくうちに、こどものあそびのもつ偉大な力にも、感動をもってめぐり合う事が出来る。その事は、今のこどもたちのあそびが抱えている課題、正確にはこどもたちのあそびに対する今のおとなの捉え方の問題にも、大きな示唆を与えてくれる。　【人間の子は、（中略）その時の自然や社会の動向の中で、遊びを知り、その楽しさにつれて心身を使い、考え、学び、きたえ、未知の経験と満足と疲労を得て、心地よい睡眠により次の日を迎え、成長してゆく。】（【】内は前記書P595から一部引用）あそびに対するこの視点こそ、そうした課題や問題を克服する土台となるだろう。この土台は、本ブログの表題である「あそびはこどもの仕事やで！」と基本的に同じ土台である事を付記しておく。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック！

  2008.10.30

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  『なぜヒトの脳だけが大きくなったのか』：私的ミニ書評

  　昨日のブログ記事に書いた、子育てにおける選択を考える上でのヒントを次のような書籍から得るのも一つの方法だろう。「なぜヒトの脳だけが大きくなったのか」（浜田穣：講談社／2007）「脳トレ」が大ブレークしている中で、それとは少しニュアンスの違った「脳」の印象を受けるだろう。　この書を読んでいて印象に残った個所は幾つかあるが、その一つが「脳と効果器」の関係だ。脳が手・口などに代表される効果器を巧みに動かす事により、人間はその営みを続けられるのだが、他の動物に比べて極めて大きいといえる「脳」と、脳の進化とあいまって進化した「手」や「口」との関係を詳しく解説してくれている。　その効果器の一つ「手」についての記述を、一部引用しておく。【ヒトの手の動きと働きは、ほんとうに多様かつ多才であり、それがヒトの生活にとって必須の基盤であることに異論はないだろう。そして手の器用さが、人類進化に重要な役割を演じてきたことも認識していただけるだろう。】（【】内は引用）このことと、今こどもたちの手先の不器用さが度々ニュースになることをあわせ考えると、手に関して言えば、人類は進化過程から「退化過程（その良し悪しはともかく、これも一つの進化の方向だが）」に入ってしまったのだろうか。　また、「口（くち）」に関しては、「アカンボウがしゃべれるようになるまで」の項で、私たちが何気ないことだと思っている「言葉を獲得すること」の、その驚異的とも言える過程に新鮮な驚きと感激を与えてくれる。　つぎに、人間のこどもの期間は、他の動物に比べてかなり長いが、その意義についてカニクイザルの例が興味深かった。【道具使用行動は、遺伝によって子孫に伝えられる行動パターンではない。他の個体が行っているところを観察して、学習する必要がある。群れを作って生活し、他の個体のやっていることを見て、真似ることは、文化伝播・伝承の必要条件である。（中略）子供の期間が非常に重要で、霊長類における成長期間の延長は、複雑・高度な行動パターンの学習には必要条件である。】（【】内は引用）　私は、「遊び」と「真似る」は、極めて関係が深いと考えているが、人生において最も濃厚な遊び期間である「こども期」において、前記引用部をあわせ考えると、「こどものあそび」の意義の大きさが見えてくるだろう。そして、「複雑・高度な行動パターン」は、「道具使用行動」だけに限らず、人と人との関わりの中の様々な行動（活動）である「社会的行動」も「複雑・高度な行動パターン」である。　この書を読んだ後、「こどもはこどもらしく」の意味をもう一度問い直した時、そこに見えてくるものはきっと違ってくるだろう。この書の全てを理解する必要もないし、全てに賛同する必要もないが、子育てにおける大事な選択を迫られた時、何らかの糸口を与えてくれるだろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2007.05.19

