13661280 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

縄文人☆たがめ☆の格安、弾丸?海外旅行

縄文人☆たがめ☆の格安、弾丸?海外旅行

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Free Space



トリップアドバイザー
ボラカイ島観光ホテル口コミ

☆トリップアドバイザー
おすすめブロガーに認定されました

別館2
☆たがめ・別館

★おともだちブログ

lamm.jpg
トラノコラム

Calendar

Category

カテゴリ未分類

(0)

2018年の旅行記

(1)

2017年の旅行記 ニューカレドニア(2月) クラビ(9月)

(13)

ボホール島旅行記 2016

(13)

フーコック島旅行記 2016

(27)

ヤップ旅行記 2015

(20)

アプリット旅行記 2015

(28)

セブ旅行記 2014

(20)

ロタ旅行記 2014

(19)

パラオ旅行記 2013

(34)

ボラカイ旅行記 2013

(32)

テニアン旅行記 2012

(53)

サイパン旅行記 2012

(60)

エルニド旅行記 2011

(79)

パラオ旅行記 2011

(57)

モルディブ旅行記 2010

(22)

グアム旅行記 2010

(19)

パラオ旅行記 2009

(32)

★アニメ・本・映画

(1315)

二十四節気・雑節

(94)

1月 今日の誕生花と花言葉

(32)

2月 今日の誕生花と花言葉

(30)

3月 今日の誕生花と花言葉

(34)

4月 今日の誕生花と花言葉

(32)

5月 今日の誕生花と花言葉

(32)

6月 今日の誕生花と花言葉

(31)

7月 今日の誕生花と花言葉

(32)

8月 今日の誕生花と花言葉

(32)

9月 今日の誕生花と花言葉

(31)

10月 今日の誕生花と花言葉

(32)

11月 今日の誕生花と花言葉

(31)

12月 今日の誕生花と花言葉

(32)

ごあいさつ

(103)

海外の話

(90)

イルミネーション 

(95)

ちょっとお出かけ

(545)

神代植物公園

(53)

昭和記念公園

(134)

日々の暮らし

(1028)

お天気の話

(65)

放射線量関連

(11)

我が家の花・お山の花

(267)

食べ物

(196)

桜花(さくらばな)

(164)

パソコンのトラブル

(13)

ダイエット

(76)

競馬

(55)

(^_^)/顔文字・タグ

(4)

メオンとたまご旅

(5)

100均で買ったもの

(8)

Recent Posts

Favorite Blog

昨日は誕生日 New! 星影の魔術師さん

2024 株主総会 バン… mkd5569さん

今日のアジサイその2 GKenさん

【 里親募集は終了し… SpangleBlue510さん

負けず嫌いシニアソ… しん♪5893さん
自由… ikurin917さん
萩の調(しらべ) 萩の調さん
トキワポレポレ日記 トキワのしげさん
薄口スイングトレー… marverick777さん
たくたくコラム Blo… TakuTaku.comさん

Keyword Search

▼キーワード検索

2012.04.08
XML
カテゴリ:桜花(さくらばな)
【桜花(さくらばな)】

午前四時三十分、窓際に置いたシンデレラの絵が描いてある目覚まし時計は、目を覚ますといつもこの時間だ。微かに彼らの足音が聞こえてくる。ベッドを降りて窓を開けると、それははっきりと聞こえてくる。サラブレッド達が、大地を踏み締めながら走る音が。

お馬さんの公園の前のこの病院に初めて来たのはいつだったか、私は覚えていない。
でも、この頃は、パパの居るお家より、たくさんここに居ることは確かだ。「桜は体が弱いから、お金がかかって大変だ」と、昨日、お母さんが、親戚の叔母ちゃんに言っていた。私のせいで、苦労かけているのかな。どうすれば丈夫になれるのかな。誰に聞けばいいのかな。
私、桜っていう名前、嫌いだ。お向かいのお兄ちゃんは、「日本一きれいな花の名前だから、日本一いい名前だよ」って言ってくれたけど、私、桜の花、一度も見たことないもん。お兄ちゃんは、「そばで、満開の桜の花を見たら、きっと桜ちゃんも、大好きになるよ」って言っていた。私が生まれた日に、ちょうど、桜が咲き始めたから付けたってお母さんは言ってたけど、昨年も、その前の年も、四月三日のお誕生日はここに居たし、昨年なんか、咳も熱もひどくって、サンソっていうテントの中に居たから、窓を開けてお馬さんを見ることもできなかったもの。
お兄ちゃんは、いつも、いろいろな事を教えてくれる。お馬さんの公園は、本当はケイバジョウっていうんだって。大人が夢を買いに来るところなんだって。夏にたくさんのお馬さんが集まって走る時は、お祭りみたいなものなんだって。お祭りだったら、きっと夢もたくさん売っているんだろうな。そこに行けば、私の夢も買えるかもしれない。もしかしたら、そこらへんに落ちているかもしれない。早く元気になってパパのところへ帰りたいという、私の夢が叶うかもしれない。

