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テーマ:今が旬の話(414)
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(略)むろん、わたしは、無知で、事情に通じていません。とにかく、事実は、あくまで事実であって、わたしには悲しいかぎりです。けれども、無知な人間のほうがかえって思いきったことができるという利点もあります。だから、わたしは、自分の無知とかそれから生じる確かに困った結果を、自分の力の及ぶかぎり、ここしばらくの間喜んで耐えてみようとおもうのです。あなたの哀願の理由が分からないのも、主としてそのためです。(略)それでは、あなたは、なにを怖れていらっしゃるのですか。まさかあなたはー、なにしろ、無知な人間は、どんなことでも可能だと思えるものですからね」-と、ここでKは、すでにドアをあけた。
「まさか、クラムのためを考えて怖れていらっしゃるのじゃないでしょうな」 カフカ『城』(新潮) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.17 02:52:06
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