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  『永六輔の芸人と遊ぶ』：私的ミニ書評

  　私が考えている広義の「遊び」のひとつの典型が次の書が雄弁に語ってくれている。「永六輔の芸人と遊ぶ」（永六輔：小学館／2001）表題の「遊ぶ」にもその「遊び」のひとつの姿があるが、それは読んでいただいてつかみとってほしい。また、この書での「芸人」も狭い意味の「芸人」ではなく、歌手・狂言師など幅が広い。　その「芸」の定義に関わって永六輔さんはあとがきに書き留めている。【「芸」という字は、もともと「植物を土に植えて育てる」という意味で、後に「技」とか「極まり」という意味が加わりました。】（【】内は引用）これは、三波春夫さんへの追悼文でもあり、続く一節には【芸人さんたちは、世間という土壌に何らかの種を蒔き、それを育てています。しかし、その種が大きく育って花を咲かせるためには、神様の肩入れが必要です。（中略）芸を育てる神様は、それを生で観るすべてのお客さんです。】（【】内は引用）　実に、永六輔さんらしい温かみのある言葉だ。それは、今にも消え去りそうな「芸」、大メディアがあまり取り上げない「芸」など、「芸」についての新鮮な「知」をそれぞれの「芸人」との語らいの中にもにじみ出ている。だから、是非しばしこの書の中に飛び込んで、永六輔さんとともに「芸人」さんたちと遊んでみることをお勧めする。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2007.03.22

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  『〈旭山動物園〉革命』：私的ミニ書評

  　今では日本一有名になった動物園、旭山動物園のその秘密を園長自らが明らかにしてくれる書、「〈旭山動物園〉革命」（小菅正夫：角川書店／2006）はぜひ一読していただきたい本だ。その中で著者は冒頭に、旭山動物園の特徴でもある考えを披露している。【私たちは、動物それぞれの能力を発揮できる行動展示を行うことで、動物がイキイキすることを、飼育する中で確認してきた。（中略）また、イキイキする動物をみることで、人間の側も嬉しくなり、元気になることも、入園者の声を聞いたり、表情を見ていてわかった。（中略）動物も人間も、「自分らしさ」を発揮できる環境はなにものにも替え難いということである】（【】内は引用）　まさに、動物たちが「動物らしく」展示されているからこそ、旭山動物園に多くの人たちが訪れるのだろう。この「動物」らしさを如何に実現させて行ったか、私たちの多くが知らないと思われる動物園の新しい役割など、日本一の動物園の園長自身がやさしく紹介してくれている。まだ旭山動物園に訪れておられないなら、この書を読んでから動物たちに会いに行ってもいいだろう。　ところで、この「自分らしさ」、人間のこどもたちには今最も大切なことではないだろうか。「こどもらしさ」を求めようとはしない一部のおとなたち、ともすれば一部のこどもたちは自らすすんで「こどもらしさ」を捨て去ろうとしているように思える。そして、それはこどもたちの「あそび」に集約されていないだろうか。ふと、そんな思いも過ぎった書でもあった。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2007.03.07

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  『人間は遺伝か環境か？遺伝的プログラム論』：私的ミニ書評

  　自然科学の一書だが、「こどものあそび」を考える上で参考になる本があった。それは、「人間は遺伝か環境か？遺伝的プログラム論」（日高敏隆：文藝春秋／2006）と言う本だ。【われわれの人生を決めているのは、結局のところ何なのだろう？】（【】内は引用）遺伝か環境か、それとも・・・の問いに答えつつ「遺伝的プログラム」についてわかりやすく解説してくれる本でもある。　この本で特に目に留まった箇所が、「人間－－この集団で生き育つもの」と表題のある第三章だ。その中から少し引用する。【集団を形成することによって生き延びてきた人間という動物には、その生き方に沿った遺伝的プログラムが組まれていると考えるのが妥当である。】（【】内は引用）別の箇所には【ほかの人とどうつきあうかということは教えられてもなかなかわかるものではない。多くの哺乳類では、子どものころ、子ども同士の遊びの中でそれを学んでいくように遺伝的プログラムが組まれているらしく、それが動物における遊びの機能のひとつだとされている。】（【】内は引用）　今のこども達の現状を「遊び」を切り口として考える上では、大いに参考にしなければならない指摘だろう。また、ともすれば機械やプログラムとのあそびに偏りがちな今のこども達の将来を考えた場合、おとなの責任ある選択を考える上でも、参考にしても無駄では無いだろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０回　通算０回（今月）W32.Stration@mm 　本日１回　通算１回（今月）VBS.Freelink　　　本日０回　通算０回（今月）W32.Sobig 　　　　本日０回　通算１回（今月）　　（検知したウィルスは今月合計２回）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.12.06