一月二日
今年のお正月もまたこの病院で迎えてしまった。昨日は、特別メニューとかいっておしるこが出た。薄いあんこの汁の中に入ったお餅は、おはしでいくら探しても一つしかなかった。そういえば、クリスマスの時も特別メニューだったっけ。チョコレートの三角のケーキが出て、すごく嬉しかったけど、あとで吐いちゃった。おかげで次の日から三日もおかゆになっちゃった。ついてないな。
午後三時四十分になると、お母さんが、来る。四時の夕ごはんには、いつも居てくれる。チンチン電車の道の向こうから、お母さんは歩いて来る。もうひとつ向こうの国道を、左に曲がったバス停のところが、パパのいるお家だから、結構近いらしい。でも私は帰れない。お母さんはいつも色紙を買って来てくれるし、ここのごはんにはない、おいしいものも持って来てくれる。でも私はパパのほうが好きだ。何でってわからないけど、私はパパが大好き。パパは消毒の臭いが嫌いだからと言って、病院には来ない。一度も来てくれたことがない。本当は、昨日ちょっぴり期待していたんだ。お正月だから、「新年おめでとう」って来てくれるんじゃないかって。でも、お母さんだけだった。もしかしたら、パパは、病院が嫌いなんじゃなくて、病気の私が嫌いなんじゃないかな。どうしよう、パパに嫌われたら困る。元気になってお家に帰って、大きくなったら、パパのお嫁さんになるんだから。

二月二日
昨日の夜から、雪が降っていた。朝起きると、辺りは、真っ白だった。私が一番好きな白い馬も、キラキラと輝く雪の中を、元気に走っていた。お兄ちゃんが言ってた。お馬さん達は、サラブレッドっていうんだって。駆けっこの速いお父さんとお母さんから生まれた、みんなおりこうで、元気な子ばかりなんだって。私はサラブレッドにはなれないな。走れないもん。この間、雪が降った日に、こっそり屋上に行って走ったら、夜、咳がいっぱい出ちゃったし。でも、そういえばお兄ちゃん言ってたな。白い馬は、少ないし、茶色いのに比べて、走るのもあんまり速くなかったり、体が弱かったりするって。本当かな。お兄ちゃんは、いろいろ教えてくれるけれど、これは信じられない。それと、白い馬って、生まれた時は白くないんだって。アシゲっていって、だんだん白くなるんだって。生まれた時から白いのも、シロゲっていっているらしいけど、これはとても少なくて、さすがのお兄ちゃんも、まだ見た事ないって。

お兄ちゃんは、お向かいの大きな部屋に居て、時々、遊びに来てくれます。お兄ちゃんの部屋は、四人部屋だけど、私は、一人なので、誰か来てくれないと、寂しいです。お兄ちゃんは、名前はワタルというそうです。「横断歩道を渡る。の渡? 」って聞くと、「航空の航」と書いて教えてくれました。お兄ちゃんのお父さんは飛行機が好きで、そう付けたそうです。お兄ちゃんはお腹を切って入院していますが、お仕事は電車の車掌さんです。病院の前を走っているチンチン電車じゃなくて、飯坂とかいう電車だそうです。「パイロットと電車の車掌さんじゃ、同じ乗り物でも大違いだね」って笑っていました。私は、男の兄弟がいないので、本当のお兄ちゃんのように思えます。
お兄ちゃんの他にも、私の部屋には、いろいろな人が来ます。本当は、この下の階が小児科で、子供がたくさん居るのですが、ベッドがいっぱいで、私は、ひとつ上の階になりました。石田のおじさんは、自転車屋さんです。牛乳が嫌いで、牛乳が出ると私に助けを求めてきます。それに、私の部屋からは、お馬さんがよく見えるから、好きだそうです。昨日、おじさんに、五目並べを教えてもらいました。とても、おもしろいです。お礼に、折り紙で、くす玉を作ってあげました。来週には、お家に帰れるそうです。

三月二日
まだ、パパの居るお家には、帰れそうもありません。この間の日曜日に、熱が出てしまいました。「お外に勝手に出たからですよ」と、先生に叱られました。だって、私は見つけたんです。落ちている夢の切符を。

