カテゴリ:世の中の話題から
イラクの国民議会選挙が行われ、推定投票率が60%程度となり、「選挙は成功だった」とブッシュさんも大喜びしているそうです。
が。 この「投票率60%」、ってのはちょっと気をつけなければならない数字なんです。 つまり、これは 「『有権者登録』をしたひとのうち、何%が投票したのか」 という数字です。 日本のように有権者がすでに把握され、その人たちに自動的に投票のためのハガキが届くシステムではなく、まず投票する権利を有するために登録という作業がいるのです。 今回、登録をしたひとは、日経の記事によると総人口2700万人のうち1290万人、でもって投票者は800万人前後、ということで62%という数字が出ます。 ここで出てくる疑問が2つ。 1)登録者数は18歳以上の国民総数のうちどのくらいを占めるのか? 2)わざわざ登録をしたのに約4割の人が実際の投票をしなかった、ということをどう解釈するべきか? ではまず1)の登録者と18歳以上の人口数から。 ・イラクの人口構成比、というのをアメリカのBureau of the Census(国勢調査局?)のデータから見ると(2000年時点)、 Total, all ages 22,675,617 100.0 0- 4 3,531,458 15.6 5- 9 3,078,796 13.6 10- 14 2,958,994 13.0 15- 19 2,675,425 11.8 ということで、0-19歳の占める割合は54.0%。 ・でもって15歳から19歳が均等にいると仮定すると、15-17歳は7.1%、18-19歳は4.7%だから、0-17歳の占める割合は49.3%。 ・となると、選挙権を持つ18歳以上の占める割合は 100.0 - 49.3 = 50.7% ・で、全人口が2700万人とすると、そのうち18歳以上は 27,000,000 x 50.7% = 13,689,000 ・ということで、今回の登録者数1290万人はその1370万人の95%を占めることになり、この計算上ではかなり有権者登録はできていた、といえることになります。 でもって、2)の登録者の中での投票率60%、ということの解釈。 これはもう、個人の意識・感覚でしかないのですが、わざわざ登録したにもかかわらず40%の人が実際投票しなかったのはどうなの?という気がします。 人口の約2割を占めるといわれるスンニ派の76%が投票をしないと答えた、という読売新聞の記事も見たのですが、それでも20% x 0.76 = 15%にしかならないので、残りの25%は何で行かなかったのか、という疑問は相変わらず残ります。当然、殺されるのを恐れて、という人もいたでしょうが。 もちろん、「自分達のことは自分達で決める」方向に向かって行ってくれればそれに越したことはないので、今回の選挙自体をあれこれいうつもりはないのですが、投票率の解釈だけが気になったので、ひとこと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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