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  『原寸どうぶつ図鑑』：私的ミニ書評

  　動物図鑑にも色々あるが、そのなかでもユニークなのが、「原寸どうぶつ図鑑」（小宮輝之：宝島社／2006）という本だ。なにせ原寸大の動物の写真が掲載されているのだ、当然ながら、本のサイズを上回る大きな動物は、目や鼻などの身体の極一部だが、原寸だけにその大きさが実感できて面白い。　さらに、各動物には実際にその動物を飼育された飼育員の皆さんの解説文がついている。毎日、その動物達といわば生活を共にされておられる方々の一文なので、それだけ読んでも面白い書となっている。ぜひ、こども達とご一緒に一読をお勧めしたい。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０回　通算４回（今月）Wscript.KakWorm　 本日０回　通算０回（今月）VBS.Freelink.B　　本日０回　通算０回（今月）W32.Sobig 　　　　本日０回　通算13回（今月）　　（検知したウィルスは今月合計17回）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.10.14

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  『サイエンスＺＥＲＯ』：私的ミニ書評

  　不祥事が続き、受信料の不払いまで起きているＮＨＫだが、その本領を発揮する番組の一つが科学番組だ。私がこの間、よく視ているのが「サイエンスＺＥＲＯ」という番組だ。眞鍋かをりさんが案内してくれる気楽に視聴でき、それでいて最先端の科学的知見を私達に判りやすく披露してくれる。その番組を本にしたものが、「NHKサイエンスzero」（日本放送協会：ナツメ社／2005）だ。見落とした回の内容を見たり、その時は分かり辛かった回の補足をする上では役に立つ。　そのあたりの制作者の思いをその冒頭部から引用する。【この自然というもっとも面白い書物を読む楽しみを、科学者だけに独占させておくのはもったいない、皆に知ってほしい！　という思いで「サイエンスＺＥＲＯ」を制作しています。】（【】内は引用）そうした面白い自然を読みたくさせてくれるのも、この本の魅力となっている。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０通　通算９通（今月）W32.Mytob　　　　 本日０通　通算０通（今月）W32.Klez　　　　　本日０通　通算１通（今月）W32.Sobig 　　　　本日０通　通算０通（今月）（送られてきたウィルスメールは今月合計10通）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.07.17

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  『日本の戦争遺跡』：私的ミニ書評

  　まもなく８月がやって来る。この８月は原爆や戦争について考える機会も多くなる。そろそろ「戦争を知らないこども達」も老人の域に入りつつあり、日本での戦争は遠い昔の事となってしまった。その戦争の数限りない反省も何処かへ消えてしましそうな不安もよぎるが、その戦争の「跡」を綴った一書がある。それらが教えてくれる過去の戦争と、今なお地球の何処かで続けられている戦争とを重ね、おとなとしてこども達に伝えたい思いを新たにする上でも一読をおすすめしたい。　「日本の戦争遺跡」（戦争遺跡保存全国ネットワーク：平凡社／2004）　プロローグより少し引用する。【二〇世紀は、人類にとって「戦争の世紀」であった。・・・（中略）・・・今こそ、戦争の歴史を学び、平和の大事さを考えたい。「戦争の時代」を繰り返すことの無いように、「負の遺産」である戦争遺跡から学び、戦争の実態を知っていただきたい。】（【】内は引用）残念ながら二一世紀も引き続き「戦争の世紀」になってしまう恐れも決して少なくはないが、しかしまだ二一世紀は始まったばかりなので、二一世紀を「平和の世紀」にすることは十分に可能だ。　日本やアジアそして世界中に恒久の平和が訪れた時、その平和を築いてきた証人としての「平和の遺跡」、その実現のほんの一端にでも関わる事ができたらと思っている。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０通　通算０通（今月）W32.Mytob　　　　 本日０通　通算０通（今月）W32.Klez　　　　　本日１通　通算１通（今月）W32.Sobig 　　　　本日０通　通算０通（今月）（送られてきたウィルスメールは今月合計１通）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.07.02

