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2013kuronekoのミュンヘン日記

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2013.02.09
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カテゴリ:ドイツ語
欧州評議会は複言語複文化主義というポリシーを打ち立て、ヨーロッパの新しい時代を作ろうとしている。

世界の中でも、ヨーロッパは常に血まみれの戦争を繰り返してきた地域だ。たとえばイギリスの例でみれば、イギリスはフランスに占領されて政治の公用語がフランス語になったこともあるし(The Norman Conquest of 1066)、その結果、英語の中には高等語といわれるような概念を表す多くのフランス語が流入した。

ドイツとフランスも長い間難しい状態を経験してきた。第一次大戦、第二次大戦も結局はこの2大国どうしの争いが端を発している。

このように陸続きの国が多いヨーロッパにおいて、「平和」を保ち続けるのは実はなかなか難しい話だ。いかに「平和の尊さ」を訴えたとしても、お互いに疑心暗鬼の状態では結局は、「撃たれる前に撃つ」という世界に落ちこんでしまう。

また、冷戦時代には「核の均衡」という理論が平然と語られていたが、これは「アメリカとソ連がお互いに核を持つことによって成り立つ恐怖の平和」という理論だった。私もこの理論を叩き込まれたし、どうにもうさん臭いと思いつつも、パックスアメリカーナ理論に基づく平和を信じるしかなかった。(意味不明の人は自分で調べてみてください・・・血なまぐさい話です)

ところが冷戦が終わった21世紀において、欧州評議会が平和を構築する新しい道を提示してきた。それが先ほど示した「複言語複文化主義」である。

非常に斬新な手法であるが、複言語主義とは、簡単にいえば「すべてのヨーロッパ市民は母語に加えて最低二つの言語を習得する」という方針だ。この際、他言語を習得しようとするプロセスの中で他文化に対する排他感情も低減されると考えられているのがポイントだ。

考えてみれば当然だ。知らない文化や外国人が怖いのは、その言語、文化を理解できないからだ。怖いから排他しようとするし、最悪、争いになってしまう。

ということで、外国語の習得を促す中で、CEFR(欧州言語共通参照枠)という枠組みが作られたし(A1からC2までの枠組みで、ヨーロッパではよく知られている)、これによって学習者は外国語を習う上での自分のレベルを共通に参照できるようになった。

また、EUは若い人が外国暮らしを経験できるようなプログラムを多数用意し、実際に欧州内での人々の交流を促そうとしている。

複言語複文化主義に基づく平和・・・すなわち、人々がお互いの言語を習いあい、交流する中で他文化に対する排他意識を低減し、新しい価値観を身につけ、そして「どうにかうまくやっていこう」という平和である。

私はこの方針には非常に感銘を受けているし、自分自身、外国語を教える立場に着けたときには、そういう立ち位置にいたいと思っている。

知らない文化、不思議な顔立ち、外国の宗教、理解できない言語は誰にとっても怖い。でもだからと言って仲間内だけで固まって、他文化を排他し続けることが許される時代ではないと思う。外国の文化と折衝していくのは大変だし、時にはリスクさえ伴う。はっきり言って外国人の悪口を言うほうが余程簡単だし、仲間外れを作りたいというのはもともとの人間の本性である。


さて、誰だって「戦争はもう結構」と思っているに違いない。だが、「戦争は悪い」と訴えるだけで戦争のない世界を獲得できるのか?

答えはNoである。第一次世界大戦後、国際連盟が破たんしたことは歴史に明らかだ。戦争はもうごめんだと言いつつ繰り返してきたのが人間である。

外国語を学び、外国の文化に触れる中で新しい価値観を学び、新しい友達を作り、そして新しい時代を創っていく・・・こっちのほうが、今度こそ効果がありそうな気がするのは私だけだろうか?

きれいごとかもしれないが、外国語教育の背景にはそのような価値観があると信じている。(続く・・・)





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最終更新日  2013.02.09 17:10:31
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