日曜日は、お馬さんの公園に、いっぱい人が集まって来る日です。土曜日もそうですが日曜日ほどではありません。この間の日曜日は、風が強かったみたいで、いろいろな物が風に舞っていました。入口のところを見ていたら、小さい紙が、何枚もひらひらと、落ちていました。注射のお姉さんに聞いたら、あそこで売ってる、バケンっていうものだそうです。きっとあれが、お兄ちゃんが言っていた、夢の切符に違いありません。あれを手に入れれば、私の夢が叶うのです。
   根岸森林公園31
三月十六日
この間は、失敗したけれど、今度は、絶対あの切符を見つけに行くんだ。早くしないと、私の五回目のお誕生日が来ちゃう。お友だちはみんな、幼稚園の年少さんとかに行くんだから。
今日は中学校の卒業式だそうです。窓から見える第二中学校にも、着物を着たお母さん達が入って行くのが見えました。
そう、この間、いとこの弥生ちゃんが、お見舞いに来てくれました。弥生ちゃんは私より、五センチ位、背が高いです。弥生ちゃんが、私のこと、うらやましいって言っていました。弥生ちゃんのパパに聞いたらしいんだけど、小学校に入ったら、出席番号っていって、生まれた順番に一番、二番なんだって。「四月二日生まれの人が、一番だから、桜ちゃんは、きっと一番だよ」って。弥生ちゃんは、三月生まれだし、背も高いから、どちらにしても後ろの方なんだって。どうして、四月二日生まれの人が一番なのか、わからないけど、小学校に入ったら、教えてもらえると思います。

昨日、航お兄ちゃんが、退院しました。帰る前に私の部屋によって、また、馬の話をしてくれました。東京の方には、神様の馬がいるそうです。私は、一度だけ、東京の叔母さんの家に行ったことがあります。その時、モノレールとか、動物園は見たけど、競馬場は見ませんでした。神様の馬は、日本一強くて、名前は、シンザンというそうです。私は同じ年の四月二日生まれだそうです。「桜ちゃんと同い年だね。桜ちゃんも、シンザンみたいに、強くなるんだよ」お兄ちゃんは言っていました。
へえー。四月二日生まれだったら、私の前の日が、誕生日だね。出席番号、一番だね。だから、一番強いのかな。私と同い年で、大人に神様って呼ばれるなんて、尊敬します。私もシンザンみたいに、強くなりたいです。

四月二日
先週、夢の切符を探しに行こうと思ったら、土曜日に、雪が降りました。スリッパだと滑るし、落ちている切符は、濡れてしまっているだろうし、あきらめました。お金をだせば、新しい切符が買えるみたいだけど、おこづかい無くなっちゃったし。それに、子供は買えないって、お兄ちゃん言っていたっけ。
お向かいの部屋にお見舞いに来たおじちゃんが、夢の切符を持っていました。初めてそばで見ました。桜色で、プツプツと穴があいていて、とてもきれしでした。トッケンって言って、高いそうです。あの中に、たくさんの夢が入っているんだろうな。うらやましいな。「それ、ちょうだい」と言いかけてやめました。ダメです。あれはおじちゃんの夢です。人の物を取ってはいけません。夢は自分で手に入れるものなのです。今日は神様の馬の誕生日です。今日こそは・・・。


競馬場に子供がいるのは、別に変った光景ではありませんが、その少女は目立ちました。一人で、しかも、まだ風が冷たいこの季節に、パジャマ姿で。病院を抜け出して来たのでしょうか。辺りを気にしながら、南側の門のところに来ると、人が捨てて行った、ハズレ馬券を拾いだしました。一枚、二枚、三枚、警備員が声をかけようとすると、少女は駈け出して、裏口から、病院の中へと消えて行きました。

息を切らせて、でも、こっそりと、病室へ戻った少女は、握りしめていた馬券を、ベッドの上に出しました。夢の切符を手に入れたんです。それも、三枚も。これで、夢が叶う。一枚は、明日の自分のお誕生日のプレゼント。もう一枚は、パパのお土産にしよう。少女は、一枚を枕の下にしまいました。そして一枚を、おばあちゃんに買ってもらったトッポジージョのおさいふの中に小さくたたんでいれました。
もう一枚の切符は、破けていました。それに、泥だらけです。少女は、ていねいに小さくちぎると、窓を開けました。
「さくら~さくら~」小さな声で、でも、はっきりと、少女は歌い出しました。それは、保育園に行ったお友だちが、教えてくれた歌でした。歌いながら手を広げると、小さくなった、夢の切符は、ひらひらと、空を舞いました。春まだ浅く、桜の蕾もまだかたい四月の空に、桜色の夢は、桜の花びらのように空を舞いました。少女は、ほほえみながら、いつまでも、それをながめていました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.04.09 09:21:14
[桜花(さくらばな)] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.