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  『カエルの不思議発見』：私的ミニ書評

  　私が勤めていた学童保育所の近くは、市内では珍しく近くに田圃の多い地域だった。だから、こども達は学校帰りにカエルを捕って学童保育所へ持ち帰った。そんなカエルを知る上で手ごろな書が次の本だ。「カエルの不思議発見」（松井孝爾：講談社／1999）　「『四六のガマ』の科学」のサブタイトルにあるように、「四六のガマ」の「四六」に秘められた意味や、カエルだけでなくカエルと同じ両生類の事も理解が深められる。なかでも、「オタマジャクシはカエルの子、ナマズの孫では・・・やがて手だ出る足が出る。」と言う替え歌とは違って、足（後肢）が先で手（前肢）が後だと言う事や、ニホンイモリのフェロモンの「ソデフリン」は額田王の歌から来ている事など、両生類への新たな興味をかきたててくれる。　「『カエルはかわいい』と言う人がいる一方、『気持ち悪い』と思う人も少なくない。」（「」は引用）とは思うが、この書を読んだ後は、カエルが好きな人も嫌いな人も、きっとカエルを見直す事は間違いが無いだろう。そして、できればこども達に、この書で知ったカエルの話をしてあげるのも楽しい事だと思う。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０通　通算０通（今月）W32.Mytob　　　　 本日０通　通算０通（今月）W32.Klez　　　　　本日０通　通算０通（今月）W32.Sobig 　　　　本日０通　通算０通（今月）（送られてきたウィルスメールは今月合計０通）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.07.01

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  『図説いま・むかしおもちゃ大博覧会』：私的ミニ書評

  　団塊の世代の私にとって、見ているだけで懐かしくもあり、楽しくもなってくる本があった。それは、「図説いま・むかしおもちゃ大博覧会>」（兵庫県立歴史博物館：河出書房新社／2004）だ。児童文化史研究家の入江正彦氏（故人）が永年にわたって収集されたおもちゃが多数掲載されており、まさに紙上での博覧会だ。じっくりと会場をめぐり、気に入ったおもちゃの前でしばしたたずむのも良いだろう。　おもちゃ画像もさることながら、入江正彦氏をはじめこども文化の専門家諸氏の小論（エッセイ）が掲載されており、おもちゃを眺めながら、おもちゃにまつわる、皆さん方だけのトリビアを発見できるかも知れない。特に、今の時代と昔のおもちゃのあり方を比べ考えてみるには、一読の書だろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０通　通算３通（今月）W32.Mytob　　　　 本日０通　通算０通（今月）W32.Klez　　　　　本日０通　通算０通（今月）W32.Sobig 　　　　本日９通　通算61通（今月）（送られてきたウィルスメールは今月合計64通）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.04.14

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• 『活字が消えた日』：私的ミニ書評

  　「石油缶がみるみる活字で埋まり、外へ運び出されていく。・・・（中略）・・・つくりあげるのには百年もかかったのに、壊すとなるとあっけないほど速い。ガラガラと活字をぶちまける活版工場とは対照的に、その真上の部屋では、何十台ものコンピューターを使った最新鋭の電算写植システムがページを組み上げていた。」（「」内は引用）　これは、「活字が消えた日」（中西秀彦：晶文社／1994）のプロローグの一節だ。京都にある活版印刷の老舗で、文字通りに「活字が消える」その瞬間を劇的に物語っている。　おそらく、この書すら活字で組み上げられた本では無いと思われる。今、活字と思っている物のかなりの部分の、その実体は「活字体」と言うフォントであると思われる。今後は、活字と言う言葉さえなじみが薄くなる時代がやってくるだろう。そうなれば、「私は活字が苦手で・・・」と言った会話や文章も、注釈がなければ、その意味を理解できないかも知れない。　ともかく、活字の発明にも匹敵するこの間の印刷に於ける一大変化を、活版印刷の老舗の生の姿を通して垣間見る事は、なにげなく「活字体」に目をやる私達にとって意味の大きい事だと思う。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2006.03.29

