テーマ:フィギュアスケート(3612)
カテゴリ:20230113
ユヅの頼みなら無条件でイエス 震災追悼アイスショーも出演予定のジェイソン・ブラウンが“日本の大会”で復帰を決めた日《独占インタビュー》 2/9(木) 17:02配信 Number Web 全米選手権で約1年ぶりの復帰を果たし、2位となったジェイソン・ブラウン。日本でも人気の彼に、独占インタビューを行った photograph by Getty Images 2022年2月の北京オリンピック以降、競技活動を休止していたジェイソン・ブラウン(28歳)。今年1月の全米選手権ではほぼ1年ぶりとなる復帰を果たし、イリヤ・マリニンに次いで堂々2位に入賞した。3月の世界選手権の代表に選ばれたブラウンが、「アート・オン・アイス」の出演のために滞在中のスイスから、NumberWebの独占取材に応じた。 ◆◆◆ まず全米選手権で試合に復帰することを決意した理由、そしていつ頃から考えていたのかを聞いてみた。 「昨シーズンは北京オリンピックに集中してトレーニングをしていました。それだけでも十分なプレッシャーだったので、このオリンピックで競技は最後なんだというプレッシャーを自分に与えたくなかった。それで先のことは決めないまま、オリンピックに挑んだのです」 ジャパンオープンが復帰の決め手に ソチ以来8年ぶりに挑戦した北京では、複数の4回転を跳ぶ強豪たちを相手に6位入りを果たした。 「その後、少し休んでリセットする時間が必要だと感じました。ありがたいことに春から夏にかけてアメリカ、日本などで多くのアイスショーに出させてもらいました。夏のショーを終えた時点で、競技生活はもう十分だと感じるかなと思っていた。でもまだ自分の中にもっと滑りたいという気持ちが残っているのを感じたのです。10月のジャパンオープンの出場が決まった時、この大会に出てみて最終的な決断をしようと思いました。そして振付師のロヒーン・ワードと新しいフリープログラムを制作したのです」 新プログラムは、ラ・マンチャの男から「インポシブル・ドリーム」。北米チームは2位、個人としては6人中5位だった。 「ジャパンオープンはすごく楽しくて、自分の中にまだ試合に出たいという気持ちがあることを確信したのです。ただ以前のように、シーズン中、次々と試合をこなしていくのは年齢的にも厳しいと思いました。それで今シーズンは、アイスショーと試合を両立していくことができるのか、テストシーズンのつもりで挑みました」 1年ぶりの復帰「身体を痛めつけることは少し控えて…」 およそ1年ぶりで復帰した全米選手権に出場した時、どのような気持ちだったのか。 「試合に出ていなかったとはいえ、アイスショーはたくさんこなし、毎回全力を尽くして滑っていたので、全米選手権で観客の前に立った時は緊張せずにそれなりの自信がありました。アイスショーでは、自分ではコントロールできない色々なことが起きます。日に二度ショーをして身体が疲れている、リンクが狭い、スケートの刃が鈍っていた、衣装が破れたなど。それでも与えられた条件でベストを尽くします。そうした経験を経てきていたので、全米もそれほど力まずに自分にできるだけのことをやるぞ、と思って出ました」 SPでは完璧な演技を見せて、ISU非公認とはいえ100.25を獲得。3コンポーネンツは、限りなく満点に近い49.84だった。フリーでは2度の3アクセルを含む演技で、SP、フリーを通してほぼノーミスで滑り切った。 ブラウンといえば、抜きん出た音楽表現と鍛えられた踊りの能力、身体の柔軟性を駆使した密度の濃いプログラムで評価を受けてきた。その一方、過去4年間、大会でなかなか4回転を成功させることができずに苦しんできた。全米では挑まなかったが、今後また4回転に挑戦する気持ちはあるのだろうか。 「今年は自分の身体の健康を取り戻す年にしたんです。あまり公にしてこなかったけれど、過去4年間、体力の限界をプッシュし続けて、他のスケーターも同じだと思いますが、いくつか怪我もしてきました。今季は引き続き自分のできるベストを尽くすことはもちろんですが、身体を痛めつけることは少し控えて、足首や骨の強化などを重視して調整することに時間を費やしています。将来どうするかまだわからないけれど、競技を続けていくのなら完全な健康体を取り戻すことは最優先事項。