カテゴリ:新型インフルエンザ
新型インフルエンザ感染者数は、報道を根拠にするならば、年齢に明らかな偏りが見られる。日米墨3カ国すべての国で若年層の感染者数が非常に多いということである。日本は、特に、高校生の患者数が非常に多い。このことを考えてみると、高校生の生活様式及び行動様式が感染リスクを高めているとは考え難い。日米墨3カ国で若年層が共通の生活様式及び行動様式をしているとはとても考えられない。共通点といえば学校で授業を受けることだが、これで、こんな偏りができるとは思えない。若年層の方が新型インフルエンザ感染感受性が高いと考えた方が妥当である。免疫力の問題なら低年齢層でも若年層と同様の傾向をしめすはずだが明確に確認できない。 インフルエンザウイルスの細胞感染から増殖までのイメージは下図のようになっている。 これを見ると、年齢が影響しそうな箇所は、体の中に入ってきたインフルエンザウイルスが呼吸器にある「プロテアーゼ(ペプチド結合加水分解酵素)」によって活性化し、感染力を獲得する段階が怪しそうに思える。 『インフルエンザウイルスの生体内増殖に個体由来のトリプシン型プロテアーゼが必須で,ウイルスの感染性発現の決定因子になっている.最近このプロテアーゼ群の解明が進み,気道の分泌型プロテアーゼのトリプターゼクララ,ミニプラスミン,異所性肺トリプシン,膜結合型トリプシン型プロテアーゼ群が相次いで同定された.これらのプロテアーゼはそれぞれ局在を異にするだけでなく,ウイルス亜系によってプロテアーゼとの親和性を異にして,ウイルスの増殖部位と臨床症状を決めている.方これらのプロテアーゼ群に対する生体由来の阻害物質の粘液プロテアーゼインヒビターや肺サーファクタントが明らかとなり,合わせて個体のウイルス感染感受性を決める重要な因子となっている.』(日本薬理学雑誌 Vol. 122 (2003) , No. 1 45-53 「徳島大学分子酵素学研究センター・酵素分子化学部門」) もし、インフルエンザ感染感受性と年齢に相関があるならば、次の新型インフルエンザ感染が予想される冬の防疫対策に役立つかもしれない。 ひとつの方法として、感染感受性の高い若年層へ集中してワクチンの予防接種をする手もあると思われる。要は、感染症の流行で、感染症媒介者を駆除すれば、感染が拡がらないのと同様の理屈である。 感染感受性に大きな偏りがあるとするならば、高校生・大学生への予防接種を半義化するのも有効な防疫手段になりそうに思える。
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最終更新日
2009年05月22日 19時28分55秒
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