終末期にある高齢者が心肺停止状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えています。患者の意思を尊重した終末期医療を目指すためには、在宅医療に携わる医師や看護師、救急隊が連携し、患者の情報を共有することが大切です。
日本臨床救急医学会は、本人の意思やかかりつけ医の指示などの条件を付けた上で、救急隊が蘇生措置を中止できるようにする方向で指針を検討しています。ここの地区では、今までは救急隊は応急処置し病院へ搬送するのが原則でしが、最近は死亡が明らかであれば、主治医よりもまず警察医に連絡することが多くなっています。
終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多くいます。認知症で事前の意思表示が難しかったり、家族が離れて暮らしたりしている場合もあり、救急医療の現場では葛藤が続いています。厚労省は、判断能力のあるうちに患者の意思を確認し自宅や介護施設で容体が急変した場合、救急隊が家族や在宅医と速やかに連絡が取れる体制をつくろうとしています。救急搬送される人数は年々増え、15年には約547万人と過去最多を記録しました。高齢者の救急搬送を減らさないと、救急隊の活動に支障をきたす時代になったのです。