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  『山里の四季をうたう』：私的ミニ書評

  　この間、例によって図書館で借りてきた本で、読み進む中で幾たびか、目頭が熱くなった一書がある。書名を「山里の四季をうたう」（井出孫六 ／石埜正一郎：岩波書店／2006）と言い、副題に「信州・1937年の子どもたち」とある。　本書は、背表紙に書かれているように、「・・・ひとりの若い代用教員の指導で小学生たちが楽しく書いた250編余りの詩・・・」（「」内引用）とその解説だが、詩のほとんどが数行の短い詩だが、その字面にあふれるばかりのこども達の素朴で生き生きとした言葉は、多くのおとなを感動させるに違いないと思っている。　おそらく、今のこども達も基本的には、この本に登場するこども達と同じ感性を持っているだろうとは思うが、そうした事が見えなくなるぐらいに今のこども達をめぐる状況には、厳しいものがあるように思える。そして、その厳しさの原因をつくっているのが、私を含めたおとな達ではないだろうか。　おとなの多くが、ひょっとしたら忘れてしまっている、こども達の純真な心に、70年前のこども達の詩に触れる事で、思い出せればかつての代用教員だった石埜正一郎氏も、きっと喜んでいただけるのではないだろうか。　その石埜正一郎氏だが、当時19歳だったそうだが、氏が詩集の冒頭に綴った一文から一節を紹介しておく。全文を紹介したいところだが、読んでいただく時のお楽しみとして取っておく。　その一節は、最初に島崎藤村の「雀のおやど」を引用した後に続く。「・・・君たちは、皆、これからうんと大きくなろうする『いのち』をもっていますね。・・・（中略）ほんとうに生きいきしている。それがそのまま君たちのうたにあらわれているのです。だからうただってやっぱり生きていますよ。このうたは、何時か君たちが大人になった時でも、やっぱり今のままで、ぴちぴちしているのですよ。」（「」内は引用）　なんのなんの、このこども達のつくった歌は、70年余りたった現在でも、その時以上に「ぴちぴち」と生きている。そんなほのぼのとした実感をこの本はもたらしてくれるだろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ－－－－－－－私的ウィルス情報－－－－－－W32.Netsky　　　　本日０通　通算４通（今月）W32.Mytob　　　　 本日０通　通算０通（今月）W32.Klez　　　　　本日０通　通算１通（今月）W32.Sobig 　　　　本日０通　通算２通（今月）（送られてきたウィルスメールは今月合計７通）ちなみに、アンチウィルスソフトは、このシリーズを使っています。

  2006.03.15

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  『クォークとジャガー』：私的ミニ書評

  　書名の「クォークとジャガー」（マレイ・ゲルマン ／野本陽代：草思社／1997）は、現在のところ究極の素粒子と考えられているクォークと肉食獣のジャガーが組み合わされ、その事が不思議な魅力をかもし出している。　本書は、副題として「たゆみなく進化する複雑系」とあるように、自然・進化などに代表されるような複雑系・複雑適応系を解説してくれる本だが、素粒子論・アルゴリズム的情報量・実行複雑度などなど極めて難解な理論・語句が随所に出てきて、私は十分理解しきれず読み飛ばすほどだった。　そんな個人的には難解の書ではあるが、目に止まった個所を紹介しておく。複雑適応系の例として、人間のこどもや動物の学習を取り上げた項で、「・・・下等生物になっていくにつれて、個々の生物において学習の果たす役割が、生物の進化を通して蓄積された本能の果たす役割に比べて、だんだん小さくなっていく。しかし、下等生物の場合でさえも、生物の進化そのものを複雑適応系として記述することができる。」（「」内は引用）　前半部は、裏返しに言い換えれば、「高等生物になるにつれて、本能より学習の果たす役割が大きくなっていく。」と言う事で、他にも同様の説があり広く認められている事だ。私個人的には、日頃の考えの裏打ちともなった。　難解でボリュームもある本は、その全てを読破・理解しようとは思わないで、理解できない・興味のない個所はどんどん飛ばして、気に留まる所をじっくり読み進めるのも、一つの方法だろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2006.03.14

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  『細胞融合と生命科学』：私的ミニ書評

  　新型インフルエンザや新型肺炎（サーズ）の病原体であるウィルスは、無生物と生物の中間的存在とも言われる不思議な存在だ。様々な病気の原因として恐れられているが、最先端医療やバイオテクノロジーの分野では、極めて重要な役割を果たしている事は、あまり知られていない。　そのウィルスの活躍の一端を教えてくれるのが、「細胞融合と生命科学」（岡田善雄：大阪府／2001）と言う本だ。　この本の別の意味で面白いところは、発行が大阪府という自治体なのだ。私は不勉強で知らなかったが、この本は福沢諭吉などを輩出した適塾に習って、大阪府が始めた「なにわ塾」の対話録をまとめた「なにわ塾叢書」の中の一書だったのだ。　内容は、少し難しいかも知れないが、細胞融合、遺伝子組み換え、クローン技術など生命科学の世界を垣間見るうえで、ざっと目を通すだけでも損にはならないと思っている。　また、科学者の暴走を止めるには、私をはじめとした「一般大衆」がこういった最先端科学の概要を知っておく事は大切な事だろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2006.02.06

