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カテゴリ:起業
フロー、と言っても、今回は御期待のキャッシュフローの話ではありません。(笑)
「フロー理論」というのは1960年代に、シカゴ大学心理学科の教授だったチクセントミハイが提唱した心理学の一理論である。 人間の心理学を研究する時に、フロイトやユングから始まった深層心理学のように内観的手法で研究する理論と、ワトソンやスキナーなどの行動主義心理学に見られるような、人間の心理を純粋に外からの刺激に対する反応として研究する理論がある。 この行動主義心理学は、たとえば人間の行動に対する動機付けを外部から理論的に観察できるものに限定し、人間は金銭、地位、名誉などに対する期待や、処罰や不名誉などに対する恐れなどによって動機付けられる、とするものです。 残念ながら、今の教育制度は、この賞罰主義的な刺激を人間に与える方向にあるし、会社にしても「成功報酬」あるいは「業績連動性給与」などの「外発的報酬」を指向してきたきらいがある。 今でさえ、多少その失敗に気付いて見直しの機運が出てきているが、こういった「外発的報酬」に対して、人間は内発的報酬により、より動機付けられる、とするのが、初めに触れたフロー理論である。 この「内発的報酬」というのはなにか、というと、場合によってはいかなる報酬も伴わないのに、数多くの活動に没頭する人たちの動機付けは、その人内部にこみ上げてくる喜びや楽しさである、というものらしい。 マズローの5段階欲求説にも近いものがあるが、人間の満足には段階があって、 (1)身体的満足 (食べもの、お酒、セックスなどなど) (2)頭の満足 (頭で追い求めたもの、地位、お金、名誉、などの「外発的報酬」) (3)心の満足 (外部からの評価や賞賛を必要としない、喜びや楽しみで心の底まで満たされる状態) (4)魂の満足 (自意識の満足を超え、超意識・真我の満足、至高体験など) という具合に深まってゆく、という説もある。 このフロー理論は、たとえば、ロッククライミングする人間にその理由を尋ねたとき、あるいは、ある人間が難度の高いゲームを夢中でやっている時に、そのゲームに勝ったら報酬を出す、としたとたん、熱意が醒めてしまったり、といった事例に言及している。 このフロー理論によれば、人間は、フロー状態、つまり「内発的報酬が最大限に得られる状態」にある時に最大の能力を発揮できるという。 では、それはどういう状態だろうか。本によると、それは ☆行為に集中・没頭している時 ☆うきうきした高揚感 ☆雑念がほとんどわかない ☆時間間隔の損失 ☆自分自身の感覚を喪失している ☆その場を支配している感覚、自分が有能である感覚 ☆周囲の環境との調和感、一体感 などがあげられるようだ。 これが極まると、「深いフロー」という状態になり、人間はかなりの能力を発揮するし、そこまで行かなくても、いやいややるのではなく、ある程度こういった感覚の中にいると「マイクロフロー」と呼ばれる状態になり、やはり人間の能力を遺憾なく発揮させる効果があるようだ。 リラックスなどが、独創性や創造力の発揮に有効なのもこのせいだ。 では、こういった状態になるための最大の条件はなんだろうか? 「自分が自律的になんでも決定できること」つまり、「自発性」だそうです。 昔のソニーが(今のソニーではなく)、ソニー神話と呼ばれるほどの成功を収めたのは、創業者である井深大の「思い」と共に彼の「思想」があった、とよく言われる。 彼は、ソニーの前身である「東京通信工業」を創立した時にその目的をこう書いた。これは現ソニーにも伝わっている。 会社創立ノ目的 一.真面目ナル技術者ノ技能ヲ最高度ニ発揮セシムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設 サラリーマンをやめ、今、会社に所属せずに一人で日々もがいているが、その満足度はサラリーマン時代とは比べ物にならない。 この「フロー理論」、しみじみとした感慨を以って読んだものでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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