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カテゴリ:アニメ・マンガ・ラノベの感想など
スペースオペラの一種と言ってもいいかもしれません。 神話チックなSF、あるいはSFを舞台にした神話。 宇宙での種族間の争いを背景に、『黄金の種族』と呼ばれる存在の足取りを追い掛けることが最終的な目的となってゆく物語です。 しのごの言うより、ディアネイラ王女様を崇める物語・・・と極言してもいいかも。 宇宙空間で星を探し出したりする感覚系の超能力に秀で、政治的立場もそれに見合うカリスマも持ち、決断力や判断力にも優れているという最強ヒロイン。 物語に登場するほとんどの人物がディアネイラを尊敬するか崇拝しているという、冷静に考えてみれば政治的指導者というよりはカルト的な教祖のようにさえ見えてしまうほど、とにかく皆がディアネイラを好き。 壮大でかつシンプルにまとめてある物語の筋がどうこうとか、一昔前のデザインをそこはかとなく感じるSFとしての設定(ワープ航行のアレンジとか久しぶりに見た気が)とか、宇宙での艦隊決戦に感じるミリタリーテイストだとか、なにをどう言おうがディアネイラの引き立て役に見えるのも事実。 本当は「これから起こることの全てを知っている」無敵のヒーロー役であるエイジが主役なのでしょうが、こちらはまたこちらで、あまりに無敵すぎて逆に存在が軽く見えてしまいます。 人類の文化に触れずに一人で暮らしていたということから、常識外れの言動でコミカルな部分も見せるため、良くも悪くも重量感が無いんですよね。 『救世主』と呼ばれるのにふさわしく、ディアネイラに助けてもらわなければ回復不可能なまでの状態に陥る悲劇を覚悟し受け入れていたり、表面的な部分を一枚取り除けばなかなか凄みのあるキャラではあるのですが、あえて軽く見せるような演出なのでしょう。 ディアネイラの二人の兄が担当している“お笑い馬鹿コンビ”とは全く違う意味での、軽さがエイジにはあります。 おそらく、ディアネイラを好きになれない人は途中でバカバカしくなるか、むなしくなって見るのをやめるでしょう。 基本的にはシンプルに英雄やお姫様の大活躍を見たいという、神話的なストーリー展開を前提に見なければ楽しむことができないはずです。 裏を返せば、そこさえ好みならば間違いなく楽しめる作品。 あんまり理詰めで考えるよりも、素直に感じるままに楽しむべき・・・というか。 宇宙を長距離航海するダイナミックさみたいなものも味わえますし、SFと言っても一つの惑星や太陽系の範囲で収まるものと違い、大味な楽しみ方ができます。 『英雄の種族』同士の戦いはSFというよりも特撮系の怪獣同士の戦いみたいで、ちょっと大味が過ぎるか・・・と思わないでもありませんが、星を壊す戦いというスケール感自体は悪くないですよ。 私がお気に入りだったキャラはモビード艦長ですが、ディアネイラやエイジの桁外れのスケールに隠れているものの、脇を固めているキャラ達も全て有能な人物が多いです。 なんでそんなに胸を強調する必要があるのか意味不明なニルバール司令官とか、名前は出ていなかったと思いますがその副官とか、地味でも優等生的なキャラが多いことも、この物語の特徴かもしれません。 無能さは“おバカ兄コンビ”の二人に全て集められていた感じ。 敵対している『銀の種族』の主要人物たちや『英雄の種族』たちも含めて、会話が成立するキャラは全てが理性的で知的な行動をとります。 そんな中で感情に揺さぶられることや『黄金の種族』に対して執着する心が終盤でのトラブルにつながってゆくのですが、決着がついてしまえば大団円なわけですし。 神話というのは、もちろん種類にもよりますが、時に残酷で暴力的だったりします。 しかし、この作品においてはそういうことが無く、非常に綺麗で優しくまとめられています。 終盤、人類側の艦隊が次々に消滅していったかのように見えた件でも、結局はみんな無事でしたしね。 何事につけても優等生的にすぎて、あるいは綺麗事でまとめすぎていて物足りない、嘘くさいという感じ方もあるでしょうが、そこは神話ならではの人間臭さを抜いた物語だと考えるべきだと思います。 人間に見えても人間の物語じゃない、人間的な汗臭さや泥臭さなんかは感じません。(人間的なスケールでの個人的な悩みはディアネイラにもあるけど/エイジに対して) もちろん、これも種類によってはやたらと人間臭い神話もあるわけですが、この作品はそうではないですね。 肯定するか否定するかはともかく、それがこの作品の特徴。 で、個人的には、このアニメは好きです。 オリジナルアニメでこういうスケール感を持った作品というのは、そうそう作られるものではないと思うので、定番そうに見えても案外数は少ない貴重なものだと思います。 節目節目では盛り上げられる部分がうまく演出されていたと思いますし、全体的に展開の早すぎる作品ではないのですが、緩急のバランスとしても悪くない感じでした。 地球奪還後、『鉄の種族』への侵攻に移る話の流れとか、ちょっと淡々としすぎていていまいち共感ができなかった部分もありましたが、全26話ならそういう個所の一つや二つがあるのも当然でしょうし。 ジェットコースター的な急転直下やどんでん返しの繰り返しで疲れさせられるよりは、これぐらいのほうが好みです。 ストーリー展開と一致した音楽や歌での盛り上げもよかった。 いかにもSF的な数々の小さな効果音などにも気に入ったものが多く、あぁSFを楽しんでいるなぁと思いながら見ることができました。 基本的に私もロボットアニメが好きなのですが、この作品ではロボット的な兵器はほとんど脇役で、時間稼ぎの防衛的戦術に多用されていたことも興味深かったです。 「主人公のロボットがいっちばーん!!」的な作品じゃないのも、たまにはいいものです。 早川文庫辺りのSFやファンタジーが好きで、俺が俺が的なアクの強い主人公のロボットアニメは苦手で、でもアニメ自体が嫌いなわけじゃない・・・。 そんな人にはお勧めのアニメですね。 オリジナル作品らしく、きちんとエンディングで完結している点でも見終えた後味がすっきりしていますし、最後まで楽しめた人なら程よい余韻も楽しめることでしょう。 ってか、ビーが主砲の発射トリガーに変形した時には、やられた!って思いましたけどね。(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 9, 2010 09:52:24 PM
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