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カテゴリ:原子力
こんばんは。
柏崎刈羽7号のオフガスモニタでごく微量の放射性物質が検出されたわけでありますが・・・まぁ、何と申しますか・・・とりあげるのもばかばかしい、非常に軽微な不適合であります。(笑) 燃料棒が破損したと言ふなら別ですが、ピンホールは珍しくも何ともない事象。こんなものを大きなトラブルのやうに取り扱う毎日新聞にはあきれて物も言えません。 さて、原子力発電所の燃料棒は二酸化ウランの焼結体を金属の細いパイプ(被覆管)の中に詰めて作られるわけですが、製造の過程でこのパイプに極微小な欠陥が発生することがあります。 原子炉の運転に伴い、この微小欠陥から核分裂によって生じた放射性ガスが漏れ出すことがあるわけですが、これを検知するために発電所には超高感度の検出器(オフガスモニタ)が設置されています。 「燃料から放射性物質が漏れた」ことばかりが過大に報道されていますが、実は燃料の状況を早めに検知するため、オフガスモニタには非常に(必要以上に)高感度のセンサーが使われています。 そして、東電のプレスリリース文を見ての通り、バックグラウンドより少しカウント数が増えたに過ぎません。(大騒ぎしている人は「cps」とか全然理解していないのでせうね・・・) 元々、この程度の軽微な燃料漏洩は想定の範囲内。気体放射性ガス処理系で適切に処理することが可能であり、外部への影響はありません。 ピンホールの対策ですが、通常運転中に発生した場合、まずは制御棒を出し入れすることで、漏洩の可能性のある燃料集合体を調査します。(制御棒を挿入した時に漏洩量が減少すれば、その付近の燃料集合体から漏洩していることになります。) 次に、当該燃料集合体の周辺の制御棒を全挿入し、核反応を抑えます。放射性ヨウ素は反応により生じているわけですから、反応が収まれば漏洩量はゼロになります。 そして、このまま次の計画停止(定期検査)まで普通に原子炉を運転します。(ピンホール程度の欠陥は安全性に全く影響がないものなので、漏洩さえ抑えてしまえば原子炉を普通に運転することができるのです。) その後、計画停止の際に当該燃料集合体を炉心から取り出して燃料プールへ移動、水中ロボット等で燃料棒の表面の傷の有無を調査します。(多くの場合、ピンホールは小さ過ぎてロボットのカメラには映りません。) この燃料は他の使用済燃料と一緒にプールに保管されます。 ・・と、これが通常のやり方。 最近、我国の電力会社では「安全」ではなく「安心」のため、計画停止まで待たずに原子炉を止めて燃料の検査を行うことも多いやうですが、外部の目には「バカじゃないの?」と映っているやうです。実際、私も昔、「お前の会社はバカか?」と言われたことがあります。 また、海外のマスメディアはこの手の不適合を報道しないため、日本の発電所だけがいつも問題がある・・・と勘違いしている方もいるやうですが、実は違うのです。 海外の発電所でも同様に燃料漏洩は発生しています。そして、計画外停止、自動スクラムの回数も日本の比ではありません。ただ、海外のメディアはこんな軽微な事まで報道しないだけなのであります。 本日、某原子力関連機関の知人から「日本の原子力発電所は何故こんなに故障が少ないのだ?!」と某国際機関からの問い合わせがあったとの電話がありました。 我国の原子力発電技術、国外では高く評価されているのに、何故国内では正当な評価を受けていないのだらう。 参考・・・になるかな? 原子力発電所の不具合情報の読み方 -冷静な判断のために- 個人的には「不具合」ではなく「不適合」と言ふ言葉を使って欲しかったかな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年07月25日 02時21分12秒
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