だから今は4回転にはエネルギーを向けずに、身体をリセットしているんです」 マリニンとは10歳差「気がついたらベテランに」 ネイサン・チェンをはじめ、今季は彼が競ってきたトップの多くが抜けた。そんな中で若手たちと戦うのはどんな気分だったのだろうか。 「自分がベテランになったということが、未だに実感できないんですよね」と笑う。「試合に出ていると、次、さあ次、と先のことばかり考えるので過去を振り返る余裕はない。でもおっしゃる通り、国際的にみても僕がジュニアの頃から競ってきた選手のほとんどはもう競技に出ていません。気がつくといつの間にか、自分がベテランになっていました」 全米選手権で初優勝したイリヤ・マリニンは、ブラウンより10歳年下の18歳。3位のアンドリュー・トルガシェフは21歳だ。 「全米では若い新しい世代と戦って、もちろん自分のベストを尽くしたいと思ったのですが、何よりも彼らはチームメイトだという仲間意識を強く感じました。彼らが成し遂げたことは、素晴らしいと思う。僕は過去の経験を生かして、彼らが自分の能力を最大限に伸ばせるように相談にのったり、メンターのような役割も果たせたらと思っています」 ブラウンは今シーズン、イタリアのダニエル・グラスルに依頼されて彼のSPの振付を担当した。今後、自分の演技だけではなく若手のサポートにも手を貸していきたいのだという。
記事に関するtwitter 「ユヅの頼みなら、無条件でイエス」アイスショーにも出演 3月には、羽生結弦さんが宮城県で開催するアイスショー「ノッテステラータ」に出演する。 「僕はユヅの頼みなら、無条件でイエスと言う。彼にとってこの震災追悼のアイスショーがどれほどの意味を持っているのか理解しています。だから自分にできることなら、何でもやる。観客のみなさん、被害にあった市にとって、深い意味のあるイベントなので出演を頼まれたことは光栄でしたし、全力を尽くして滑るつもりでいます」 2018年の夏からトロントのクリケットクラブでトレイシー・ウィルソンとブライアン・オーサーコーチに師事しているブラウンは、羽生さんのトレーニングメイトでもあった。 「彼を試合で見ていると、とても安定していてやること全てがごく自然に見えるんです。でもトレーニングをしているところを見て、ああ、あの演技にはこれほどの練習の裏付けがあったのかと衝撃的でした。彼はいつも強い明確な目的意識を持って、普通のスケーターなら調子が悪いから休もうと考えるような時でも、再び氷の上に戻って来る。彼の強い意志と情熱には、とてもインスピレーションを与えてもらいました」 親日家・ブラウンが描く“今後の可能性”は… 現在はトロントでトレーニングをする傍ら、実家のあるシカゴで練習をしたり、ツアーで外に出たりしていることも多い。「ノッテステラータ」に出演した後は、世界選手権まで日本に滞在して調整をするのだという。親日家で、日本語も勉強しているブラウンは、日本での長期滞在を心待ちにしている。4月には国別対抗戦も開催されるが、まだ出場できるかどうかはわからない。 「国別対抗戦は僕のもっとも好きな大会の一つで、出られたら嬉しいのですが、世界選手権が終わるまで発表されないので」。そう語るブラウンは、来季のことはまだ考えていない。1年ずつ試合とショーをこなしてみて、慎重に決めていきたいという。 「ミラノ(2026年オリンピック)を目指す可能性は残しています」とブラウン。 「でもそのことについては、まだ考えていません」 日本でも大勢のファンがいる彼が、さいたまスーパーアリーナでどのような戦いぶりを見せてくれるのか、楽しみだ。 (「フィギュアスケート、氷上の華」田村明子 = 文) にほんブログ村 https://number.bunshun.jp/articles/photo/856401 【写真】羽生結弦とブラウンの笑顔が素敵な懐かしい2ショット。羽生結弦とブラウンの笑顔が素敵な懐かしい2ショット。ブラウンが復帰を決意した、“日本のあの大会”でのしなやかな演技も。この記事の写真を見る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 10, 2023 11:52:23 PM
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