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  『イラスト「超ひも」理論』：私的ミニ書評

  　「超ひも」理論、結ぶ紐の理論でも、もちろん変な意味の「ひも」の理論でもない、理論物理学の最先端理論の一つだ。このまだ耳慣れない理論を視覚的にもわかりやすく教えてくれる入門書が「イラスト「超ひも」理論」（白石拓／工藤六助：宝島社／2002）と言う本だ。　究極の素粒子として「クォーク」を知っている人は少なくはないと思うが、その「クォーク」が極微細な「ひも」で出来ているという考え方が、「『超ひも』理論」なのだ。この理論、私を含めた多くの凡人には理解しづらい理論なのだが、世の中にはこうした理論があり、こうした考え方をする人がいることを知る上では、掲載のイラストを見るだけでも価値があるだろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2006.01.30

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  『人間について』：私的ミニ書評

  　今、図書館から借りてきて読んでいる本がある。それは、「人間について」（日高敏隆／篠田節子：扶桑社／2004）と言う書だ。私達人間は、自分が何であるかを考えてみる事がある。私は、そこが一つの「人間らしさ」だとは思うが、そんな動機からこの書を読んでみる事とした。　この書は、著者二人の往復書簡形式のエッセイ集だが、全体として納得できる所もそうでない所もあるが、「人間」のとらえ方の一つ（二つ）として、一読されても良いだろう。その中で、最初に目に止まった所を紹介しよう。　篠田氏の「遠い世界になぜ憧れるのだろう」の投げかけに、日高氏が応えた「新しいものを学ぶことが生きる喜び」との表題が付せられた個所だ。それは、ご自身と仔猫の例を挙げながら結びとして、「・・・新しいものに憧れるのはきっと新しいものを学ぶためなのだ。それは生きていくためのものであって、美学ではない。・・・もともとは生きるための欲求だった・・・」（「」内は引用、・・・部は私自身による省略部分）とある個所だ。　この指摘は、私が常々「遊び」と「学習」に抱いていた考えを裏打ちしてくれるひとつの考えで、「新しいものへの憧れ」言い換えれば「未知への憧れ」が、「遊び」やそのルーツとしての「学習」の原動力である事を物語っていると思う。　なお、「遊び」と「学習」の関係については、遊邑舎サイトの『「遊び学」風私論』を参照されたい。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2006.01.26

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• なぜ『さおだけ屋は・・・』は売れるのか？

  　巷で、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか？」と言う書が売れまくっているそうだ。そのあたりの理由を私なりの想像を書いていく事とする。　この書が売れる最大の理由は、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか？」と言うそのタイトルにあると思われる。私も、この書が出版されて直ぐに図書館で借りたのも、そのタイトルに惹かれての事だ。　ただ、ざっと目を通し始めたが、すぐに面白味を感じなくなり読破はしていない。よって、この本の内容については、ほとんど覚えていないので、これから展開する私論は、その点を考慮されておつき合いをお願いする。　さて、そのタイトルはなぜ魅力的なのだろうか。そうなる背景として、この本にも書いていたと思うが、「さおだけ」少なくとも字義通りの竹製の物干し竿の使用頻度が極めて少なくなったという事情がある。　そうした事情が世に知れ渡っている状況下で、今なお時折「さおだけ屋」さんが街を回って営業をしている現実と、その回ってくる頻度が極めて少ないにも関わらず、タイトルのように「潰れないのか？」が不思議と思われる事とが揃って多くの人に思い当たるフシがあるからだ。　次に、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか？」の論点や論法が、タイトルに惹かれて読んだ多くの人に「なるほど」「そうなのか」と思わせるだけの水準に達していたからだろう。さらに、タイトルの身近さと本の内容との間のある種のギャップが、その事を増幅させている。　以上が私の勝手な推測だが、前に触れたように私は途中で投げ出したのだが、それは「さおだけ屋はなぜ潰れないのか？」の会計学的論点が、この本の中、少なくとも「さおだけ屋」の例の中だけでは論理的に矛盾は無いし、おそらく会計学的な見方は間違いがないと思われるが、現実の世界では「さおだけ屋」は潰れない事は、そんなには多くはないと単純に感じたからだ。　もちろん、この感想は私だけのごく私的なもので、この本の一般的な価値を述べているものではないし、会計学に興味をもたせるには十分な本である事は間違いがないだろう。ただ、この本の論点も数多ある論点の一つに過ぎない事も忘れてはいけない事だと思っている。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2006.01.20

