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カテゴリ:本
荻原浩の「母恋旅鳥」を読みました。はじめて荻原浩の本を読み、一気に好きに 読んでいくうちに出てくる登場人物1人1人に感情移入してしまい、あっという間に読み終えてしまった。ユーモアがたくさん出てくるけれど、何より魅力的なのは家族の不器用な愛情表現というか…不器用なのにひたむきで楽しくて温かい…そんな姿に惹かれていった。 父の生き方に反感をもつ子供たち。父と母の関係もうまくいっていない。仲は悪いがそれでもそれぞれに愛がある…そんな家族が1章ごとに語り手になって話が展開していく。 誰からみても分かりやすい家族愛の物語ではない。お涙ちょうだいの感動物語でもない。しかし、人間くささがあるのだ。自分に正直に突き進んでいく姿。突拍子もない行動にさえ好感がもてる。 「借金で家計は火の車」「弟の知的障害」「姉の10代の妊娠と夫との死別」「母の家出」… 切ない要因はたくさん描かれているのに、現代の社会だと大問題でもしかしたら殺人を犯してしまうような要因だってあるのに、作者は切ないだけでは終わらせていないところがいい。 そして、ラストも余韻を残している。めでたしめでたしではなく、はっきり分かるようなハッピーエンドでもない。この続きはどうなるんだろうと色々想像をかきたてられる。1人1人に感情移入している分、どんどん想像できるから楽しいそんな1冊でした。
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Last updated
Jan 15, 2007 09:55:22 PM
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