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らすたますらおの丸腰天国

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らすたますらお

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2007.12.25
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テーマ:今が旬の話(414)
カテゴリ:カテゴリ未分類
「人々は、私たちが手紙の事件からなんとかしてぬけだす力を持っていないことに気づき、非常にだらしがないと思ったのです。よくは知らなかったにせよ、わたしたちの運命の困難さをあの人たちが低く考えていたわけではありません。自分たちだってこの事件をわたしたちよりも立派に乗りきる事はできなかっただろうということは、百も承知していました。しかし、それだけにいっそう、わたしたちときっぱり縁を切る事が必要だったのです。もしわたしたちがこの運命を首尾よく切り抜けていたら、それ相応にわたしたちを尊敬してくれたでしょうが、わたしたちが切り抜ける事ができなかったものですから、これまではただかりそめにやっていたことを、こんどは断乎としてやりはじめたのです。つまり、わたしたちをあらゆる集団からしめだしてしまったのです。こうなると、わたしたちの事を話す時でも、もはや人間並には扱ってくれません。わたしたちの姓も、呼んでもらえなくなりました。(略)
その後、人々がときおりまたやってくるようになった時、まるでつまらない事にまで軽蔑の色を示しました。たとえば、小さな石油ランプがあそこのテーブルの上にぶら下がっているということでさえ、そうなのでした。いったい、ランプをテーブルの上以外のどこに掛けたらよいというのでしょう。」

「これまでお話くださった事は、ここの村人たちの無思慮な小心さ、隣人の不幸を喜ぶ意地わるさ、あてにできない友情など、要するに、どこの土地ででもお目にかかれることにすぎません。もちろん、お父さんの方にも、いわば肝っ玉の小さすぎた面はありますがね。(略)その気になれば、この一件で団長を本当に困らせてやる手がひとつだけあったのです。つまり、お父さんは団長に二言めを言わせないで、いきなり辞令を足下に投げつけておやりになりさえすればよかったのです」
カフカ『城』(新潮)





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Last updated  2007.12.25 19:41:58



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