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  『あっ！ハチがいる！』：私的ミニ書評

  　私達の身近な昆虫ひとつの蜂（ハチ）について、わかりやすく紹介してくれる一書が、「あっ！ハチがいる！」（千葉県立中央博物館：晶文社／2004）と言う本だ。とかくハチは身近であるが故、嫌われ者の代表として扱われがちだが、本書の「まえがき」にあるように「ハチに対する多くの誤解」（「」内引用）を解くのにお勧めの書だ。　さらに、「まえがき」からの引用を続けると、「第二の目的は、ハチを通して、自然界は相互に依存する複雑な存在でつながっていることを知ってもらうことです。」（「」内引用）とあるように、主に花の受粉などに深く関与し、ハチ無しには世界は存在し得ないとでも言える事を教えてくれる。　この書を読めば、きっとハチとの新しい出会いが訪れると思っている。そして、多く方が「ハチ好き」になってくれる事を、私も著者同様に願うものだ。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2005.07.19

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  東大寺を訪れる前に：私的ミニ書評

  　大仏様で有名な奈良の東大寺、これまでに何回か訪れた事があるが、東大寺に関する知識はその回数に見合っていない。観光中心だから、上辺だけを見ていたのであるが、それにしても知らない事が多すぎる。　その事をあらためて認識させてくれた書が、「東大寺」（田中昭三：ＪＴＢ／2003）と言う本だ。　ＪＴＢが発行している本なので、観光ガイド本と思って読み進めたのだが、決して単なるガイド本では無く、わかりやすい東大寺の解説本と言った感じだ。　じっくり読んでみた後の東大寺への訪れは、きっと違った感慨をもたらしてくれるだろう。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2005.06.28

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  ガラパゴスとマダガスカル：私的ミニ書評

  　ガラパゴスとマダガスカル、この二つの性格の違った島の名前に、どこかしら惹かれる方も多いだろう。生物学や進化論をかじった方なら尚更だろう。　この二つの島に棲息する動物たちの事を紹介してくれるのが、「千石先生の動物ウォッチング」（千石正一：岩波書店／2003）と言う本だ。　テレビ番組「どうぶつ奇想天外！」でお馴染みの千石先生による書で、とりわけ岩波ジュニア新書として刊行されているので、内容はわかりやすい。　また、単なる動物紹介の書ではなく、随所に千石先生の動物や自然に対する熱い思いがちりばめられている。その中から結びの言葉の一節を紹介しておく。　「世界で最も稀なカメのひとつとなったヘサキリクガメをはじめ、そういうカメたちが、近年にペットトレードのために絶滅に拍車がかかっている。日本はそういう生きたリクガメの輸入量が世界一なのだ。『カメちゃん、かわいい！』と自らの欲望を満足させている裏では、『リクガメを滅ぼすのは日本』とささやかれはじめている。われわれにも恥ずべき事態である。」（「」内は引用）エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2005.06.17

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  日本最古の文字？：私的ミニ書評

  　いつものように、近くの図書館で見つけた本について書いていく。その本は、「ペトログラフ・ハンドブック」（吉田信啓：中央アート出版社／1999）と言う本だ。　表紙に書かれているコピーを紹介すると、「石に刻まれた日本最古の文字との神秘的な出会い！」（「」内は引用）とある。日本ペトログラフ協会が認定する、「日本の古代文字」が刻まれた代表的な岩石と、その岩石の発見のための手立てなどが紹介されている。　ただ、残念ながら考古学会や歴史学会などとは関係がかなり薄いようで、極めて少数意見として認知されているに過ぎないと思われる。　素人の私から見ても、日本最古と断定する科学的な根拠が、残念ながら本書を一読しても見いだし得なかった。もちろん、私の未熟な力量が為せる事かも知れないが、そうした論点が不十分な事は否めない。　しかし、こうした少数意見が後の世に、見直される事も良くある事で、「古代文字」と言われるものが刻まれている岩石が、どの様な物かを知る上では、手頃な書ではある。エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイ

  2005.06.14

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